2010年5月10日 20時44分 更新:5月10日 22時52分
【マニラ矢野純一】フィリピン大統領選は10日夜、投票が締め切られ、開票作業に入った。直前の世論調査などから、マルコス独裁政権を倒したコラソン・アキノ元大統領の長男、ベニグノ・アキノ上院議員(50)の圧勝が予想され、どこまで票を伸ばすか注目される。今回初めて導入された電子投票システムの一部でトラブルが発生したが、開票が順調に進めば同日中にも大勢が判明する可能性もある。
フィリピンの電子投票は、マークシート方式の投票用紙を機械で読み取り、データを送信する仕組み。選挙管理委員会によると、全国の投票所に設置された投票機の97%が正常に作動したが、マニラ市マラテの小学校では34台のうち1台が正午過ぎから動かなくなった。南部バシラン島のイザベラ市でも8台がスイッチを入れたとたんショートし、作動しなくなった。
アキノ上院議員はこの日、地元ルソン島タルラック州の投票所に行ったが、投票機の故障のため5時間待たされ、ようやく投票することができた。
電子投票の相次ぐトラブルを受け、選管は投票の締め切りを予定より1時間延長し、午後7時(日本時間同8時)に変更した。一方、電子投票システムを構築したIT会社は、「不具合は予想される誤差の範囲内で、満足できる結果だ」としている。
大統領選はアロヨ大統領の任期満了に伴うもの。この日は同時に副大統領、上下両院、地方の首長や議員の選挙も同時に実施された。有権者数は約5085万人。