情報技術(IT)を悪用した「サイバー犯罪」で、県内の昨年の摘発件数が前年比で約2・2倍となる492件に上り、統計が残る2000年以降最多だったことが、県警のまとめで分かった。インターネットを介した詐欺事件など、暴力団が絡んだ事件の摘発もあり、新たな資金源を求める動きとして県警が警戒を強めている。
県警によると、サイバー犯罪の摘発数はインターネットの普及などに伴って年々増加。2000年は15件だったが、08年は約15倍の221件に上り、昨年は492件と倍増した。
昨年の摘発件数のうち、約8割の379件が不正アクセス禁止法違反事件。メールで偽の銀行サイトに誘導し、パスワードなどを取得する「フィッシング詐欺」の手口で、預金を勝手に引き出される被害が目立った。暴力団が絡んだグループが摘発され、前年の4件から大幅に増えた。
一方、ネットオークションで代金をだまし取るなどの詐欺事件は、08年の106件から5件に減少。県警は、商品購入者がネット銀行に一時預けた代金が、商品受け渡し後に出品者に入金される「受け取り後決済」の利用が進んだことが要因とみている。
また、インターネットをきっかけにした児童買春・ポルノ禁止法違反事件は前年の28件から、43件に増加。県警は未成年者と知り合う場が、出会い系サイトから、法規制のない自己紹介サイト(プロフ)や、仲間づくりや情報交換を目的とした会員制のソーシャルネットワーキングサービス(SNS)に移っている可能性も指摘する。
県警は「家庭や学校でも、インターネットが犯罪の窓口になることがあると指導してほしい」と呼び掛けている。
=2010/07/04付 西日本新聞朝刊=