参院選大阪選挙区(改選数3)で毎日新聞は2~4日、電話による特別世論調査を実施、独自取材を加味して中盤情勢を探った。尾立氏と北川氏が激しく競り合い、岡部、石川両氏が猛追している。さらに、川平氏も4氏に迫る勢いを見せており、最終盤までデッドヒートが続く模様だ。ただし、全体の約2割が投票先を決めておらず、この層の行動次第で大きく情勢が変わる可能性が残されている。
◆選挙区
大阪選挙区では今回、民主が2候補を立てるなど、混戦模様となっている。
尾立氏は党所属の地方議員の全面的な支援を受け、安定した戦い。「事業仕分け」メンバーとしての実績を前面に打ち出し、有権者の関心を集める。幅広い年齢層から支持を得ており、特に年齢が上がるほど支持が厚い。
北川氏は、府内全域で集会を開き、典型的な組織型選挙で対抗している。自民支持層の7割をまとめ、民主からの取り込みもあるほか、無党派層からの支持は全候補者中トップで、堅調な戦いぶりを見せている。
岡部氏は、タレントとしての抜群の知名度を生かした浮動票の取り込みに力点を置く。民主支持層の3割から支持を得ているが、肝心の無党派層からの支持が伸び悩んでおり、終盤に向けた支持拡大が生命線となる。
石川氏は若さをアピールし、公明支持層の9割以上を固めたほか、民主、自民からも若干の支持を集めている。女性からは高い支持を得ている半面、男性からの支持が比較的少なく、課題となっている。
川平氏は出馬表明で出遅れたものの、党が自公民など近年の政権党に批判的な層の受け皿として波に乗っており、無党派層からの支持が厚く、台風の目になる勢いだ。清水氏は共産支持層の8割を固めた。漫才師時代に培った巧みな話術が売りだが、無党派層の取り込みには至っていない。
大川氏は社民支持層の8割をまとめたが、支持拡大に懸命。浜野氏、山分氏、深田氏は、知名度アップが課題だ。
◆比例代表
比例代表の投票先では、民主が3割近くの支持を得て、1割半ばの自民を上回った。みんな、公明も1割前後の支持を集め、共産が続いた。社民、たちあがれ、改革、国民新はさらなる浸透が課題。3割近くは投票先の政党が未定だったり、回答がなかった。
民主は、30代以上の層で3割前後の支持を集めた。60代を除く年代層で女性より男性の支持割合が多かった。自民は60~70代で2割前後の支持を得たが、50代以下は1割程度にとどまった。みんなは50代で自民を上回った。
支持政党別では、民主が支持層の7割超を、自民、公明、共産が8割前後をそれぞれ固めた。公明は女性の支持が多く、自民を上回った。無党派層のうち民主が1割半ば、自民は1割をそれぞれ取り込み、みんなが続いた。
◆政党支持率
府内の民主の支持率は、07年参院選の調査より7ポイント増の33%。逆に自民は6ポイント減の14%で、3年間で両党の差が広がった。昨年の政権交代を経て、民主が第1党としての足場を固めつつあることがうかがえた。
年代別で見ると、07年調査では70代以上で唯一、自民支持が民主支持を上回ったが、今回は全年代で民主が自民を超えた。
みんな、公明はともに9%。50代ではみんなが自民を、40代では公明が自民を、それぞれ上回った。共産は07年時に比べ微減で4%。社民、たちあがれはともに1%だった。
「支持政党なし」とした無党派層は全体の25%。若年・壮年世代に多く、20代46%、30代33%、40代36%を占めた。
◆投票
投票に「必ず行く」と答えたのは74%で、07年参院選での調査時に比べ1ポイント上回った。年代が高くなるにつれて「必ず行く」と答えた割合が増加。60代、70代以上では8割超が「必ず行く」と答えたが、20代では4割弱にとどまった。
また主要政党を支持する8割前後が「必ず行く」と答えたのに対し、無党派層では6割弱だった。07年参院選の大阪選挙区の投票率は55・81%。今回は政権交代後初の国政選挙で、国民生活に直結する消費税も争点化しており、投票率の行方も注目される。
◆単独か連立か
「民主党の単独政権」が望ましいと答えたのは28%で、「自民党との大連立」(13%)「みんなの党との連立」(12%)が続いた。民主支持層では39%が「民主党の単独政権」が望ましいと回答したほか、連立の場合の相手先としては、みんな(16%)が自民(11%)、国民新(10%)を上回った。
一方、自民支持層のうち、「自民党との大連立」と回答したのは32%、「民主党の単独政権」と答えたのは23%だった。無党派層では、「その他」が半数近くを占めた。
◆内閣支持率
府内の内閣支持率は44%で、「支持しない」の35%を上回った。年代別では20代で不支持(33%)が支持(25%)を上回ったものの、他はいずれの年代でも支持が不支持を上回り、70代以上では5割超が「支持する」と答えた。
支持政党別では、民主支持層の9割が支持。自民支持層は不支持が6割だったのに対し、支持も2割強あった。一方、無党派層は不支持(37%)が支持(23%)を上回った。
◆消費増税
菅直人首相の発言で参院選の争点に急浮上した消費税引き上げについては、反対が50%、賛成が45%と二分された。男性は賛成50%・反対45%に対して、女性は賛成40%・反対55%で、男女間で賛否のねじれが生じた。家計への影響を懸念した女性を中心に拒否感が強いとみられる。
年代別では、30~70代以上で賛否が拮抗(きっこう)したものの、20代では67%が反対し、根強い抵抗感がうかがえた。
支持政党別では、民主支持層の66%が賛成だったが、反対も32%いた。自民層は賛否が二分された。他党の大半は反対が多く、公明層73%、共産層67%、社民層78%、みんな層65%が、それぞれ反対した。無党派層も58%が反対し、民主層以外には増税に強い反発がある傾向が浮かんだ。
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大川朗子 52 司法書士 社新=[国]
北川イッセイ 67 [元]防衛政務官 (1)自[町]現
尾立源幸 46 党府代表代行 (1)民現=[国]
清水忠史 42 [元]大阪市議 共新
浜野夕希子 34 管理栄養士 諸新=[た]
深田敏子 39 幸福党府役員 諸新
川平泰三 53 [元]百貨店部長 み新
岡部まり 50 タレント 民新
山分ネルソン祥興 36 産婦人科医 改新
石川博崇 36 [元]外交官 公新
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2~4日、コンピューターで無作為に選んだ電話番号を使うRDS法で、府内の有権者1260人から回答を得た。
グラフの数値は小数点以下を四捨五入しているため、合計して100とならない場合がある。「0」は0.5%未満で、無回答は省略した。
毎日新聞 2010年7月5日 地方版