毎日新聞が2~4日に行った参院選の特別世論調査の結果と取材をもとに、新潟選挙区(改選数2)の中盤情勢を探った。それによると、民主現職の田中直紀氏(70)が他候補を引き離してリードし、続いて自民新人の中原八一氏(51)も安定した戦いを進めている。両氏を無所属現職の近藤正道氏(63)が懸命に追う展開。共産新人の武田勝利氏(46)は厳しい戦い。ただ、投票先を決めていない有権者も2割近くおり、11日の投票日に向けて、情勢はなお流動的だ。【小川直樹、黒田阿紗子、川畑さおり】(全国の情勢は8、9面に掲載)
04年は自民公認で再選を果たし、今回初めて民主公認で出馬した田中氏は、妻真紀子元外相の応援を受けて、越後交通などファミリー企業を中心とした後援組織を手堅くまとめるとともに、民主の衆院議員や県議、連合新潟からの支援も着実に上積みし、民主支持層の7割を固めた。
中原氏は知名度不足が懸案だったが、県議会(定数53)で最大勢力の自民県議団(32人)がフル稼働し、票の掘り起こしを進めている。県議時代の地盤だった新潟市以外では、田中氏に差をつけられているが、自民支持層の7割、公明支持層の6割を固めた。
社民公認を返上した近藤氏は、推薦を受ける社民支持層の6割を固めたが、期待した民主支持層や無党派層からの支持は1割にとどまっている。連立を組んだ鳩山前政権下で民主、社民、国民新党の3党による政策立案に深くかかわった経験を強調し「連立仕事人」を掲げているが、有権者には浸透しきれていない模様。
武田氏は消費税増税反対を前面に掲げ、共産支持層の8割を固めたが、広がりは今一つ。
無所属新人の安中聡氏(32)と諸派新人の笠巻健也氏(39)は独自の戦い。
参院選の大きな争点になっている消費税の引き上げについて賛否を聞いたところ、賛成は44%にとどまり、反対が52%と上回った。
年齢層別にみると、30歳代と50歳代の賛成、反対がともに49%と拮抗(きっこう)した一方、ほかの年齢層では反対が上回り、20歳代で反対67%、60歳代で55%、70歳以上で52%と、年収の少ない若者や、年金生活者が多い高齢者に消費税増税に反対の意向が強いことがうかがえる。
性別では、男性は53%が賛成した一方、女性は反対が60%に達し、家計を預かる女性に抵抗感が強い。
県内での菅内閣支持率は49%で、全国の47%より2ポイント上回った。「支持しない」と答えた人は26%だった。
性別にみると、「支持する」は男性では54%だった一方、女性は44%にとどまった。
支持政党別に菅内閣の支持率をみると、「支持する」が「支持しない」を上回ったのは、連立政権を組む民主支持層(87%)と国民新党支持層(52%)のみ。鳩山前政権下で沖縄の米軍普天間飛行場移設問題を機に連立を離脱した社民の支持層は41%が支持しないと答え、支持は38%。参院選後に連立の可能性が取りざたされているみんなの党の支持層も支持は31%で、不支持が42%と上回った。
今回の参院選に投票に行くかを聞いたところ、「必ず行く」が70%、「たぶん行く」が23%で、合わせると93%に上った。07年参院選(投票率64・58%)の調査時では、必ず行くが72%、たぶん行くが21%で、合わせると同率だった。
年齢層別にみると、20歳代は07年参院選の調査時、必ず行くが43%にとどまっていたのに対し、今回は17ポイント上回る60%に達しており、若い世代の今回の参院選への関心の高まりぶりがうかがえる。
政党支持率が最も高かったのは、民主党で34%だった。自民党は17%にとどまり、「支持政党なし」と答えたいわゆる「無党派層」の27%を下回った。
民主党が県内全6小選挙区を独占した09年8月衆院選の調査時と比べると、民主党は3ポイント低下したのに対し、自民党は横ばいで、両党の差はわずかに縮まった。みんなの党の支持率は09年衆院選の調査時より6ポイント伸ばし7%となった。
年齢層別にみると、民主党の支持率は60歳代と70歳以上で40%に達した一方、20歳代では自民党が34%で、民主党の23%を上回った。
参院選後、民主党がどの政党と連立政権を組むのが望ましいかを聞いたところ、「民主党の単独政権」を望む回答が最も多く32%だった。次に多かったのが「自民党との大連立」の16%で、みんなの党との連立は12%、国民新党との連立は8%にとどまった。
年齢層別にみると、20歳代では自民党との大連立を望む声が39%で、民主党単独政権の17%を大きく上回った。その他の年齢層では民主単独政権が最も多かった。
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◆菅内閣を支持しますか
全体 男性 女性
支持する 49 54 44
支持しない 26 24 28
関心がない 21 18 24
◆菅首相は消費税を引き上げる税制改革案を今年度中にまとめ、次の衆院選後に引き上げる方針を表明しました。消費税引き上げに賛成ですか、反対ですか
賛成 44 53 36
反対 52 44 60
◆民主党は衆院で半数を大きく超える議席を持っていますが、参院選の結果次第で連立政権の枠組みが変わる可能性があります。参院選後、民主党がどの政党と連立を組むのが望ましいと思いますか
民主党の単独政権 32 36 27
国民新党との連立 8 9 6
自民党との大連立 16 15 17
公明党との連立 4 4 5
みんなの党との連立 12 14 11
その他 24 18 30
◆参院選では投票に行きますか
必ず行く 70 77 63
たぶん行く 23 19 28
たぶん行かない 3 1 4
行かない 2 2 2
◆どの政党を支持しますか
民主党 34 37 32
自民党 17 17 17
公明党 3 1 4
共産党 2 2 2
国民新党 1 1 1
新党改革 1 1 1
社民党 2 3 2
たちあがれ日本 1 2 1
みんなの党 7 9 5
新党日本 0 1 0
その他の政党 1 1 2
支持政党はない 27 23 31
(注)数字は%、小数点以下を四捨五入。0は0.5%未満。無回答は省略
2~4日、コンピューターで無作為に選んだ電話番号を使うRDS法で、県内の有権者973人から回答を得た
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中原八一 51 [元]県議 自新
田中直紀 70 [元]副農相 (2)民現
笠巻健也 39 幸福党県役員 諸新
武田勝利 46 党県常任委員 共新
近藤正道 63 [元]予算委員(1)無現=[国][社]
安中聡 32 [元]派遣社員 無新
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※情勢調査関連グラフの数字で、小数点以下は四捨五入。合計が100%にならない場合がある
毎日新聞 2010年7月5日 地方版