栃木

　◇荒木氏、上野氏が追う

　参院選は１１日に投開票日を迎える。毎日新聞社は２～４日の３日間、県内の有権者を対象に特別世論調査を実施した。計７０４人から得た回答と、これまでの取材結果を踏まえ、栃木選挙区の中盤情勢を分析した。民主現職の簗瀬進氏（６０）が一歩リードし、みんな新人の荒木大樹氏（３９）と自民新人の上野通子氏（５２）が追い上げる展開。共産新人の小池一徳氏（４９）はやや広がりを欠く。ただ、有権者の約２割が投票先を決めておらず、情勢は流動的だ。【参院選栃木選挙区取材班】（全国の情勢は１０、１１面）

　「改革の継続」を訴える簗瀬氏は民主支持層の約８割を手堅くまとめた他、無党派層の約２割を固めた。年代別では３０～５０代から他候補を上回る支持を得ている。衆院選の小選挙区別でも、大票田の宇都宮市を含む１区をはじめ、３区を除く全選挙区で他候補を上回り、県内全域で支持を集める。

　「第三極」として名乗りを上げた荒木氏は出足の遅れが懸念されたが、みんな支持層の約７割、無党派層の２割弱を固めた。みんなの党の渡辺喜美代表の地元である大田原市を含む衆院３区では他候補をリードしている。

　上野氏は自民支持層の約８割、公明支持層の約６割に浸透。年代別で２０代と７０代以上から他候補を上回る支持を得ている。だが、唯一の女性候補としてアピールしているものの、女性からの支持が十分に得られていない。

　小池氏は雇用と福祉の充実を訴え、比例選挙と連動した運動を展開する。共産支持層の約９割を固めたが、無党派層への支持の広がりに欠く。

　◇政党支持率、民主・自民とも減

　政党支持率は民主２８％、自民１３％と、０７年参院選の調査（民主３０％、自民１９％）より共にダウンした。みんなの党は１７％で自民党を上回っている。

　年代別では、３０～７０代以上で民主支持が自民支持を５～１９ポイント上回っている。比例で投票する政党でも２０代と７０代以上を除くすべての世代で、民主とみんなの党が自民を上回った。

　比例の投票先政党について聞いたところ、民主、自民支持層ともに１割近くの人がみんなの党に投票すると答えた。さらに、無党派層のうち、比例で民主、自民に投票すると回答したのは約１割にとどまったのに対し、みんなの党は約２割と最も高かった。

　◇消費税引き上げ、「反対」過半数

　菅直人首相が消費税率を１０％程度に引き上げる意向を表明したことから、新たな争点として急浮上した消費税問題。各党のマニフェストでは、民主が「税制の抜本改革」、自民が「１０％への引き上げ」を掲げる一方で、みんなは「３年間は増税しない」とし、共産・社民は引き上げ反対の方針を明確にしている。

　調査では、引き上げに「賛成」は３９％、「反対」は５２％。男女別では、男性で賛成と反対が拮抗（きっこう）しているが、女性では５６％の「反対」が多数派。年代別では、２０代は「賛成」２６％に対して「反対」が５０％と大きく上回っている。

　「賛成」と回答した人の支持政党で最も多かったのは民主で約４割、「反対」とした人は支持政党なしが約３割、続いてみんな支持層が約２割となった。

　◇投票、９割が「行く」

　投票に「必ず行く」は７０％、「たぶん行く」は２２％で、計９２％が「投票に行く」と答えた。０７年参院選の調査では「必ず行く」（６５％）に対し、実際の選挙区投票率は５６・６６％だった。

　年代別では、４０代以上の９割以上が「投票に行く」と答えるなど、３０～７０代以上のすべての世代で８割以上が「投票に行く」と答えている。ただ、２０代の約３割は投票に「行かない」「たぶん行かない」と答えた。

　◇政権の枠組み、民主単独２３％

　参院選後、民主がどの党と連立を組むのが望ましいかについては、「単独」が２３％で最も多く、続いて「みんな」が１９％、「自民との大連立」と答えた人も１０％いた。一方で現在連立政権を組んでいる「国民新」はわずか７％だった。

　民主支持層では、３３％が「単独」、２７％が「みんな」と答えたのに対し、「自民」「国民新」が共に９％だった。

　◇菅内閣、「支持」４割

　一方、菅直人内閣を「支持する」は４０％、「支持しない」は２９％。「支持する」と答えたのは民主支持層では約９割と高かった。一方、自民支持層の約６割、公明支持層の約７割、みんな支持層の約４割は「支持しない」と回答した。