女スパイをいじろう!!その5

ようやく(”元”非悪堕ち・MC)の冠をとる決心がつきました。
白桃の句です。

まだまだ、自分でもどう収拾がつくのか分からないところがあるのですが……。
がんばりまーす!!

では5話目です。どぞー
「わたし……は……」
「そうだ、お前の名は?」
「ひいらぎ……あずみ……」
「柊アズミ。ほう、日本人にもいるのだな、スパイという人種は」
「あぅ……」
「さあアズミ君。君に仕事を依頼し、マキャロンの機密を盗もうとした輩は誰だ」
「あ、う、え、えふ、うぐっ」
「耐えるか。流石だな」
 プシュッ
「あっ」
「もう一度聞こう。君をマキャロンに寄越した奴は誰だ」
「……えふびー、あいの……マルカムそうさ、かん」
「ふん!まだ懲りないと見えるな。我がマキャロンに手を出しても無駄だとまだ分かってはいないようだ」 
「はぁ、はぁ……」
「だが感謝するぞ。FBIがお前のような上玉を私にプレゼントをしてくれたのだからな」
「わたしは……あなたになんか……」
「フフフ、少し、遊ぼうか」
「あそ……ぶ……」
「正直に答えろ。まあ、耐えるのが無理だと言うことはもう既に分かっているだろうが」


【現在】
私は映像の再生を一旦ストップした。そして、観客であるアズミの顔を窺う。
面白いぐらいに心が見透かせる、絶望の顔。
顔を青く染めて、口をわなわなと震わせるアズミの表情は、私の意図通りに事が運んでいることを意味する。
彼女は食い入るように、目の前に設置されたモニタを見ていた。映りだされたのは、彼女自身の記憶から消去された、彼女の記録。
「うそ……そんな……」
身に覚えが無い。
そう言いたげだが、モニタに映し出された記録は事実だ。
彼女は既に告白しているのだ。
全てを、この私に。
「まあ、こういうことだよ。君は既に私に秘密を漏らしている。記憶には無いかもしれないがね。そうだな、確か君が私と出会って、一時間後のことだったのではないかな」
アズミから目を離して、私は秘書に目配せをした。二人の秘書が、再びアズミに絡みつく。
秘書達がまたアズミ肌に触れた。ついさっきの、荒々しい責めとは違う、優しく、安心感さえ与えるような、マイルドな性感マッサージが行われる。イかせるのが目的では無い。ただ、心に安らぎを与えるための性感帯刺激だ。
「嘘……嘘よ……」
アズミは、体を愛撫されているのにも気がつかぬ様子で、停止した記録に目を釘付けにしていた。  
「アズミ君も続きが気になるようだね。いいだろう、続きを見ようではないか」
私は映像を再生した。
アズミを見ると、青がかった表情に、ほんの僅かにだが、赤が差し始めたのを確認できた。

【映像】
「お前には今、彼氏がいるのか」
「う……いない……」
「そうか。ではそっちの経験は……」
「……ある……うっ」 
「君の口が秘密を漏らすのは薬の力のせいなんだ。抗わない方が君の為になると思うが」
「ゆる……せないわ……こんな仕打ちなんか……」
「許さない、か。でもその憎しみも長くは続かないよ。君は『こんな仕打ち』を、綺麗さっぱり、記憶から消去されるのだからね」
「……どういうことよ」
「これだ。……この錠剤を飲めば、君の意識は催眠状態に向かう。とても深く、リラックスした精神状態になるだろうね」
「だから……」
「だから何だ、そう言いたいのだね。これから話すところさ、話は最後まで聞きたまえ。……催眠状態になった君の脳は、無意識が非常に活発になった、暗示を受け入れやすい状態になる。死ね、だとか、俺の物になれ、というような、土台、無理な暗示では無い限り、だいたいの暗示は受け付けるようになるだろう」
「……」
「突然だが、アズミ君。君が処女を喪ったのは何時だね?」
「ぐあっ……じゅろく、じゅうろく」
「ほらほら、無理をしないでいいんだ。さっきも言ったが、我が社の自白剤の力は本物だよ?人体には一切害は無いが、我慢する者には苦痛を与える、それがこの薬の効果。決して抗えるものではない。私からアドバイス出来ることは、口をふさごうとしても無駄だということ、苦しみたくないなら、薬の効果に従順になること、その二つだ。私だって、君の苦しむ姿を見たくはないからね」
「この……」
「まだ強さは失わないのか。立派だよ、君は」
 プシュッ
「いっ……!」
「自白剤を追加したよ。これでさっきよりは抵抗する気も失せるだろう。さて、アズミ君。君が初めてオナニーをしたのは何時なのかな?」
「じゅういち、じゅういちさ、い、じゅう、いち」
「はは、薬が効き過ぎたか。そう何度も告白しなくてもよろしい」
「ううっ、ゆるせな」
「では、さっきの話の続きをしようか……」  


【現在】
秘書達のマッサージを受けてか、アズミの目が、力の無い、トロンとしたものに変化した。あえて乳首や陰核を避け、その周囲を甘くさする愛撫は、親に甘える赤ん坊のような気持ちにさせられるのだろう。
であるが、可愛そうなことに、アズミは身に覚えの無い過去に気を取られ、心までは安らげていない様子だった。
「ああ……そんな……そんな……」
安らぐ体と、失意に苦しむ心。その相反する心身の状態が、アズミの均衡を着実に崩していくのだ。
思わず、私は舌舐めずりをした。
「君はいろいろ教えてくれたよ。君の初体験の記憶や、一人であそこをいじる時の女の気持ち、他にもあっただろう?」
揺れる心とは裏腹に、彼女の顔は淫ら色に染まっている。

【映像】
「……きもちいいのよ……ん!あぐ、あそこを……ゆびでなぞって……そうした、らぁ、きもち、よく、うあ!!……なってきて」
「男とやるのとどちらの方がいい?」
「おとこ……おとこの、こ、あう、おとこぉ」
「心を殺す、スパイの君も、立派な女だと言うわけだね?セックスの時には声も上げるわけだ」
「あたりまえじゃ、ないの、いっ!……ああっ!!」
 プシュッ
「ん!!すごいこえを、あげるのよ。とてもすごいんだから……」 
「淫らな声を。かね」
「ちがっ!!あっ、ああ!!そうですそうですそうですうう!!!」
「それは楽しみだ。もう少し、私は君を知っておきたいが……アズミ君。私に全てを告白するのは、もう、嫌かね」
「いやよ!いや!!いやいやいやいやいや!!!!」
「とても正直でよろしい。でも、君はいくら告白しても良いんだ。なぜなら、これまでのことを忘れることができるのだからね」
「わすれるなんて」
「この催眠剤を飲み、変性意識に陥った君の耳に、我が社が開発したこの特殊音声生成装置によって、強力な暗示を与える。たったそれだけで、君は忌まわしい記憶を消すことができるんだ」
「わたしはあなたのおもいどおりになんか」
「だいぶ自白剤に心がやられてきているようだ。声に抑揚が無くなってきているよ」
「っ……」
「さて、この機会に君のことをもっと知っておこうか。例えば……君のつらい過去を、ね」
「つらいかこ」
「そうだ。思いだしたまえ。君の人生の中で、最もつらい、忘れたい過去を」
「やめ、はなしたくない!!それだけは」
「思い当たることがあるようだね。では、話していただこう。私は君の全てを知りたいのでね」 



【現在】
過去の自分が、全てを赤裸々に告白していく様を、アズミは絶望の内に見つめている。
体を弄ばれながら。頬を快感に赤らめて。
頬をつたっては落ちていく涙は何のために流す涙だろう。歓喜が、絶望か。
「はぁはぁあ」
表情と喘ぎがまるであっていない。
アズミの心の崩壊はすでに始まっている筈だ。直に、心が逃避を求めだすだろう。その時こそ、アズミを私の物にする、最大のチャンスだ。
「どうだ?苦しいか?」
アズミに優しく問いかけてやる。
「あっ、はぁん、うう……きもち……いい……」
虚ろな視線は、既にモニタには向いていない。首をうなだれて、彼女はただ、地を見続けていた。さっきまではか細かった喘ぎも、快感を求めるかのように強くなっていた。否、喘ぎどころか、露骨に、今感じている気持ち良さを口にしさえしている。
この女は、忌むべき現実の象徴である、自らの告白から意識を逸らし、快感に身を委ねようとしている。喘ぎ声が大きくなってきたのは、気持ちが高ぶったせいもあるのだろうが、自らの告白を聞かないようにするため、意識を逸らしているためと言った方が良いのかもしれなかった。
音量を上げた。目は遠ざけることが出来るが、喘ぎ声によって罪の告白をかき消すなど、所詮限界がある。
「さあ、君が忘れたいと願う、過去の記憶の告白だ」
映像の中のアズミが、半ば壊れた表情で、自らの「過去」を語り始めると、快楽の世界に逃避するアズミの体が、おびえた子供のように震えだした。

【映像】 
 プシュッ
「がう、あ、わたしはつみをおかしました。わたしがかれをころし、ころしたの、いや、いやあ、ゆるして、ゆるして!」
「彼とは誰だね?」
「こいびと、だったひと、あいして、あいしてたの、わたし、ああ!!いあああ!!!あいしてたのお!!!」
 プシュッ
「ああ……ゆるし」
「くくく、よほど辛かったんだろうねぇ。君がこんなに苦しむ姿は初めてだよ」
「もう、ゆるひ、ゆるしてぇっ」
「正直に話せば、君のその記憶も消してやろう。忘れたいのだろう?」
「わすれることはでき、ない」 
「なぜだ?辛い過去なのだろう」
「わたしは、つぐなわなければ、うぐ、いけないから」
「ああ、そう言うことか。罪を償わなければならないから、涙を流し、許しを乞う程つらい過去を、忘れることは出来ない。そう言いたいのだね」
「そう、そうなの……」


【現在】
「もっと……あっ……そこ……」
あの時、確かにこの女は、「自らの罪を忘れてはいけない」のだと言った。理由は彼女が述べたとおり、なのだろう。
再びモニタからアズミに目を移した。
過去を語るアズミの顔も、今、私の前で崩れかけているアズミの顔も、どちらも壊れている。だが、決定的に質が異なっていた。自白剤のもたらす作用によって、人形のような、無表情になってしまった映像のアズミとは違い、身に覚えのない告白の記録に精神を追い込まれ、心の均衡が破綻しかけたアズミは、口元を緩ませて、淫らな表情を剥き出しにしていた。顔だけではなく、全身も、淫らな朱に染めて。
私はモニタに備えられたヘッドフォンを手に取った。モニタにプラグを挿入すると、部屋はまた静かになる。小さな音声が、僅かにヘッドフォンから洩れるのみだ。
「過去から目を背けてはいけないよ?自らの『罪』を忘れてはいけないと言ったのは君なのだからね。せめて、声だけは聞いてもらわないとねぇ」
アズミの両耳に、罪を語るヘッドフォンがかぶさった。完全密閉式のヘッドフォンは、外界の音を全て遮蔽する。つまり、苦し紛れに作り上げた、喘ぎ声の防壁も無効となる。
アズミが罪に乱れ始めた。
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