11日投開票される参院選を前に、毎日新聞社は2~4日、電話による特別世論調査を実施した。取材も総合して和歌山選挙区(改選数1)の中盤情勢を分析すると、自民現職の鶴保庸介氏(43)が幅広い世代で支持を集めて優位に戦いを進めている。民主新人の島久美子氏(54)=国民新党推薦=は激しく追うが、無党派層の支持が伸び悩む。共産新人の吉田雅哉氏(34)は支持拡大に懸命だ。ただ、投票先を明らかにしていない有権者が3割弱おり、終盤にかけ情勢が動く可能性もある。【参院選取材班】
2期12年の実績を強調する鶴保氏は、県内経済の活性化や民主批判を訴え、各種団体の支持も確保。自民支持層の9割弱、公明支持層の7割を固めた。民主支持層の2割に食い込み、無党派層でも支持を集めている。同年代からの支持が厚く、70代以上の男性も強い。衆院和歌山2区、3区で優位な戦いを展開しており、後半戦は09年衆院選で民主候補が勝った大票田・和歌山市で、街頭演説などを通じ浸透を図る。
島氏は、33年間の子育て支援活動と事業仕分けなど政権交代後の実績を強調し、民主支持層の6割強を固めた。自主投票とする社民支持層の支持もある。公明支持層の一部からも支持を得ている。しかし、無党派層で伸び悩み、知名度不足が克服できていない。女性からの支持も弱い。和歌山市では鶴保氏に迫るものの、他地域で水をあけられており、巻き返しを図る。
吉田氏は消費増税反対と、主力産業の農林漁業の再生を訴えて保守層に接近するが、共産支持層以外の支持が伸び悩む。
4割強が投票先を明らかにしていない無党派層の動向が、最終的に鍵を握りそうだ。
◆投票に行くか
今回の参院選に「必ず行く」と答えたのは71%。「たぶん行く」は19%で、「行く」意思を示した人は合わせて90%となる。投票率が59・34%だった07年の前回参院選調査の88%をやや上回った。全県で71・70%だった09年衆院選の91%と同水準で、関心は高いと言える。
「(必ず・たぶん)行く」と答えた人のうち、民主を支持する人が28%で、自民20%▽公明7%▽みんなの党7%--などが続く。無党派層は23%を占める。
主な政党の支持層は96~100%が「(必ず・たぶん)行く」と答えている。無党派層も91%で、投票行動が結果に影響を与えそうだ。
◆政党支持率
支持政党は、民主26%▽自民19%▽みんなの党7%▽公明6%▽共産4%▽国民新党1%▽新党改革1%▽社民1%▽たちあがれ日本1%--だった。
07年参院選時と比べると、民主は横ばいで自民は4ポイント減。公明、共産が後退し、国民新、社民は変化がなかった。みんなの躍進が目立つ。「支持政党なし」は23%で2ポイント増。09年衆院選時と比べると、民主が9ポイント減らし、自民は横ばいだった。
民主は市部、町村部、男女別それぞれで自民を上回った。男性から31%の支持を得ている。自民は40代で民主を抑え、70代以上で互角の支持を得たが、そのほかの年代では水をあけられた。
比例代表では、民主が支持層の7割、自民が7割弱を固めている。無党派層では民主と自民が競り合い、みんなと公明が続く。
◆菅内閣
菅内閣について「支持する」が41%、「支持しない」が30%だった。男性が支持47%、不支持31%に対し、女性は支持35%、不支持29%だった。年代別では30代以上はすべて支持が上回ったが、20代は不支持が多かった。
民主支持層の88%、社民支持層の78%が支持している。自民支持層のうち支持は22%、不支持は56%。公明と共産はともに支持が10%台で、不支持は60%前後だった。みんなの党は、支持が30%ある一方で、不支持も50%を超えた。
菅内閣を「支持する」人のうち、島氏に投票すると答えたのは4割強で、3割が鶴保氏に投票すると答えた。一方、「支持しない」層は、7割弱が鶴保氏に投票すると答えた。
◆民主との連立
参院選後に民主党がどの政党と連立を組むのが望ましいかについては、「単独」が26%▽自民12%▽みんなの党11%▽国民新党6%▽公明5%--などだった。
民主支持層では40%が「単独」とし、連立を組む相手としてみんな14%、国民新12%、自民9%が続く。みんなと国民新の支持層でも、民主との連立を望むとするのが4割だった。また自民支持層では27%が民主との連立を望み、「単独」の23%を上回った。
「単独」とする人のうち、島氏に投票すると答えたのは3割強、5割弱が鶴保氏に投票すると答えた。
◆消費増税
最大の争点となった消費税率の引き上げについて、「反対」は56%で、「賛成」の36%を大きく上回った。男性の53%、女性の58%が反対している。年代別では69%が反対した20代を最高にすべての年代で反対の方が多かった。特に20、30、70代以上は賛成の倍以上だった。
支持政党別では、民主、たちあがれ日本の支持層で賛成が上回っているが、自民支持層でも58%が反対している。共産は97%、公明は76%が反対した。無党派層は65%が反対だった。
菅内閣を支持する人のうち、56%が賛成し、反対は40%だった。一方、支持しない人では反対が69%にのぼり、賛成は28%だった。
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島久美子 54 [元]NPO理事 民新=[国]
鶴保庸介 43 党副部会長 (2)自[伊]現
吉田雅哉 34 党県常任委員 共新
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2~4日、コンピューターで無作為に選んだ電話番号を使うRDS(ランダム・デジット・サンプリング)法で、県内の有権者689人から回答を得た。
※中盤情勢調査関連グラフの数字で、小数点以下は四捨五入。合計が100%にならない場合がある。
毎日新聞 2010年7月5日 地方版