特集"自宅出産"の続編。熊本で自宅出産をされた経験者3人が語る体験記をどうぞ!
お集まりいただいたお三方とも、前回、インタビューをさせていただいた、 助産婦の村上さんの介助で自宅出産をされた方です。 今日は、「自宅出産の経験者語る!(笑)」と題して、すべてを赤裸々に語っていただきます。
文:Kyoko
Intervew / スペシャルゲスト
前田美香子(写真:左)
アーユルヴェーダサロン「vida」(ヴィダ)
アーユルヴェーダセラピスト。3児の母。長男次男を病院で出産し、 三男を昨年、自宅出産。
吉岡真紀子(写真:中央)
西原村ギャラリー&cafe「風流」(かざる)
1児の母。昨年長男を自宅出産。(G.W前にcafeスペースを増設予定☆)
河邊佳代子(写真:右)
アロマセラピーサロン「ひかりのしずく」アロマセラピスト。
1児の母。2年半前に長男を自宅出産。
Kyoko(以下K):
それではまず、皆さんが自宅出産を選ばれた理由を教えていただけますか?
★カヨコさん:
私は、妊娠する前から自宅出産がしたいって思ってたんです。
最初に自宅出産のことをテレビで知って、すごくそれがハートに響いて・・・。
もっとルーツを探ると、14歳で父を亡くしたんですが、その時、自然療法で最期を見送ったんですね。
その時、父はすごくいい旅立ちをしたんです。
なんか、そこがバックグラウンドとしてあるんじゃないかなと思うんです。
★ミカコさん:
私は、夫のセバスチャンが「したら?」て軽く言うからね(笑)助産婦の村上さんとはその前にお会いしてたし、自宅出産もいいかなぁくらいは思ってたんです。
それで、自分の母親に「セバスチャンが自宅出産したらって言うのよ」って相談したら、
反対されると思ってたのに、「あら、いいじゃなーい、私もしたかったのよ」って返ってきたから、
そこから流れが自宅出産の方に流れていったって感じですね。
★マキコさん:
私は、主人が、それ関係の本を、大学時代から、読みまくってたみたいで、
主人自身が出産してみたいって言うくらい、良いもんだって語ってたんです(笑)
その主人は、出張でそば打ち職人をやっていて、保育園とかに行くこともあるんですけど、 自宅出産で産まれた子供は他の子供と違うっていうのをずっと主人から聞いていて・・・
それで、自宅出産するために、家を探して、ぎりぎりセーフ!
引越ししたその日に出産したんです。
しかも、初産だったのに超安産でした。
★ミカコさん:
でもその引越しも安産の理由みたいね。
★マキコさん:
そうそう、それまで家を修理したり荷物運んだりでしっかり動いてたからね
それが功を奏したみたいで、経産婦さん並の安産だったみたい。
でもね、村上さんのサポートがすごく良かったというのも、あると思う。
村上さんは自分の体じゃないのに、「今陣痛来てるよ」とか「いまリラックスしていいよ」とか
陣痛の波を分かってらっしゃって、そのサポートがあったから、順調なお産につながったのかなと思います。
K:私が長女を病院で産んだ時は、そのリラックスっていう時がなくて、ずーっと痛かったですよ!
★ミカコさん:
助産婦の誘導が、ちゃんとあれば、力が抜けたのかもしれないけどね。
K:病院って助産婦がずっと側についててくれるわけでもないし、 親もそういうのを知ってるわけではないから、精神的にも心細くなっちゃいますよね。
★カヨコさん:
その点、自宅出産は、助産婦さんがずっと寄り添っててくれるから、心強いし安心できますよね?
★ミカコさん:
そうそう。
私も、痛い〜って大きな声を出してたら、それだとやっぱり体力もなくなってきちゃうから、
ちょっと声を出すのやめて呼吸に集中しましょうって言われて。
その誘導が結果的には良かったですね。
K:ワーッ!それなら安心できるなぁ〜
★カヨコさん:
話、変わるけど、皆さん、写真とか撮られました?
★ミカコさん:
それが、ちゃんとカメラの3脚まで立てて用意してたんだけど、なかなかお産が進まなくて、
ちょっと破水したときにトイレまで歩いて行ったら、トイレで産気づいてしまって。
そこで一気にバッシャーンって破水しちゃったんです。
そのあと、う〜ってなってたら村上さんが「頭が出てます」って言われて! でも、もう最後の陣痛で動けないし、いきむしかなくって、トイレで産んじゃいました♪
『村上さん、ナイスキャッチ!』 みたいな。
それと、私のへその緒は70cmもあって(平均約50cm)、2回巻いてたんですね。
それで降りてくるのも遅かったみたい。
K:赤ちゃんってへその緒が2回巻いてても自然に産まれて来るんですね・・・
★カヨコさん:
そうなのよ!赤ちゃんは凄いのよ♪
★マキコさん:
あっ!そういえば、私は、病院は経験無いんですけど、
陣痛がきてる時にお尻の仙骨に手を当ててみたら、
この仙骨がぼこぼこに腫れているって分かったんです。
こんなに、体って変化するんだって。
だから、分娩台で仰向けだと、村上さんのインタビューにも書いてあった通り、 仙骨を圧迫して、どんなに痛いかと思いましたね。
kyokoさんも今度出産されるときに、余裕があったらそこを触ってみてください。
K:はいっ!余裕があったら・・・
★ミカコさん:
自宅出産のメリットといえば、やっぱり助産婦さんがずっと側についててくれるから、贅沢ですよね。
あと、助産婦さんによって違うと思うけど、村上さんはアロママッサージをずっとしてくれてました。
陣痛が始まってからずっと。ちょうど痛いところをね。
★カヨコさん:
あと、言葉かけにしてもすごく上手。
その空気感も特別な感じがするし。
妊娠中の検診の時から、私をちゃんと大事な存在として気遣ってくれて、
村上さんからお腹の子供共々、柔らかく包んでもらってるような感じになっちゃう。
★ミカコさん:
私も、検診の時、太るから食事のこととか言われてたんだけど、
「出産のためだけに今注意してるんじゃないんですよ。
この子を二十歳まで育てると思ったらあと20年、
あなたと子供の健康がかかってるんですよ」
って言われて、あぁそうかぁって。
正直、妊娠中の10ヶ月を乗り切ればいいみたいな軽い気持ちもあったので、 その言葉は重さが全然違いましたね。
病院は、安全なお産まではしっかり見てくれるけど、20年後の事までは考えてくれないよね。
★マキコさん:
実は、妊娠がわかって自宅出産の嘱託医を探しているときに、ある産婦人科に行ったんですね。
私は初めてのお産で、自宅出産しようとしているわけだから、いろいろ不安もあるじゃないですか!
それなのに、そういう気持ちには全然寄り添ってくれなくて、
「ひどい貧血だから自宅出産なんてとんでもないです、できません」
ってはっきり言われてしまったんです。
それですごいショックで泣いたり。。。っていうのがあったんですけど、
村上さんに出会ってからはじっくりコミュニケーションがとれて良かったですね。
K:初産から自宅でって、不安は無かったですか?
★マキコさん:
ありました〜。
最初のうちは、ちゃんと育ってるかっていうのも不安で、
病院の超音波で赤ちゃんの姿を見せてもらうと安心っていう時期もありました。
主人は、超音波なんてとんでもないって感じだったんですけどね!
それで、8ヶ月の時に実家が愛知県なので「吉村医院」※に行ったんです。
吉村先生は、やっぱり何万例というお産を経験されてますから、説得力があるんですよね。
自然なお産によって、赤ちゃんもお母さんも変わりますというようなお話を直接、聞いていたら、
なんかそこから、私の意識に変化が現れてきて、最終的には
自宅出産は「世界平和」にもつながるような気がしてきたんです。
その時くらいから歩いたり、食事にしても自分の管理とかちゃんとするようになりました。
そこからの意識の変化があったからこそ、今は"自力で産んだ"と思えますね。
★ミカコさん:
カヨコさんは産後が大変だったんですよね。
★カヨコさん:
そうなんです。
産後がね・・・産後6日目に熱発して、入院したんです。子供と一緒に。
結果的に乳腺炎だったんですけど、振り返って考えると最初の診断が遅れたのが原因で
治療も適切に行われなくって、その間もうおっぱいが壊れちゃって。
★ミカコさん:
壊れるってどういう感じなんだろう。おっぱいも出ない感じですよね?
★カヨコさん:
いや、でるんです。
でも入院中に痛いマッサージを過剰にされたり、
搾乳器を使われたりっていうのがおおもとだと思うんですけど、組織までもが壊れてしまって。
ほんと、稀のケースなんですけどね。
自宅出産を反対していた家族の理解を得て、すごくいいお産ができただけに、
その後の入退院とかは本当に辛かったです。
★ミカコさん:
やっぱりリスクも、ありますよね。
★カヨコさん:
私にとっては、今はもう振り返れるので、こうやってお話しすることもできるんですけど、
体と、精神的にも回復するまでに2年くらいかかったので、辛い日々でした。
抗生剤を打ちながら授乳してましたし。
★ミカコさん:
えぇ〜。
抗生剤というと、親としては葛藤がありますよね。
★カヨコさん:
でも、自分が病んでる状態のときって、
そういう(授乳中の抗生剤の影響とか)判断すらできなくなってたんです。
最終的に(漢方や針治療を行う)みゆき病院の長尾先生に出会って落ち着いたんですけどね。
その時には、抗生剤でずっと抑えてきたものが、化膿してしまっていて、
おっぱいがザクロみたいになってました。
★ミカコさん:
それって表面から見て?
★カヨコさん:
そう、全部です。もうすっごく腫れて。
それで、長尾先生のところでは、漢方と針治療をしながら、熟した柿のようになるのを待って、麻酔なしで切開をしました。
そこから膿みを出していくっていう治療を夫と母と共にしてもらったんです。
★ミカコさん:
そんなこともあるんですね。
★カヨコさん:
そう、あったんです。
長尾先生からも、「今だから話すけどあなたみたいなケースは初めてだった」って言われました。
★マキコさん:
その間、授乳はどうされてたんですか?
★カヨコさん:
片方で育てました。
★ミカコさん:
結果論だけどもっと早く原因がわかってたらって思いませんでした?
★カヨコさん:
う〜ん。
日記とかを読み返してみると、初産だったし
私の場合はおっぱいが出すぎる上に刺激していたから、
もっとはやく桶谷※でもいってたらよかったかなとは思いましたけどね。
でも、病院で産んでる人でもそういうことになる人はいるわけですし、
今思うと、産むことと、妊娠中のこととは妊娠前から取り組んできたんですけど、
おっぱいのことだけは無知だったんですよね。
★ミカコさん:
それにしても立ち直るまで2年って長いですよね。
胸のことでね。。。子供も2歳になるわけですもんね。
じゃあ、ご家族との間でもいろいろあったでしょう?
「反対したのに〜」みたいな。
★カヨコさん:
そう、ありました。
家族が自宅出産に対して、初め反対していたのを、
自宅出産をした友達が、村上さんを招いて会を開いてくれて、そこでやっと家族の理解を得て、
自宅出産を了解してもらえたんです。
でも、産後そういうことがあったので、
「もし二人目があるなら自宅出産はもういい」と言われて。
ショックでしたね。
K:それは、辛いですね。
★カヨコさん:
そう。
やっぱり、夫と母が私以上に大変だったので。
でも、それによってすごく私も、今まででは味わえない家族への感謝の気持ちがでてきたので、 そういう機会を与えられてたのかなと、今となっては思いますね。
ただ、次に産むとしても自然な形っていうのは間違いないですね!
ただ、場所にはこだわらないけれども。
自然な出産って、産むまでのプロセスが非常に大事かなって思いますね。
またまた、話は戻るんですけど、おっぱいってもっと簡単に出るだろうと思ってませんでした?
最初に吸われるのがあんなに痛いとは思わなかった。
★ミカコさん:
私も!!
病院だと、すぐ赤ちゃんと離されてたんだけど、
自宅で産んだときは30分〜1時間くらい赤ちゃんを胸に抱いて、
おっぱいを吸わせるから、それがあんなに痛いと思わなかった。
K:産まれてきてすぐにそんなに吸う力が強いんですか?
★一同:
すごいですよっ!
★カヨコさん:
水膨れになるくらい吸い付いて、最初はそれが破れて血が出て、
それでもおっぱいはやらなきゃだからですね。
★マキコさん:
私の場合、産後おっぱいが出なくて
赤ちゃんが10分おきくらいにずっと泣いてたのが辛かったですね。
1週間くらいほとんど眠れなかったです。
★ミカコさん:
そこが自宅出産の大変なところだよね。
逃げ場がないというか、
病院だったらそういう時、赤ちゃんを預かってもらったりっていうのができるからね。
★マキコさん:
うん、その時は、軽くノイローゼ気味でした。
★ミカコさん:
村上さんも、出産までは上手くいっても、おっぱいのことだったり、
会陰のことだったりっていう産後のケアがけっこう大変な方もいるって言われてました。
★カヨコさん:
でも、自宅出産の良さって何より、産まれてくる赤ちゃん自身のことを
すごく大事にしてもらえることだと思います。
産んだ後、村上さんが産褥で来てくれて、お風呂とかも入れてくれるんですけれど、
本当に優しく、子供を洗ってくれる。
産まれてすぐ、へその緒がついたまま、私に抱っこさせてくれることとか。
K:そうなんですねえ
★カヨコさん:
おっぱいの乳腺炎で入院してた時も、
赤ちゃんをお風呂に入れてくれるんですけど、すっごく泣くんです。
やっぱり、赤ちゃんの方がそういうのを敏感に感じてるんですよね。
大事に扱われているというか。
あと、自宅出産するなら、家族のサポートがすごく大事だと思います。
なかなか自宅出産したいと女性が思っても家族の理解が得られない人が多いですよね。
でも、そこで家族とのつながりをもう一度見直せたりする。
だから、赤ちゃんが運んできてくれるお産って、ホント意味があると思います。
★ミカコさん:
私もセバスチャンのお母さんがブラジルから来てくれてすごく助かりました。
親でも姉妹でも、24時間体制でいてくれると助かるよね。
ちょっとしたことですごく助けになる。 ちょっと抱っこしててとか。ホント、家族のサポートは絶対。
(マキコさんのご主人)潤さんも頑張ったね。
★マキコさん:
うん、すごく頑張ってくれました。
結局、私と主人しかいないから、
1週間はみっちりいてくれてご飯とかもちゃんと作ってくれました。
★ミカコさん:
あと、(マキコさんのご主人)潤さんは胎盤も食べたんですよね。
K:へ〜〜〜!!
★マキコさん:
食べました!
初日はレバ刺しみたいに生で食べて、そのあと炒めたり、
冷凍保存して4日くらいかけて食べました。
生はおいしかったですよ。
★ミカコさん:
食べるっていう話はよく聞くよね?
それが自宅出産の醍醐味みたいな。
K:やっぱり、それまでお母さんが食べてきたものによって味とかも違うんですかね?
★マキコさん:
それはちょっと、比べたことがないから分からないんだけど(笑)
★ミカコさん:
でも、人間の体は食べ物で作られてるからね。
やっぱり添加物ばっかりとってると胎盤にぎゅーっと凝縮されてくるんじゃないかな?
K:確かにそうですよね。。。
★ミカコさん:
うちは「食べる?」って聞いてみたけど
「食べないよ〜」とのことだったので、農家出身だから、土の肥料にしました♪
★カヨコさん:
私も胎盤を庭に埋めて、そこに桃の木を植えてて今年初めて花が咲きました!
K:それ、素敵♪
なんか、乳腺炎で2年間辛い思いをされてて、
最近振り返れるようになったっていうのと、
今年やっと桃の花が咲いたっていうのがリンクしますね。
★カヨコさん:
そうですねぇ・・・まあ、でも肥料としてもすごくいいんですよね。
★ミカコさん:
すごくいいって聞きます。私はレモンの木を植えたんですね。
レモンって熊本の気候ではあんまり育たないっていうけど、
胎盤入れたところではぐいって伸びました(笑)
★カヨコさん:
結果的に、自宅出産っていうか、自然に産まれてきた赤ちゃんって
目の力が違うなぁって、思いません?
★マキコさん:
私はこの子しかわからないですけど、
産まれた時、その瞬間からぱっちり目を開いてたんですよね。
赤ちゃんってもっとサルみたいなイメージがあったんですけど、
あの表情見たら、なんかもう全然違う。
本当に神様みたいな。。。意識がしっかりしてる、って感じました。
★ミカコさん:
知的生命体って感じだよね。
ほんと、ぽやーんとしてない、人の目をしっかり見てる。
ちゃんと焦点があってるというか。
うちの子は初対面の人ほど『ニコ〜』っと笑いかけてる(笑)
K:最後に、お聞きしたいんですけど、結果的に自宅出産というかたちで出産して良かったですか?
★一同:
もちろん、よかったです。
正直なところ、この特集「ナチュラルな出産」に取りかかるまでは、
自宅出産をするという選択をした自分に、自信がもてなくて、
"ちゃんと産めるかな"っていう不安をいつも感じていました。
でも、村上助産婦へのインタビューや、座談会に参加していただいた3名の経験者の話を聞いて、
"自分に産む力があるからこそ授かったんだし、
赤ちゃんにだって自分で生まれてくる力がある"
ということを何度も実感し、自分と赤ちゃんの力を信じようという気持ちに変わりました。
普段感じることのできない、自分の感情、家族のありがたさ、快・不快・・・
赤ちゃんがお腹の中にいる貴重な約10ヶ月間(もう残り3ヶ月!!)
一心同体の赤ちゃんを深く感じることは、自分自身についても深く見つめる、
向き合えるチャンスを与えられてるんだと感じました。
kyoko