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2010年6月18日 (金)

金価格高騰の「謎」

ここのところの金価格高騰について、バーナンキ議長は先週の議会証言で「わたしは金相場の動きを十分に理解できない」と述べた。グリーンスパン前米連銀議長の頭を悩ませたのは長期金利の動きだったが、バーナンキ現議長も解けない金相場の問題を抱えていることになる。

金相場はこの1年間でほぼ30%上昇した。リーマンが破たんした2008年9月、金投資を拡大していた投資会社があった。そのスーパーファンドの投資責任者ヨハン・サンター氏は当時、金相場は向こう2、3年でオンス1500ドルに達すると予想し、投資家から、冷笑を持って迎えられていた。しかし金相場が1230ドル付近に上昇した今、予想は賞賛を持って迎えられている。

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バーナンキ氏にも不可解な金相場高騰の理由について、議論するのはなかなか難しいのだが、現に生じている経済事件をあげつらうことは出来る。

誰の目にも明らかな、その最大の出来事は、欧州の経済不安であろう。ギリシャが贅沢な暮らしをするために外国から借り入れていた借金が、返済できなくなっている。それが、ついには、欧州経済連合の破綻にまで波及しだした。

これでは、ユーロは下がり続ける。それではドルに換えればよいのかと言うと、米では英国石油の油井事故や、ゴールドマン訴訟が持ち上がっている。それらの解決の仕方によっては、政権が傾くほどだ。これではドル暴落にもなりかねず、ドルに換えて安心と言うわけにはいかない。

確かに金Auは、ニクソンショック以来一貫して値上がりしている。しかし、現物は持って居ても利が付かないばかりか保管料を取られる厄介な代物だ。インフレに強いといわれているが、平均株価もインフレに強いし、取り扱いも簡単で、こちらには上手く買えば配当が付く。

常識的には、何故金相場が高いのか、確かに分からないというべきだろう。

ところが、何にでも理由をつけて解説したがる人たちは居るもので、先ほどの、ギリシャの債務不履行も、金相場高騰の原因にされている。そして、何よりも、世界の金融制度に対する不信感がその大きな理由であるとされている。

しかも金相場高騰を演出している投資家というものは、人を騙して儲けているような人達なので、先ほどのスーパーファンドも、もう金の売り手に回っているかも知れないのだ。例えばゴールドマンなどは、クズ債権を高値で売りぬけ、その行為を現に詐欺罪で訴えられている。

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そして金融制度については、一体全体誰が、その金融制度の維持に努力しているのかという大問題がある。米では、政府とバーナンキ氏がその責任者だ。ところが欧州には統一政府も無ければ、連銀も無い。欧州は、責任者不在なのである。

これでは、金も上がるというものである。それは、欧州経済連合が破綻し、各国政府が、金融制度の責任者になり、制度維持に熱心に取り組みだすまで、上がり続けると考えるべきだろう。

金は、その量が少なく、希少性がある上に、劣化しないため、古くから貨幣として使われてきた。ところが現在の世界経済の規模では、金本位にすれば金価格は天文学的な値と成り、工業材料として使用できなくなる。経済学者ジョン・メイナード・ケインズが、かつて「未開時代の遺物」と切り捨てたように、現世界の経済を金本位で行うことは不可能なのである。

参考

【ブルームバーグ 6月14日コラム】バーナンキ米連銀議長を悩ませる金相場上昇-W・ペセック、更新日時: 2010/06/14 14:49 JST http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920021&sid=aqhanWjOvoDw

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金価格高騰の「謎」を参照しているブログ:

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中山恭子元拉致担当相が自民離党届

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100618/stt1006181940006-n1.htm


自民党参院議員の中山恭子元拉致問題担当
相(70)は18日、党本部に離党届を提出した。
夫の中山成彬元国土交通相(67)が7月11日
投開票の参院選にたちあがれ日本から出馬の
意向を固めたのが理由。ともに、たちあがれに
入党する方針だ。

祝!中山成彬先生たちあがれ日本参加

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