11日の投開票日まで1週間に迫った参院選で、毎日新聞社が2~4日に行った特別世論調査(県内回答者959人)結果とこれまでの取材を総合し、中盤情勢を探った。宮城選挙区(改選数2)では民主現職の桜井充氏と、自民新人の熊谷大(ゆたか)氏が一歩リード。民主新人の伊藤弘実氏、みんなの党新人の菊地文博氏が追う展開。ただ、投票先が未定の有権者が2割以上おり、情勢は変わる可能性がある。【鈴木一也、比嘉洋】(全国の情勢は8、9面)
◆政党支持
2期12年の実績を武器に戦う桜井氏は、後援会や業界団体を中心に組織選挙を展開。民主新人の伊藤氏と分け合う形で同党支持層の5割を固めた。県内全域で幅広い支持を集め、特に仙台市や県南で頭一つ抜け出している。年代別では30~50代の支持が高い。
若さを前面に押し出す熊谷氏は、20代から高い支持を得る一方で、70代以上にも浸透。自民支持層の6割、公明支持層の4割を固め、無党派層からも一定の支持を集めている。県東部で他候補をリードしており、09年衆院選で自民候補が唯一当選した衆院6区でも順調な戦いぶりを見せる。
唯一の女性候補の伊藤氏は、20~30代の女性から支持を集めるほか、70代以上の男性の支持も高い。社民支持層の3割弱に食い込み、仙台市を中心に無党派層への支持も広げているが、民主支持層は3割にとどまっている。
菊地氏は民主、自民両党を批判する選挙戦を展開。20代の男性と40代の女性の支持が高く、県議時代の地盤の仙台市で一定の支持を獲得している。
自民推薦の無所属で出馬した現職の市川一朗氏は、自民支持層への浸透が1割強にとどまっている。60~70代以上の支持が高く、県東部や北部で浸透を図る。
共産新人の加藤幹夫氏は、共産支持層の7割を確保。09年衆院選で立候補した4区を中心に票固めを進める。社民新人の菅野哲雄氏は、社民支持層の5割強を固めた。地盤の気仙沼市などを中心に支持を集める。幸福実現新人の村上善昭氏は県北を中心に支持拡大を目指す。
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県内での政党支持率は、民主が31%で自民の19%を大きく上回った。第三極ではみんなが7%を獲得し、09年衆院選の1%から躍進。ただ、「支持政党なし」とする無党派層も31%を占めた。
民主は50代と70代以上の男性から4割以上の支持を獲得。女性では20代と60代から3割以上の支持を得た。県内全域で自民を上回るか並ぶ強さを見せ、特に仙台市で倍以上の支持率を獲得し突き放している。
自民は20代の男性と70代以上の女性から民主を上回る支持を得た。石巻市などを含む衆院5区での支持率は民主と並んでおり、町村部で肉薄する。
みんなは民主、自民両党への批判の受け皿として存在感を発揮。仙台市を中心に男性は50~60代、女性は50代から高い支持を得た。
一方、「支持政党なし」の無党派層は31%で、09年衆院選から6ポイント増加。特に20~40代で4割近くに上っており、無党派層の動向が情勢を左右しそうだ。
◆連立
参院選後に民主党と連立を組むのが望ましい政党を尋ねたところ、県内では「民主党の単独政権」との回答が30%で最も多かった。一方、自民やみんなとの連立を望む意見が、国民新党との連立維持を望む意見より多かった。民主支持層の中でも国民新よりみんなとの連立を望む声が多かった。
支持政党別に見ると、民主支持層は47%が民主単独政権を希望。13%がみんなとの連立、8%が国民新、7%が自民との大連立をそれぞれ希望した。みんなの党は連立に否定的な姿勢を示しているが、民主党の枝野幸男幹事長が行政改革などの政策面での連携を呼びかけたこともあり、「行政の無駄遣い削減」を望む一部の有権者が、みんなとの連立を支持したとみられる。
自民支持層は28%が、自民と民主との大連立を望む一方で、23%が連立より民主単独政権を望んでいる。みんな支持層も41%が連立を望む一方で、23%が民主単独政権を求めた。
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菊地文博 50 [元]県議 み新
熊谷大 35 [元]松下塾生 自新
村上善昭 37 幸福党県役員 諸新
桜井充 54 党参政審会長 (2)民現=[国]
加藤幹夫 46 党県政策委長 共新
伊藤弘実 36 会社社長 民新=[国]
菅野哲雄 61 党県代表 社新
市川一朗 73 [元]副農相 (3)無現=[自]
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※情勢調査関連グラフの数字で、小数点以下は四捨五入。合計が100%にならない場合がある
毎日新聞 2010年7月5日 地方版