日本相撲協会は賭博問題を調べる特別調査委員会の調査結果を4日発表し、野球賭博をした27人の氏名を公表した。22人が処分対象で、解雇となった大嶽親方と琴光喜、降格とした時津風親方を除き、幕内6人、十両5人を含めた19人を謹慎処分とした。時津風親方(36)=元幕内時津海=は主任から1階級降格となる無役の年寄となった。身分は5年間の据え置き。07年の力士暴行死事件で存亡の危機にあった時津風部屋を継いだ同親方だったが、自身の不祥事に「深く反省している。一から出直す」と“再々出発”を誓った。
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時津風親方は協会が設定した会見場で、野球賭博に関与した親方、力士の1人としてスーツ姿で深く頭を下げた。その場でのコメントはなかったが退場後、デイリースポーツの取材に「しっかり受け止めている」と語り、“平年寄”への降格という処分に対しては「それなりの処分だったと自分では思っています」と神妙な表情だった。
3年前、時津風部屋では当時17歳の序ノ口力士を暴行で死に至らしめるという痛ましい事件があった。先代親方の解雇(後に逮捕)後、急きょ現役を引退して16代目を襲名。クリーンなイメージで部屋の立て直しに努めていたはずだったが、警視庁の事情聴取で賭博への関与を認め、協会に上申書を提出したことで衝撃が広がった。さらに、同部屋の幕内豊ノ島も賭博問題に名を連ね、指導力も問われていた。
時津風親方は「今後、こういうことが起きないように一生懸命に頑張ります。豊ノ島自身も深く反省している。ファンの皆さんのために、いい相撲を取って力を与えたい」と頭を下げた。大嶽親方、大関琴光喜への解雇処分については「自分では何と言っていいか分からない。厳しい処分になったと思う。残念です」と言葉を絞り出した。
一方で、謝罪後に退場する力士1人1人と握手を交わした。窮地を切り抜けた安堵(あんど)ではなく、互いに再生を誓う気持ちからだと信じたい。