政権交代を果たした民主党への初の本格的な審判となる第22回参院選。11日の投開票を前に、毎日新聞社は2~4日の3日間で特別世論調査を実施し、取材も加味して県選挙区(改選数1)の情勢を探った。選挙戦中盤は、自民の岡田直樹氏が現職の強みを生かして全県で優位に立ち、民主新人の西原啓氏が追う展開。共産新人の近松美喜子氏は伸び悩んでおり、終盤の追い込みを図る。ただ2割弱がどの候補に投票するか決めておらず、情勢は今後変わる可能性もある。【近藤希実、松井豊、宮嶋梓帆】
県内全19市町に張り巡らされた後援組織をフル活用し、岡田氏は手堅く自民支持層のほぼ9割を固めた。党本部の方針で公明から推薦こそ受けられなかったが、公明の県議や市議らは精力的に岡田氏の個人演説会などに参加。全県レベルの協力関係は従来通り維持され、公明支持層の8割にも浸透している。
争点に急浮上した消費税問題では、増税賛成派は民主、自民できっ抗する一方、反対派の4割強は岡田氏を支持。増税の時期や目的などを巡って菅直人首相の発言が定まらない中、「景気回復まで上げない」と訴える自民の主張が一定の評価を得たとみられる。
出馬表明が1月と出遅れた西原氏は、公示後は連日のように党幹部らが県内入りして「改革の推進」をアピール。参院選後の連立組み替えの是非については「民主の単独政権」を望む声が最多の3割近くを占める。また、政党色を前面に打ち出し、民主支持層の7割を固める。
ただ、知名度の低さは否めず、無党派層は伸び悩んでいる。社民の連立離脱で県内の協力が出遅れたことも響き、支持を固め切れていない。出身地の小松市や、昨年11月に正式に民主合流した県議会会派「新進石川」の地盤、金沢市で巻き返しを図る。
07年の前回参院選に続く挑戦の近松氏は、県内をこまめに遊説して増税阻止を訴え、政策面で存在感を強調。共産支持層をほぼ固め、社民、みんなの党などへの浸透も見られるが、無党派層は伸びず、苦戦している。
◆連立
民主党はどの政党と連立を組むのが望ましいかについては、「民主党の単独政権」が26%と最も高い割合を示した。
同時に、自民(13%)▽国民新党(10%)▽みんなの党(10%)--など連立パートナーを巡って回答が分かれており、「その他」も25%を占めた。民主単独での政権運営は困難だとの見方も強く表れている。
また、自民支持者の間では27%が「自民党との大連立」と答えるなど、大連立への期待が伺えた。民主支持者で「自民党との大連立」と答えた人は11%にとどまり、「国民新党」(14%)▽「みんなの党」(15%)--と現実的な意見が目立った。
◆投票に行くか
投票に「必ず行く」「たぶん行く」(以下、「必ず・たぶん」)と答えた人が90%を占めた。県選挙区で投票率が62・90%だった前回参院選(07年)の調査でも、「必ず・たぶん」は90%。市民生活に大きな影響を与える消費税率引き上げの是非が主要争点となっているだけに、有権者の関心の高さがうかがわれる。
一方、「必ず・たぶん」の14%が県選挙区の投票先を「決めていない」と回答。さらに支持政党別でも「必ず・たぶん」の24%が「支持政党なし」の無党派層だ。
また、40、60代で「必ず・たぶん」は95%近い数字を見せ、関心の高さが読み取れる。
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2~4日、コンピューターで無作為に選んだ電話番号を使うRDS法で、県内の有権者713人から回答を得た。
※中盤情勢調査関連グラフの数字で、小数点以下は四捨五入。合計が100%にならない場合がある。
毎日新聞 2010年7月5日 地方版