毎日新聞が2~4日に実施した参院選特別世論調査(電話)に取材を加味した中盤情勢分析によると、兵庫選挙区(改選数2)では自民現職の末松信介氏(54)、民主現職の水岡俊一氏(54)の両現職が安定した戦いを展開する一方、みんな新人の井坂信彦氏(36)と民主新人の三橋真記氏(32)が懸命に追っている。「2議席独占」をうかがう民主と「議席死守」を至上命題とする自民、「第三極」の支持拡大をねらうみんなが激突する構図が浮き彫りになった。共産新人の堀内照文氏(37)も「消費税の増税反対」を掲げて支持の掘り起こしを狙う。改革新人の吉田愛弥氏(36)、幸福実現新人の高木義彰氏(40)は苦戦を強いられている。ただ、全体で約3割の有権者が誰に投票するかを「決めていない」と回答しており、情勢は極めて流動的だ。【参院選取材班】
2議席に7人が立候補した混戦の構図を背景に、組織力や知名度でまさる現職が、一日の長を生かした選挙戦を展開している。
末松氏は、県議会最大会派の自民党県議団を背景に、与党に流れだした支持基盤の業界団体票を食い止めようと支援者回りを精力的にこなす。これが功を奏し、自民支持層の8割を固めた。初当選した04年の参院選で推薦を受けた公明支持層は5割をまとめ、県議単位での公明への協力をアピール、支持上積みを図る。知名度の高い元首相や閣僚も応援に駆けつけ、市区部や無党派層の浸透も進む。
水岡氏は、民主の2人擁立で共倒れの危機感を募らせる連合兵庫がフル回転し、県内各地の個人演説会など大規模な組織選挙を展開。党所属国会議員も共に街頭に立ち、民主支持層の4割まで支持を集めた。労働組合員の多い阪神間や播磨地域のほか、50代以上の多い町部でも支持を広げる。ただ、県連独自の支持を取り付けた社民支持層を2割弱しか固め切れておらず、無党派層浸透も伸び悩む。
井坂氏は、みんな支持層の8割を手堅く固め、追い風を期待する無党派層にも一定の浸透を見せている。無党派層の多い阪神間や、渡辺喜美代表が回った播磨地域でも支持を集めている。40、50代の支持は高いが、同世代の20、30代には支持の広がりが薄い。
三橋氏は、知名度アップを狙った県内1000カ所以上の街頭演説が一定の効果を上げ、20、30代の若者層に支持の広がりがうかがえるほか、神戸市内でも一部地域で強みをみせる。ただ、足元の民主支持層は2割しか支持を広げられず、期待した無党派層の浸透も伸びが弱い。
堀内氏は、「消費税の増税反対」を追い風に共産支持層の8割を固め、社民支持層の4割からも支持を集めた。20代の支持が比較的高い。吉田氏は、改革支持層の7割から支持を受けるが、無党派層の浸透に欠ける。高木氏は独自の戦いを進める。【石川貴教】
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2~4日、コンピューターで無作為に選んだ電話番号を使うRDS法で、県内の有権者946人から回答を得た。
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◆兵庫選挙区立候補者◆
(2-7)=届け出順
井坂信彦 36 [元]神戸市議 み新
末松信介 54 [元]財務政務官(1) 自[町]現
堀内照文 37 党県常任委員 共新
水岡俊一 54 [元]予算委理事(1) 民現=[国]
高木義彰 40 幸福党県役員 諸新
吉田愛弥 36 NPO理事長 改新
三橋真記 32 [元]厚労省職員 民新=[国]
〔神戸版〕
毎日新聞 2010年7月5日 地方版