ビール大手が、酒税がかからない「ノンアルコールビール」に力を入れている。アルコール度がゼロで運転者でも飲めるものもあり、人気は高まってきた。酒税がかからなくてもビールの類似商品として、店頭価格は「第3のビール」とほぼ同レベル。高めの値段設定で、ドル箱商品になりつつある。
8月3日にはアサヒビールが「ダブルゼロ」、サントリーが「オールフリー」をそれぞれ発売する。どちらもアルコール度はゼロ。サントリーは「今後も成長が期待できる商品」として、年内100万ケースの販売を目指す。
飲酒運転の厳罰化もあって、各社は新商品を昨年から本格投入してきた。ビールの製造手法を応用。キリンビールが09年4月に発売した「フリー」は、前年のノンアルコールビール市場全体の250万ケースを上回る約400万ケースを年内で売った。
特徴的なのは価格だ。350ミリリットル缶の店頭価格は、130〜150円程度。350ミリリットルの場合28円分の税金がかかる「第3のビール」とほぼ同じだ。
ビール系飲料への酒税の税率は、原料に占める麦芽の割合が約3分の2以上の「ビール」、約3分の2未満の「発泡酒」、麦芽以外の原料や別のアルコールを混ぜてつくる「第3のビール」の順に低くなる。アルコール度が1%未満の場合は酒税はかからない。ノンアルコールビールはここを狙った。
ノンアルコールビールの製造原価は他のビール系飲料と大きく変わらないとみられ、本来は第3のビールよりも安くできる。「開発や設備投資に費用がかかった」「安すぎると未成年が飲みやすくなる」など、店頭価格が「高め」なことに様々な理由を添えるが、結果的に利益率の高い商品になっている。