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本紙記者コラム「見た・聞いた・思った」
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2004/10/24付紙面より 過去のコラム一覧へ

カズ魂 代表に何残す

スポーツ部 盧載鎭記者

 日本代表MF中村俊輔(26)が、横浜の実家に大事に保管している1枚の写真がある。

 98年2月。当時、19歳だった中村は初めて日本代表の合宿(オーストラリア)に招集された。日本が初めてW杯出場を決め、フランスに向けての選考合宿だった。同じユニホームを着て練習しても、互いがライバル同士。もし中村が生き残れば、予選を勝ち抜いた誰かが、選考から漏れることになる。

 「食事会場でもみんな黙々とご飯を食べるだけで、静かで異様な雰囲気だった。みんなピリピリしていて練習の合間にも冗談を言う人はいない。代表って怖いところだなと思った」。慣れない環境にストレスはたまる一方だった。「みんなW杯出場に向けて必死なんだ」と自分に言い聞かせて納得するしかなかった。

 サバイバル合宿中に救いの手を差し伸べた人がいた。「緊張するなと言っても無理だろうけど、緊張しなくていいんだよ。自分の持っているものを普通に出せばいいからね」。カズこと三浦知良だった。時間にして5分程度。ほかにも豊富な経験をもとに、いろんなアドバイスを受けたが、緊張のあまり全く耳に入らなかった。

 「懐が深いというか、やはりキングだったね。今でもあの場面は鮮明に覚えているよ」。後日、その光景を撮ったカメラマンから写真をプレゼントされた。練習終了後、汚れた練習着を着たまま、グラウンドに座って一生懸命カズの話を聞いている自分がいる。

 「元気がない時、スランプの時、ケガした時は実家に戻ってその写真を見て元気をもらっている。いつ見ても新鮮だね」。世界一と評されるセリエAでプレーし、日本代表の不動の司令塔の座に上り詰めようとする今も、その写真があるから初心に戻れる。疲れた時は力を与えてくれるような気がする。

 そのカズが、11月のシンガポール戦で代表に復帰するかもしれない。記者からジーコ監督の仰天プランを聞いた中村は、口を閉ざして考え込んでしまった。数分後、静かな口調で聞いてきた。「カズさんはなんて言ってる?」。「前向きに考えているらしいけど」。「それならよかった。やはりジーコさんは神様だね。考えが深い。日本代表はもっと強くなるよ」。

 シンガポール戦は、オマーン戦に出場した欧州組は招集されない。サブ組主体の合宿になるが、カズが加わることで、代表全体の底上げにつながると信じている。今までカズと接点がなかったメンバーが、じかで貴重な話が聞くことができる。中村に続く選手が現れるかも知れない。

 「俊輔がカズの立場ならどうする?」と聞いた。「現役を続ける以上、代表へのこだわりはあるから、考えるだろうね。でもカズさんはそれ以上のものを考えて前向きに答えたと思うよ」。

 それ以上のもの。シンガポール戦は結果より、課程が大事になるだろう。約1週間の合宿で、カズが代表に何を残すのか。試合ではどんなものを見せるのか。シンガポール戦を含め、それ以降の楽しみが増えた。

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   column@nikkansports.co.jp
盧載鎭(ノ・ゼジン)
 スポーツ部。1968年、韓国ソウル生まれの36歳。杏林大卒。88年来日し、96年入社。これまで相撲などを担当し、現在サッカー担当。2度のW杯を取材。
飯島記者の写真

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