2009年04月21日
多量飲酒で、膵がんリスク上昇。
50―71歳の米国人男女470,681人を平均7.3年追跡したところ、飲酒が一日１杯未満のグループと比べて、3杯以上（アルコールで約40g以上）のグループでは、膵がんのリスクが1.45倍に高まった。論文はAmerican Journal of Epidemiology 2009年5月１日号に掲載された。
相対リスクは次のようだった。
�“鶲�酒者 1.14
��軽度飲酒者（一日１杯未満） 1.00（基準群）
�Ｃ翕抂�酒者（一日１杯以上３杯未満） 0.96
�ぢ仁粍�酒者（一日３杯以上） 1.45
�“鶲�酒者の方が、��軽度飲酒者よりリスクが高かった。これは、軽度飲酒が予防になるというより、非飲酒者の中に病気で飲酒を止めた人が含まれているため、見かけ上リスクが高くなっている可能性があった。そのためこの研究では、�“鶲�酒者ではなく��軽度飲酒者を基準群にした。
�Ｃ翕抂�酒者では、リスク上昇がなかった。�ぢ仁粍�酒者のリスク上昇を酒の種類別で見ると、ウィスキーなどの蒸留酒ではリスクが上がったが、ビールとワインではリスク上昇を認めなかった。
喫煙は膵がんのリスクを高めることがはっきり分かっている。また、喫煙者は飲酒もすることが多い。そこで、喫煙の影響を取り除くため、喫煙状態ごとにグループ分けして分析した。
すると、非喫煙者では、多量飲酒者でリスクが1.35倍と高かったが、有意差はなかった。喫煙者では、多量飲酒者のリスクは1.50倍と有意に高かった。
非喫煙者でしかも多量飲酒のグループで有意なリスク上昇があれば、喫煙の影響を除去しても多量飲酒のみでリスクが上昇することがはっきり言えたはずだ。けれども、このグループは5,870人、膵がんは16例と少なかったので、有意差までは認めなかった。
結局、多量飲酒による膵がんリスク上昇を認めたものの、それが喫煙の影響で見かけ上生じている可能性を、完全には排除できなかった。50万人という大規模集団でも、非喫煙者でしかも多量飲酒者の集団を、多数確保することができなかったためだ。
⇒かつては5−10万人で大規模コホートと呼んだが、最近は50−100万人という超大規模コホートが増えている。今回の米国立がん研究所による50万人研究の他にも、英国の50万人遺伝子コホート、ヨーロッパの50万人コホート、韓国国民健康保険加入者の80万人コホートなどがある。
日本でも今からこの規模の研究を立ち上げないと、10年後には大きく立ち遅れる可能性があるが、寡聞にしてそういう話は聞かない。
論文要旨
相対リスクは次のようだった。
�“鶲�酒者 1.14
��軽度飲酒者（一日１杯未満） 1.00（基準群）
�Ｃ翕抂�酒者（一日１杯以上３杯未満） 0.96
�ぢ仁粍�酒者（一日３杯以上） 1.45
�“鶲�酒者の方が、��軽度飲酒者よりリスクが高かった。これは、軽度飲酒が予防になるというより、非飲酒者の中に病気で飲酒を止めた人が含まれているため、見かけ上リスクが高くなっている可能性があった。そのためこの研究では、�“鶲�酒者ではなく��軽度飲酒者を基準群にした。
�Ｃ翕抂�酒者では、リスク上昇がなかった。�ぢ仁粍�酒者のリスク上昇を酒の種類別で見ると、ウィスキーなどの蒸留酒ではリスクが上がったが、ビールとワインではリスク上昇を認めなかった。
喫煙は膵がんのリスクを高めることがはっきり分かっている。また、喫煙者は飲酒もすることが多い。そこで、喫煙の影響を取り除くため、喫煙状態ごとにグループ分けして分析した。
すると、非喫煙者では、多量飲酒者でリスクが1.35倍と高かったが、有意差はなかった。喫煙者では、多量飲酒者のリスクは1.50倍と有意に高かった。
非喫煙者でしかも多量飲酒のグループで有意なリスク上昇があれば、喫煙の影響を除去しても多量飲酒のみでリスクが上昇することがはっきり言えたはずだ。けれども、このグループは5,870人、膵がんは16例と少なかったので、有意差までは認めなかった。
結局、多量飲酒による膵がんリスク上昇を認めたものの、それが喫煙の影響で見かけ上生じている可能性を、完全には排除できなかった。50万人という大規模集団でも、非喫煙者でしかも多量飲酒者の集団を、多数確保することができなかったためだ。
⇒かつては5−10万人で大規模コホートと呼んだが、最近は50−100万人という超大規模コホートが増えている。今回の米国立がん研究所による50万人研究の他にも、英国の50万人遺伝子コホート、ヨーロッパの50万人コホート、韓国国民健康保険加入者の80万人コホートなどがある。
日本でも今からこの規模の研究を立ち上げないと、10年後には大きく立ち遅れる可能性があるが、寡聞にしてそういう話は聞かない。
論文要旨