11日投開票の参院選について、毎日新聞は2~4日の3日間、電話による特別世論調査を実施した。これに支局取材の情報を加味し、情勢を分析した。山梨選挙区(改選数1)では、民主現職の輿石東氏(74)が各地域で幅広い年代層から支持を集め、一歩リード。自民新人の宮川典子氏(31)が追い上げる展開となっている。共産新人の花田仁氏(49)と無所属新人の木川貴志氏(36)、無所属新人の根本直幸氏(44)は伸び悩んでいる。ただ、投票先を決めていない有権者も約3割おり、情勢が動く可能性もある。また、内閣支持率や消費増税の是非についても調査した。【参院選取材班】(全国の情勢は10、11面)
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■主要3候補の情勢分析
主要3候補の情勢を「政党支持別」「年齢・男女別」「地域別」で分析した。
◆政党支持別
輿石氏は民主支持層の7割強を固める。一方、宮川氏も自民支持層の約8割をまとめ、互いに支持層からは安定した支持を受ける。
今回から自主投票となった公明党の支持層は、約半数が宮川氏を支持する。自民、公明両党の県幹部は「参院で民主党が過半数を握ることを警戒する公明党支持層は、大半が宮川氏を支持する」と予測していたが、輿石氏にも2割近くが流れている。
約3割いる無党派層は、輿石氏が宮川氏をわずかにリード。ただ、半数以上は投票先を決めておらず、今後の無党派層の動向が情勢に大きく影響しそうだ。
花田氏は共産支持層の支持が約6割にとどまっている。
◆年齢・男女別
輿石氏が、20~70代以上の全世代から広く支持を集める。輿石氏と同世代の70代以上から約半数の支持を受けるほか、20、30代の約4割にも浸透する。
宮川氏は「世代交代」をキャッチフレーズに、若年層の支持拡大を目指してきたが、20~40代の支持は約2割にとどまっている。
男性の支持は輿石氏が大きくリード。女性の支持は、輿石氏に宮川氏が迫る構図だ。
◆地域別
07年参院選の世論調査では、町村部では自民候補が優勢だったが、今回は輿石氏が町村部で5割近くまで支持を広げ、都市部でも3割強の支持を集める。
宮川氏は都市部で2割強の支持を得て、追い上げを図る。
衆院選の小選挙区単位でも1~3区すべてで輿石氏が優勢だ。
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◆内閣支持率
菅内閣の支持率は49%で不支持率の24%を大きく上回った。発足直後に比べ、やや勢いは落ちたが、県内でも依然期待感が高いことがうかがえる。
全年齢層で支持率が不支持率を上回り、特に40代と60代以上では支持が半数を超えた。男性の支持率は56%、女性が43%だった。
支持政党別では、民主支持層の87%が支持し、自民支持層からの支持も16%あった。自民支持層の不支持率は58%だった。無党派層では支持が31%、不支持が24%だった。
◆消費増税
一方、消費税率の引き上げについては反対(53%)が賛成(40%)を上回った。
マニフェストで「消費税率10%引き上げ」を掲げた自民支持層でも59%が反対。民主支持層では賛成が57%だったが、反対も38%あった。
◆支持政党
政党支持率は民主が34%でトップ。自民(15%)を倍以上引き離した。04年参院選の世論調査では、自民(29%)が民主(15%)を大きく上回っていたが、前回07年の参院選で逆転、政権交代を経てその差は広がった。
他の主要政党は、みんなの党6%▽公明4%▽共産3%▽社民2%--などいずれも1けた台。「支持政党なし」は28%あった。
全世代で民主が自民を上回り、特に70代以上では最も多い49%が民主支持と回答した。都市部と町村部で地域差はみられなかった。
比例代表の投票先も民主が優勢。続く自民は一部の世代でみんなの党と競り合う。
民主支持層の7割強が民主に、自民支持層の約8割が自民に投票すると回答したが、無党派層では民主、自民両党が1割強で拮抗(きっこう)しており、約2割が投票態度を決めていない。
◆連立のあり方
参院選後、民主党がどの政党と連立を組むのが望ましいかとの質問では「民主党の単独政権」が26%で最も多かった。次いで「みんなの党との連立」が13%で、「自民党との大連立」(12%)をわずかに上回った。
民主支持層では、36%が単独政権を望む一方、14%がみんなの党との連立と回答し、国民新党との連立維持(13%)より多かった。
一方、みんなの党支持層の60%が同党と民主党の連立が望ましいと回答。「民・みん」連立への期待が双方の支持層にあることがうかがえる。
一方、自民支持層では「民・自」大連立が望ましいとの回答が33%で最も多かった。
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※情勢調査関連グラフの数字で、小数点以下は四捨五入。合計が100%にならない場合がある
毎日新聞 2010年7月5日 地方版