毎日新聞社は2~4日に参院選(11日投票)特別世論調査を実施した。この結果に支局取材を加え、本県の中盤情勢を分析した。
大分選挙区(改選数1)では、5候補が乱立した前回(3年前)に対し、今回は、届け出順で自民新人の小田原潔氏(46)▽民主現職の足立信也氏(53)▽共産新人の山下魁氏(33)による少数激戦。足立氏が優勢な戦いを進め、小田原氏、山下氏が続き、支持拡大に懸命だ。同時に調査した比例代表でも、民主が自民を上回り、公明、みんな、社民、共産が追いかける展開だ。
ただ、選挙区、比例代表ともに「まだ決めていない」「無回答」が約3割を占め、今後情勢が大きく変わる可能性もある。また、世論調査では、菅内閣の支持状況や消費税引き上げの賛否などについても質問した。
◆小田原氏
小田原氏は自民支持層を固め、衆院大分3区内では足立氏に迫る。70代以上では足立氏を上回り、女性にも一定の支持を得ている。しかし、選挙協力成立が遅れた公明支持層への浸透は道半ばで、無党派層食い込みにも勢いがない。「国の借金待ったなし」を訴えているが、消費税引き上げ賛成層の支持は少ない。また、菅内閣不支持層も半数弱しか取り込めていない。【梅山崇】
◆足立氏
足立氏は大分市で大きくリードし、県西、県南でも安定した戦いぶり。別府市以北でも健闘している。70代以上を除く各年代に広く浸透し、民主、社民支持層の約8割を固め、無党派層にも浸透。公明支持層の一部にもくい込む。ただし、厚労政務官の公務のため、公示前は土日しか活動できず、「6年前とは運動量で差が大きい」と陣営は引き締めにかかっている。【高芝菜穂子】
◆山下氏
山下氏は、共産支持層では約8割を固めた。消費税増税を掲げる自民・民主との対立軸を強調するが、増税反対層への食い込みでも足立、小田原両氏に差をつけられた。米軍普天間飛行場の無条件撤去など「2大政党」との対決姿勢を鮮明に、まだ候補を決めていない無党派層に訴えていく。【深津誠】
◆比例代表
衆院選と違い、政党名と候補者名が選択できる比例代表。両方式合わせ、民主が優位。大分市で自民に差をつけ、県南県西、別府以北へと差が縮まるのは選挙区と同じ構図。ほとんどの党は支持層の7割以上を固めた。県内に比例代表候補がいる社民は県南県西で一定の支持があるが、候補のおひざ元の大分市ではやや広がりを欠く。みんなは公明に迫る勢い。共産は伸び悩み、国民新や参院選直前に誕生した新党の支持は広がっていない。【梅山崇】
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県内各地域の有権者を対象に、コンピューターで無作為に選んだ電話番号にかける方式で、2~4日の3日間実施。747人から回答を得た。
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小田原潔(おだわら・きよし) 46 自新
[元]モルガン・スタンレー証券投資銀行部マネージングディレクター▽日本トライアスロン連合会員▽日本の明日を考える会代表▽党県参院選支部長[歴]富士銀行員▽ゴールドマン・サックス証券支店本部部長▽東大
足立信也(あだち・しんや) 53 民現(1)
厚労政務官▽党県代表代行▽医師[歴]きぬ医師会病院外科診療科長▽筑波大臨床医学系外科助教授▽国立霞ケ浦病院消化器科医長▽筑波メディカルセンター病院診療部長▽党政調副会長・副幹事長▽筑波大=[国]
山下魁(やました・かい) 33 共新
党県委員・青年学生部長▽日本民主青年同盟県委員長▽国民救援会県本部常任理事[歴]ガソリンスタンド社員▽党准県委員▽NHK学園高
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【名鑑の見方】氏名、年齢(投票日の7月11日現在)▽党派▽現元新▽当選回数▽肩書▽[歴]以下は主な経歴▽最終学歴、=政党の推薦支持
毎日新聞 2010年7月5日 地方版