郵便事業会社(JP日本郵便)の宅配便「ゆうパック」で、1日から3日にかけて大規模な配達の遅れが出た。日本通運の「ペリカン便」を1日に吸収して取扱量が増えたことなどから、首都圏経由の荷物を中心に配送が滞った。遅配がしばらく続く可能性もあるが、日本郵便は「遅れの全体像を把握できない」として、3日夜の段階でも遅配の事実などを公表していない。
ゆうパックの荷物は、郵便局など地域の窓口で預かったあと、都道府県ごとの拠点支店に集める。それぞれ届け先近くの拠点支店に送ってから、さらに仕分けて、配送を受け持つ地域の郵便局などに送られる。日本郵便によると、新東京支店(東京都江東区)や東京多摩支店(東京都府中市)、大阪南港ターミナル支店(大阪市住之江区)といった拠点支店で作業に遅れが出た。
このため、地方から首都圏、関西圏向けに配送されるなどした荷物の多くが、生ものも含めて指定された期日に届かない状態になっている。
日本郵便では、ペリカン便の吸収で荷物量がこれまでの1日当たり約60万個から、約107万個に増えた。店舗も約7万4千店から約13万4千店に膨らみ、事務量が増えた。最大拠点の新東京支店では、これまで1日平均で約16万個を扱っていたが、25万個に増える計算だったという。
7月はお中元の集配で忙しく、11日の参院選の投開票を前に選挙関連の荷物の取り扱いも増えたことも作業量の急増につながったとみられる。
ゆうパックとペリカン便の集配のシステムを併存させる形でスタートしたことも混乱に輪をかけた。一方のシステムに習熟した従業員が、他方の仕分けの作業手順を間違えることもあり、こうしたミスの重なりが大規模な遅配を招いた可能性もある。日本郵便は「訓練はしてきたが、大量の荷物を前に慌てた」(広報)。必要に応じ、利用者への賠償も今後検討するという。