戦時中、広島市内で路面電車を運転していた女学生たちの話が演劇になり、被爆電車の中で上演されました。
「チンチン! 動いとる! 本当じゃ。うちが運転しとるんじゃ」(演劇「桃の実」)
原爆が投下される前後に広島市内で路面電車を運転していた女学生たち―。戦時中、広島電鉄が設立した「家政女学校」の実話がもとになっています。
東京の劇団が企画し、市内を走る被爆電車の中で上演されました。
「あなた達は男子にかわり広島電鉄に入学…」「はい、校長先生!」
「わ〜福屋百貨店ってこんなに大きかったんじゃ!」
「さすが大都会広島じゃね〜!」(演劇「桃の実」)
家政女学校は戦争で男手が少なくなったため、路面電車の運行に女学生の力を使おうと、原爆投下の2年前につくられました。
夢をもって入学した女学生たち。待ち受けていたのは、原爆投下でした。
「川を無数の死体が連なって…天に焼かれる」
「うちらのほかに誰が電車を動かす? 誰がこの町を生き返らす?」(演劇「桃の実」)
女学生たちは、自らも傷つきながら被爆から3日後の8月9日、電車の運転を再開させます。
戦後、家政女学校は突然、廃校となり、女学生たちがふるさとへ帰っていくまでの話がおよそ1時間にわたり上演されました。
観客の中には当時、家政女学校に通っていたという女性もいて、この女性の被爆体験も読み上げられました。
「あそこまで熱演して下さると思ったらね、当日のことが思い出されて感無量」(演劇を見た人)
観客は当時、路面電車を運転していた女学生がいたことや65年前の原爆の惨状に思いをはせていました。(7/5 19:22) |