中盤戦を迎えた第22回参院選。毎日新聞が2~4日に実施した特別世論調査の結果と取材を基に情勢を分析したところ、神奈川選挙区(改選数3)では、自民現職の小泉昭男氏が優位に立ち、民主現職の千葉景子氏も安定した戦い。民主現職の金子洋一氏が続き、みんな新人の中西健治氏が激しく迫っている。ただし、3割程度が投票先を決めていないうえ、争点となる消費税の増税論議など終盤の展開も予断を許さず、11日の投開票までに情勢は変化する可能性がある。(全国の情勢は10、11面に)【木村健二、杉埜水脈】
再選を目指す小泉氏は、自民が公認候補を1人に絞った手堅い戦略が功を奏し、自民支持層の7割をまとめる。政権交代前まで連立を組んでいた公明支持層の4割近くにも浸透。さらに、無党派層からは候補者10人中最も多い1割強の支持、内閣不支持層からも3割強の支持を得ており、政権批判層の一定の受け皿になっていることをうかがわせる。
5選を目指す千葉氏は民主支持層の3割を押さえた。女性からも、候補者中最も多い1割強、無党派層からも小泉氏に次ぐ1割の支持を受けている。法相としての知名度を存分に生かした戦いだが、陣営は「選挙に大丈夫は禁句」(選対幹部)と引き締めを図る。
昨年10月の補選で初当選したばかりの金子氏も、民主支持層の3割を固めたが、無党派層の支持が広がっていない。知名度不足を補おうと、菅直人首相ら閣僚や比例代表のタレント候補の大量投入によるテコ入れを受け、支持拡大に懸命となっている。
昨年8月の横浜市長選に無所属で出馬した中西氏は、みんな支持層の6割をまとめ、横浜市以外の地域でも支持を広げている。無党派層の1割近く、内閣不支持層の1割強に浸透しているが、より幅広い層からの支持が初議席獲得のうえで課題になりそうだ。
返り咲きを目指す共産元職の畑野君枝氏は、党支持層の8割を固めた。「3議席を消費税増税のみなさんに独占させない」と増税批判を強め、当選を果たした98年参院選の再現に期待をかける。
たちあがれ新人の松田学氏は党支持層の5割から支持を集め、石原慎太郎・東京都知事らの応援で追い上げを図っている。
社民新人の木村栄子氏は党支持層の支持が4割強にとどまり、出遅れが響いている。改革新人の甲斐敬浩氏は、舛添要一代表も県内入りし支持を訴えるが、伸び悩んでいる。
◆比例代表
比例代表の投票先の政党は、民主党と答えた人が3割と最も多く、自民党の1割強の2倍近くに達している。県内での参院選の比例代表は、04年、07年と民主が第1党を占め続けている。
「第3党」には、みんなの党(1割程度)が公明党(1割弱)を上回って躍り出た。共産党と社民党のほか、たちあがれ日本、国民新党、新党改革なども1割に届かず、支持が広がっていない。
消費税の引き上げとの関係を見ると、「賛成」と答えた人の4割弱が民主、2割弱が自民、1割強がみんなに投票すると回答した。「反対」と答えた人は、民主が2割弱、自民が1割強、みんなが1割となっており、引き上げの賛否と投票先に顕著な違いは見られていない。
一方、県内の政党支持率は、民主が07年比2ポイント減の33%と最高で、▽自民14%▽みんな8%▽公明5%▽共産3%▽たちあがれ2%--と続いた。社民、改革、国民新はいずれも1%にとどまり、支持政党なしが07年比8ポイント増の29%だった。
◆投票
無党派層の動向が選挙結果を左右するだけに、投票率の行方が注目される。今回の調査では、72%が投票に「必ず行く」と答え、07年の参院選時調査と並んだ。「たぶん行く」と合わせると、9割を超えた。
ただし、神奈川選挙区の投票率は過去4回、55%前後で推移している。今回は、消費税など有権者に身近な争点で投票意欲が上がる可能性もあるが、調査で同レベルだった07年の投票率も56・32%だった。
「必ず行く」と回答した比率は、年代別で20代の58%が最も低く、60代の83%まで年代を重ねるごとに増加している。
選挙が近づいてから争点として急浮上した消費税について、県内では、引き上げに「賛成」が50%に達して「反対」の44%を上回り、全国の傾向と異なる結果となった。特に、都市部で引き上げを支持する傾向にある。
支持政党別でみると、民主支持層の65%が引き上げに「賛成」し、「反対」は30%だった。また、消費税率について「当面10%」への引き上げを掲げる自民支持層でも「賛成」が56%で、「反対」の42%を上回った。
一方、「支持政党なし」の無党派層では、「賛成」が43%だったのに対し、「反対」が50%に達している。
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県内では、菅内閣について48%が「支持する」と答え、「支持しない」の31%を上回り、全国的な傾向と重なった。
支持政党別にみると、民主支持層の92%が「支持する」と回答した。一方、自民支持層では「支持しない」が67%、「支持する」が17%だった。野党支持層全体でも、「支持しない」が約6割、「支持する」が約2割となっている。
無党派層では、支持・不支持がともに33%で評価が分かれた。
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加藤文康 47 幸福党役員 諸 新
甲斐敬浩 46 税理士 改 新
山本誠一 38 [元]会社員 無 新
中西健治 46 [元]会社副社長 み 新
金子洋一 48 [元]大学院講師(1) 民 現=[国]
千葉景子 62 法相 (4) 民 現=[国]
畑野君枝 53 党中央委員 (1) 共 元
木村栄子 62 党県副代表 社 新
松田学 52 [元]財務省課長 た 新
小泉昭男 64 党県常任顧問 (1) 自[山]現
毎日新聞 2010年7月5日 地方版