アメリカ軍がイラク戦争や湾岸戦争で使った「劣化ウラン弾」による健康への被害が指摘されている問題で、イラクのオスマン環境相は、ことし10月にもバグダッドで専門家による国際会議を開き、この問題を科学的に検証したいという考えを明らかにしました。
劣化ウラン弾は、戦車などの厚い鉄板も貫通し、さく裂した際に飛び散る放射性物質が人体に取り込まれると、がんなどを引き起こすおそれがあると指摘されています。イラクでは、子どものがんが急増していると報告され、原因の一つとして劣化ウラン弾の影響をあげる医師も少なくありません。この問題で、NHKのインタビューに応じたイラクのオスマン環境相は「劣化ウラン弾の影響を懸念している。国際社会と協力して科学的に対処したい」と述べ、ことし10月にも、日本を含めた各国から専門家を招いて国際会議をバグダッドで開き、この問題を科学的に検証したいという考えを明らかにしました。会議では、放射能によって汚染されているおそれがある戦車などの残がいをどのように処分するかも話し合われることになっています。劣化ウラン弾をめぐっては、ことし9月からの国連総会でも話し合われる見通しで、イラクとしては、国際会議の開催をきっかけに劣化ウラン弾をめぐる問題に関心が高まり、国際社会からの支援を受けられることに期待しています。