11日投開票の参院選を前に、毎日新聞は2~4日、特別世論調査を実施し、支局取材と合わせて選挙戦中盤の情勢を探った。6人が立候補している静岡選挙区(改選数2)では、民主党現職の藤本祐司氏(53)が全県で着々と支持を集め、みんなの党新人の河合純一氏(35)と自民党新人の岩井茂樹氏(42)が横一線で追い上げている。民主党新人の中本奈緒子氏(31)は課題とする無党派層への浸透が進んでいない。ただ、誰に投票するかを決めていない有権者が2割を超えており、終盤で情勢が変わる可能性がある。【参院選取材班】(全国情勢は10、11面)
世論調査は、コンピューターで無作為に発生させた電話番号を使うRDS法で行い、有権者975人の回答を集めた。
再選を目指す藤本氏は現職の実績をアピールし、知名度を高めている。党本部主導の中本氏擁立に反対した民主党県連や連合静岡の全面的な支援を受け、民主支持層の6割に浸透した。他陣営の地盤がある県西部では、公示直前に事務所を設けて活動を強化。地元経済人の支援を得て、支持を広げている。
出馬表明が最も遅かった河合氏は、パラリンピック競泳金メダリストとしての知名度で挽回(ばんかい)を図る。公示直後から、みんなの党の渡辺喜美代表ら党幹部が続々と応援に訪れ、同党支持層の8割を固めた。支援する元参院議員の海野徹氏の地盤の静岡市などでも支持を伸ばす半面、県東部では伸び悩んでいる。
岩井氏は、自民党県連や支持団体による組織戦を展開し、同党支持層の7割を取り込んだ。若手世代による党の改革を訴え、20代男性の支持を高めた。地域別では、静岡市を中心とした県中部で浸透度が低い。自公政権時代に選挙協力していた公明党は事実上の自主投票となっており、公明党支持層の支持は3割にとどまる。
民主党県連の支援を得られなかった中本氏は組織戦ができず、民主党支持層の2割にとどまっている。唯一の女性候補だが、女性からの支持は目立っていない。立候補6氏のうち最年少とあって、20代の支持がやや高いのが強みだ。街頭演説を重ねて無党派層の掘り起こしを狙う。
渡辺氏は、支持基盤の共産党支持層の9割を固め、無党派層からの上乗せも目指す。中野氏は消費税の増税反対などを主張して支持を訴えている。
民主、自民の2大政党がマニフェストで言及し、論点として浮上した消費税について、引き上げの是非を問うと、「反対」48%、「賛成」47%となり、評価を二分した。また、菅直人内閣の支持では、50%が「支持する」と答え、「支持しない」の26%を大きく上回っている。
調査では、消費増税に反対する有権者が、菅内閣を支持しない傾向がうかがえる。引き上げ賛成の回答者のうち菅首相を「支持する」は67%、「支持しない」の19%を大幅に超えた。一方、引き上げ反対のうち「支持しない」と答えた割合は35%と増え、「支持する」の36%と拮抗(きっこう)している。
消費税引き上げの賛否を支持政党別に見ると、民主党支持層の65%、たちあがれ日本支持層の81%が賛成。自民党支持層の56%、みんなの党支持層の70%、公明党支持層の80%が反対だった。
また、男女別では、男性の52%が賛成、43%が反対だった。女性は42%が賛成、52%が反対と答え、賛否にやや違いが出た。
県内の政党支持率は民主が38%と最も高かった。前回07年の参院選時(31%)から7ポイント増えた。一方、自民は前回(23%)と比べ9ポイント減の14%となり、両政党の支持率の差が広がった。
その他の政党は、みんなの党8%▽公明3%(前回5%)▽共産3%(同2%)▽たちあがれ日本2%▽社民1%(同1%)。「支持政党なし」は27%で前回より2ポイント減った。
民主と自民の支持率を地域別でみると、1~8区すべての衆院選小選挙区、更に市部、町部ともに民主が自民を上回り、昨夏の政権交代から自民が求心力を回復できず、支持が伸び悩んでいる現状が浮き彫りとなった。
年代別でみると、自民への70歳以上の支持率は24%と他の年代に比べ最も高いが、民主の41%に及ばない。
民主の男女別支持率は男性43%、女性32%で、男性から厚い支持を集めている。特に60代、70代以上の男性の支持率は共に56%で、自民の3~4倍に達している。
投票に行くかどうかを尋ねたところ、「必ず行く」と答えた人が67%で、前回の参院選調査(71%)を4ポイント下回った。しかし「たぶん行く」と合わせると91%が投票の意思を持っているとの結果になり、関心の高さがうかがえる。期日前投票率は前回参院選よりも伸びている傾向にあり、前回参院選の投票率(58・41%)を上回るかどうかが注目される。
支持政党別にみると「必ず行く」と答えた人の割合は民主支持層が77%、みんなの党支持層で72%、自民支持層で70%だった。
年代別で「必ず行く」の割合が最も高かったのは60代の81%。一方、選挙への関心の低さが懸念されている若い世代では、20代が44%と他の年代と比べて20ポイント近く低く、前回調査の63%と比べても、大幅に下回っている。
政党を問わず、誰に投票するか決めていない人の中で、「必ず行く」「たぶん行く」と答えた人は計77%に上った。各陣営とも、残り1週間で、この「無党派層」にどれだけ浸透できるかが、結果に影響を与えそうだ。
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河合純一 35 [元]中学教諭 み新
渡辺浩美 49 党県書記長 共新
中野雄太 36 幸福党県役員 諸新
岩井茂樹 42 [元]大学講師 自新
中本奈緒子 31 会社員 民新=[国]
藤本祐司 53 国交政務官 (1)民現=[国]
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※情勢調査関連グラフの数字で、小数点以下は四捨五入。合計が100%にならない場合がある
毎日新聞 2010年7月5日 地方版