政権交代後初の国政選挙となる第22回参院選の投開票(11日)を前に毎日新聞は2~4日の3日間、特別世論調査を実施した。集計結果と取材を総合し、県内の中盤情勢を探った。鳥取選挙区(改選1)では、民主新人の坂野真理氏(32)と自民新人の浜田和幸氏(57)が接戦を演じ、坂野氏がわずかにリード。共産新人の岩永尚之氏(53)が追う構図になっている。誰に投票するか決めていない有権者が約2割おり、予断を許さない展開になっている。
調査は、コンピューターで無作為に選んだ電話番号を使う「RDS法」で行った。県内有権者676人から回答を得た。
坂野氏は民主支持層を中心に支持を拡大している。社民支持層の7割も固めた。昨年7月に出馬表明し、若さと1児の母をアピールして知名度を上げ、無党派層にも浸透している。性別では男性の支持が4割を超え、年代別では20代から40代で4割の支持を取り付けた。地域別では町村部で優勢。激しく競り合う市部も浜田氏をわずかにリードしている。
浜田氏は出馬表明が1月と遅れをとったが、厚い自民党支持基盤に乗って猛追。石破茂政調会長も鳥取入りして引き締めを図っている。自民支持層を手堅く固めて公明支持層の半分を固めたほか、民主支持層の1割も切り崩している。ただ知名度不足は否めず、無党派層からの支持が伸び悩んでいる。年代別では60代と70代以上で支持を伸ばしている。
岩永氏は共産支持層の8割を固めた。消費税反対を訴えて党勢拡大を図っているが、党支持者以外への浸透は進んでいない。
3割を占める無党派層では、投票先を決めていない人が4割。こうした人たちがどう動くかが鍵となりそうだ。【宇多川はるか】
投票に「必ず行く」と答えた人は67%。「たぶん行く」を加えると9割を超えており、政権交代への評価や消費税論議が焦点の今選挙に有権者が高い関心を寄せていることが分かった。
性別では、「必ず行く」男性は73%。女性の62%を上回った。年代別では60代と70代以上で「必ず行く」が8割に上った。一方、20代で「必ず行く」と回答した人はわずかに31%。若年層の政治への無関心は深刻な水準に落ち込んでいる。選挙戦の鍵を握るとみられる無党派層では、「必ず行く」は47%、「たぶん行く」と合わせると9割で、政治への関心は低くない。【加藤結花】
◆比例代表
比例代表では、民主が幅広く支持を集め、20代を除くすべての世代で自民をリードしている。“自民王国”と目されていた郡部でも優勢。石破氏のおひざ元の県東部でもわずかに自民を上回った。
民主は支持層の8割、自民は7割を固めた。無党派層への浸透は民主が2割、自民も1割強に過ぎず、各党間で分散傾向にある。消費税の引き上げに反対する人の支持率は民主、自民で五分五分。賛成する人では民主が4割から支持を得ており、2割の自民に差をつけた。
民主、自民に次いだ公明は支持層の8割をガッチリ固めた。公明に次ぐ支持を得たのはみんなの党。県内に支部を持たず、支持層を半分しか固めきれていないが、健闘を見せている。共産と社民は支持層をほぼ固めたが広がりが見られない。
近年の選挙で大きな鍵となっている無党派層では民主が自民をわずかに上回った。無回答と「決めていない」が合わせて4割近くおり、終盤にかけて態度を決めていない無党派層の争奪戦になりそうだ。
比例代表の投票方法については、7割が政党名で投票すると回答。70歳以上に限ると5割近くが個人名で投票すると答えた。【田中将隆】
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※中盤情勢調査関連グラフの数字で、小数点以下は四捨五入。合計が100%にならない場合がある。
毎日新聞 2010年7月5日 地方版