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三崎事件再審請求のDNA鑑定は弁護側の主張否定/横浜地裁支部

2010年7月3日

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 三浦市で1971年、親子3人が殺された「三崎事件」で、荒井政男元死刑囚(病死)の遺族の再審請求を受け、確定判決で被害者のものとされた血痕について、横浜地裁横須賀支部が実施したDNA鑑定で「血痕は元死刑囚と一致せず」という結果が出たことが2日、分かった。遺族の弁護団は、血痕は被害者のものではなく元死刑囚のもの、と主張していた。

 鑑定された血痕は、荒井元死刑囚の車のトランクから発見された道具袋に付着。血液型鑑定で被害者の1人と一致したが、弁護団は元死刑囚の供述に基づいて「血痕は、事件以前に荒井元死刑囚が指をけがした際に付いた」と主張し、精度が高いとされるDNA鑑定を求めていた。

 鑑定した神奈川歯科大学の山田良広教授(法医学)によると、全国の警察で一般的に使われている「STR法」に加えて、ミトコンドリアゲノムの解析も実施。鑑定書によると、血痕から複数のミトコンドリアDNAが見つかったが、荒井元死刑囚のものは含まれていなかったという。東海大学の大沢資樹教授(法医学)によると「ミトコンドリアゲノム解析でDNAが一致しなければ違う人物といえる」という。

 結果を受け、弁護団の青木孝弁護士は「荒井元死刑囚の供述の裏付けができなくて残念。血痕から複数のDNAが認められたことは被害者以外の血痕の可能性もあり、検討を要する」とコメント。地検横須賀支部の杉本秀敏支部長は「当時の有罪判決に問題はないと一貫して考えている」としている。

 再審事件に詳しい一橋大学の村岡啓一教授(刑事法)によると、三崎事件の証拠で最も重要なのは被害者家族の長男の証言。長男は事件直前に自宅で犯人を目撃、三崎署で逮捕された荒井元死刑囚を見て、同一人物と判断したという。

 一方、三崎署で一緒に荒井元死刑囚が容疑者かどうか判断したという近所の男性が「長男は『僕(犯人かどうか)分かんない』と言っていた」などと、一審の地裁横須賀支部の公判で証言した。弁護団は判決確定後に男性と面談して証言をまとめ、再審請求では新証拠として提出している。地裁支部は、今回の鑑定結果などを踏まえ、再審を開始するかどうか決める。

 ◆三崎事件と再審請求 確定判決によると、1971年12月21日、三浦市三崎の食料品店で、店主の岸本繁さん=当時(53)=ら一家3人が刺殺された。殺人罪に問われた荒井元死刑囚は地裁横須賀支部の初公判以降、起訴内容を否認。一審で死刑判決を受け、90年に最高裁で確定。91年1月に再審請求したが、荒井元死刑囚は昨年9月に病死。同月に弁護団はDNA鑑定の実施を申請していた。

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