参院選岐阜選挙区(改選数2)では、候補者5人が熱戦を繰り広げている。毎日新聞社が2~4日の3日間、電話で行った参院選特別世論調査の結果に、岐阜支局の取材を加味した情勢分析によると、民主現職の山下八洲夫氏(67)と自民新人の渡辺猛之氏(42)が激しく競り合っている。民主新人、小見山幸治氏(47)が2人を追っているほか、共産新人の鈴木正典氏(46)も支持拡大を図っている。【岡大介】(全国の情勢は8、9面)
山下氏は現職の知名度を生かして県内全域に浸透しており、特に東濃地域の支持が厚い。民主支持層の半数、菅直人内閣を支持する人の4割の支持を集めた。業界団体から推薦を取り付け、自民支持基盤の切り崩しを図った結果、自民支持層の1割からも支持を得ている。年代別にみても、ほぼまんべんなく支持を集めている。
渡辺氏は「自民県連初の公募候補で松下政経塾出身」との経歴をアピールし、無党派層の2割から支持を集めた。自民だけなく、推薦を受けた新党「たちあがれ日本」支持層、自主投票を選択した公明党支持層からの支持も厚い。菅内閣を支持しない人の半数から支持されており、政府批判の受け皿となっている。
小見山氏は、2人擁立の影響で、民主支持層の3割弱の支持しか得られていない。年齢の近い40代や、20代からは支持されている。陣営は当初から無党派層を取り込む戦略で、蓮舫・行政刷新担当相を2度呼んで街頭演説を行うなど、知名度アップに懸命だ。
鈴木氏は、20代女性から多くの支持を集めている。一方で、無党派層や消費税率引き上げに反対する人からの支持では渡辺氏に大きく水をあけられており、政策の浸透を急いでいる。
幸福実現党の新人、加納有輝彦氏(49)は同党支持層を足がかりに支持を広げようとしている。
かつて「自民王国」と呼ばれた岐阜県だが、今回の調査では民主支持者が自民支持者をどの世代でも上回り、全体でも2倍の大差をつけた。
「第三極」を巡る争いは、みんなの党が公明に並び、共産も含め、し烈となっている。
一方で、社民党や国民新党は、みんなの党以外の新党とともに支持率が1%以下で、苦しんでいる。相次ぐ新党結成で選択肢が増えた結果、支持政党が無い人の割合は04、07年から減少した。
「参院選後、民主党はどの政党と連立を組むのが望ましいか」という問いには、民主支持層の3割強が民主単独政権を、2割弱が国民新党との連立を望むと回答した。一方、みんなの党との連立を望んだ人も2割弱いた。
自民支持層でも、民主と自民の大連立を望む人が2割いた。
昨夏の衆院選まで自民と連立を組んでいた公明の支持層でも民主と公明の連立を望む人が3割に達しており、選挙の結果次第で各党の連立工作が活発化する可能性がある。
争点の一つとして急浮上した消費税の税率引き上げについては、反対がわずかに賛成を上回った。賛成派は、民主候補を支持する傾向を示している。
一方、反対派の3割近くは選挙区で誰に投票するか決めておらず、今後、各候補が票を奪い合うことになる。
菅直人内閣については、支持する人がしない人の2倍近くに上った。支持派、非支持派とも2割弱の人が投票対象を決めておらず、どの候補にもまだ支持拡大のチャンスがありそうだ。
投票に「必ず行く」「たぶん行く」の合計は年金が争点となった07年参院選と比べると6ポイント低下している。「行かない」「たぶん行かない」の合計は前回から2ポイント増えた。「必ず行く」が8割を超えた60代をはじめ、30代以上の年代は選挙に高い関心を示しているのに対し、20代の「必ず行く」は5割弱にとどまっている。さらにこの年代では「行かない」と答えた人が2割を超えており、若年層の政治離れが浮き彫りになった。
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山下八洲夫 67 党参院副会長 (2)民現=[国]
渡辺猛之 42 [元]県議 自新=[た]
小見山幸治 47 [元]参議員秘書 民新=[国]
加納有輝彦 49 幸福党県役員 諸新
鈴木正典 46 党県常任委員 共新
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※情勢調査関連グラフの数字で、小数点以下は四捨五入。合計が100%にならない場合がある
毎日新聞 2010年7月5日 地方版