「子どもは先生を選べないから、仕方ないです」。大阪府内の公立小学校に勤める韓国籍の教師は、担任をする児童の保護者に面と向かってそう言われたという。
朝鮮半島にルーツを持つ人が多い大阪では、社会の理解も他府県より進んでいるだろうと甘く考えていただけに、ショックだった。在日の子どもの在籍率が高い学校でも、日本名を使わせる保護者は少なくない。
別の韓国籍の教師は、20歳になるまで日本名を使い、韓国人であることを隠してきた。「民族の違いを男女の違いのように自然に受け入れられる子に育てたい」。自らの経験を踏まえ、そう願う。
府内の小中高校には外国籍の教員が100人以上いる。理不尽を感じながらもルーツに向き合って生きてきた大人が身近にいることで、違いを認めるとはどういうことか、子どもが肌で感じる部分もあるだろう。外国籍の教師の利点を生かせるかどうかは、受け入れる日本人側にかかっているのではないだろうか。【田中博子】
毎日新聞 2010年7月3日 東京朝刊
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