11日投開票の参院選を前に、毎日新聞は2~4日の3日間、県内の有権者を対象とした世論調査(県内回答者1301人)を実施した。調査結果に支局取材を加えた中盤の情勢分析によると、埼玉選挙区(改選数3)では民主の大野元裕氏(46)がやや優勢で、島田智哉子氏(47)が追走。みんなの小林司氏(39)、公明の西田実仁氏(47)、自民の関口昌一氏(57)が激しく追い上げる展開となっている。共産の伊藤岳氏(50)は支持層をほぼ固めたが、社民の日森文尋氏(61)は支持層をまとめ切れておらず巻き返しを図る。無所属の長谷川幸世氏(30)、改革の中川幸司氏(30)、諸派の院田浩利氏(43)は知名度アップに懸命。ただ、現時点で投票態度を決めていない有権者も3割近くいて、終盤で情勢が大きく変わる可能性もある。【参院選取材班】(全国の情勢は10、11面)
大野氏は民主支持層の3割強をまとめている。無党派やみんなの支持層に加え、島田氏とともに社民の支持層にも一定の支持を広げている。
20代をはじめ幅広い年代に浸透する。男性に支持層が厚いのが特徴だ。地域ごとでは、さいたま市など県中央部や南部で支持を拡大。しかし東部では伸び悩みもみられる。
島田氏は民主支持層の3割強を固める。地域ごとに支援候補を決める「地区割り」を徹底し、大野氏と並ぶ勢い。無党派層にも一定程度浸透している。女性から幅広い年齢層で支持を集める。地元の川越市を始めとする重点地区の県西北部などで支持を広げている。投票態度を決めていない無党派層の票の掘り起こしに躍起だ。
小林氏はみんな支持層の8割弱を固め、無党派層では最も高い支持を集める。
消費税の引き上げに反対の立場を打ち出すが、反対派と賛成派の両方からの支持はほぼ同程度。とりわけ都市部の有権者や30~60代の男性からの支持に厚みがある。街頭演説に力を入れ、投票先が未定の人や無党派層への支持拡大を図る。
西田氏は、埼玉を全国で「最重点区」と位置づけた党本部が強力な支援態勢を組み、支持層の約9割を固めた。比較的郡部で支持を集めている。とりわけ70代以上の支持層が多い。07年参院選では自公協力体制の下、自民支持層からも一定の支持を得ていたが、今回は企業訪問やミニ集会に軸足を移し、独自に票の上積みを図る。
関口氏は自民支持層の7割弱を固め、選挙区に候補者を擁立しなかったたちあがれ日本の支持層も一部取り込む。菅内閣に不支持だった層のうち、候補の中では最も多い3割弱の支持も受け止める。各年代や男女、都市部や郡部で支持層に偏りがない。態度を決めていない自民支持層の2割と、無党派層への浸透に力を入れている。
伊藤氏は共産支持層をほぼ固め、社民支持層の一部にも食い込む。各年代、地域ごとの支持もまんべんなく集める。しかし同党が争点に掲げる消費税の引き上げに反対する層からの支持はまだ1割弱にとどまっている。
日森氏は社民支持層4割強をまとめるにとどまっている。年代別では50代以上に浸透。男女からまんべんなく支持を得る。同党が主張する消費税の引き上げに反対する層や、無党派層の取り込みに全力を挙げている。
長谷川氏、中川氏、院田氏は全県的な浸透が課題。選挙戦終盤に向けて支持拡大に努めている。
政党支持率は、民主36%▽自民12%▽みんな10%▽公明7%▽共産3%▽社民2%▽改革1%--の順。「支持政党なし」が23%で、このうち選挙区は46%、比例代表では38%がまだ態度を決めていない。
民主は全年代で支持率がトップ。自民は幅広い年代から1~2割程度の支持を集める。みんなは都市部の有権者や男性の支持が高く、公明は中高年の女性に強い。共産と社民は、若年層よりも40代以降の支持が目立つ。改革は1%にとどまった。
各党が激しい論戦を繰り広げている消費税の引き上げに「賛成」とした人は50%で、「反対」と答えた人の45%を5ポイント上回るにとどまり、賛否はほぼ拮抗(きっこう)した。また男性は55%が賛成と答えたが、女性の賛成は45%にとどまった。
賛成と回答した人のうち「比例の投票先」で最も多かったのは民主で46%。同じく公約として引き上げを掲げる自民を挙げた人は12%にとどまった。
逆に反対と回答した人でも比例の投票先には民主を挙げた人が20%で最多。続いて▽みんな16%▽自民14%▽公明13%--の順で多かった。
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西田実仁 47 党県代表 (1)公 現
院田浩利 43 幸福党県役員 諸 新
小林司 39 楽天執行役員 み 新
長谷川幸世 30 [元]会社員 無 新
島田智哉子 47 歯科医師 (1)民 現=[国]
大野元裕 46 [元]外交官 民 新=[国]
日森文尋 61 党県代表 社 新=[国]
関口昌一 57 党県副会長 (2)自[額]現
中川幸司 30 会社役員 改 新
伊藤岳 50 党県常任委員 共 新
毎日新聞 2010年7月5日 地方版