「広島2-1横浜」(2日、マツダ)
赤ヘルが10年ぶりの“1本勝ち”だ。1‐1の七回、広島・石原慶幸捕手(30)が放ったチーム初安打となる右翼線へのタイムリー二塁打が決勝打。この1安打のみで、2‐1と逃げ切った。1安打での勝利は球団史上、2000年5月23日・ヤクルト戦(福山)以来。単独4位に再浮上した。
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あわや無安打試合が何と勝っちゃった。会見場に現れた野村監督は開口一番、「福山以来だって。キムタク(故木村拓也氏)がホームランした試合だろ。10年ぶりか」。自ら切り出す興奮ぶりだった。
六回まで無安打に抑えられ、嫌なムードを、指揮官は攻めのさい配で打破した。1‐1の七回、1死から四球で小窪が歩くと即、代走に木村。続く石原の打席、5球目にランエンドヒットを仕掛けた。石原が右翼線に二塁打を放ち、一気に木村が生還。チーム初安打が決勝打となった。
この1点を守り抜き、終わってみれば1安打勝利。球団史上2000年5月23日、ヤクルト戦(福山)以来の珍事に「こういう勝ちもあるんだな」と、指揮官は笑みを浮かべた。石原は「無安打?まーったく知らなかったよ」と冗談交じりに振り返った。
0‐1の三回も1死から四球で出た梵が二盗、暴投で1死三塁。赤松の初球にスクイズを成功させ、無安打で追い付いた。「ベンチの空気が重かったんでね。とりあえず同点に追い付かないと。どんどん打者にプレッシャーがかかると思って」。序盤から果敢に仕掛けた指揮官の読みは的中。ただ「あの時こういう展開になるとは思わなかったけど」と、苦笑いした。
前日に前田健が今季初めて巨人を破り、10勝を挙げた。だが、エースが勝利した翌試合はこれまで9連敗していた。10度目にして初めての“連勝”だ。
さらに壊滅状態だったリリーフ陣がこの日は大島と上野で八、九回を無失点リレー。「最後は上野に任せたし、大島も自信になるだろう。これまで魔の八、九回が続いていたけど、一つ線が引ければ」と野村監督の手応えも大きい。
連勝で単独4位に再浮上。(1)マエケンの後(2)苦手巨人(3)魔の八、九回と3つのジンクスを、珍事で突破し、負の流れは変わるはずだ。「あすは打線がもっと活発に打てるようにハッパをかけますよ」。指揮官は力強く最後に言い切った。