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【芸能・社会】村上弘明”不良少年の父”役 映画「大地の詩−」で主演2010年7月2日 紙面から
俳優の村上弘明(53)が、映画「大地の詩(うた)−This one thing I do〜留岡幸助物語〜」(山田火砂子監督、来年公開)に主演することが分かった。昨年6月に大手芸能プロ「オスカープロモーション」に移籍後初の主演映画となる同作は、「不良少年の父」と呼ばれた北海道家庭学校の創始者・留岡幸助さんの愛と涙の開拓史を描く。このほど、本紙などのインタビューに応じた村上は、現在聖書を読みながら役作りに励んでいることを明かす一方、留岡さん役を演じる上での並々ならぬ決意を語った。 「こういう素晴らしい役に出会わせていただいて、自分が留岡さんになりきって、明治の中で開拓に命をささげているという気持ちがないと太刀打ちできる作品ではない。この作品に生命をかけるくらいの気持ちです」 役者生活31年目に村上が出会ったのは、身分社会がまだ残る明治時代に、キリスト教の教えによって人類の平等を説き、不良少年たちの心の開拓に人生をささげた留岡幸助さんという役。「仮面ライダー」などの特撮ヒーローをはじめ、多数の時代劇や刑事ドラマを演じてきたベテランでさえも、思わす“武者震い”した。 「今まで留岡先生を存じ上げなかったんですが、台本を読んで本当にこんな人がいるんだと。ドラマ化する上ではどんなフィクションで作った人物像よりもドラマチックな人生を歩んでいますよね」 台本を読むにあたって、手にしたもう一冊の本がある。旧約聖書だ。 「僕はキリスト教徒ではありませんが、これがまたドラマチックなんです。世界で一番のベストセラーといわれているだけあって、読んでいてどんどん深みにはまっていくんです」 留岡さんの語録にこんな言葉がある。「人間を良くする基本は家庭にある」。自身も4人の子どもを持つ父親として、この考え方に深く感銘した。 「子どもには、自然となるべくふれ合う環境をつくっています。人間は自然の木とか昆虫とか、いろんなもののエキスを受けて育ってきている。今の時代、人間同士や自然と人間のキャッチボールがなくなってきた。そういう部分を映像の中で出して感じてもらえればと思います」 凶悪犯罪が増加する今だからこそ、留岡さんを魅力的に演じたいという気持ちが高まっているという。 「不良少年に必要なのは愛情だと思う。その根っこが家庭にあると思う。人がいきなり人を殺したりする今でこそ、本当に子どもたちの環境を必死になって考えないといけない。犯罪というのはエネルギーの裏返し。家庭的な愛情をもって(親が)接すれば、もっと環境は変わっていくんじゃないかと」 クランクインは今年9月。約2カ月にわたって北海道厚別町の「開拓の村」や、網走市内などで撮影が行われる。 「今、NHK朝のテレビ小説『ゲゲゲの女房』で、漫画を通して人間の生きる形を世の中に伝えていく深沢洋一役を演じているのですが、その先に留岡さんがいる気がします。インするまでに僕自身がいろんなことに触発されながら変わっていければいいと思います」 役者としてだけでなく、パパ代表として村上は現代に必要な「家庭のあり方」を投げかける“伝道師”になるつもりだ。 (江川悠) ◆留岡幸助(とめおか・こうすけ) 1864年生まれ。岡山県高梁市で、いじめられていた武家の子どもを助けたため、養父の米屋の商売に支障が出た。身分社会に憤りを感じ、18歳でキリスト教の洗礼を受ける。1885年に同志社英学校に入学。新島襄の教えを受け、1891年に北海道・空知集治監の教誨(きょうかい)師に。少年感化事業に関心を持ち米国に留学。1899年に東京・巣鴨に家庭学校を設立。1914年には北海道に感化部と理想農村部からなる分校(現・北海道家庭学校)を建てた。1934年死去。 ●村上弘明(むらかみ・ひろあき) 1956年12月22日生まれ、岩手県出身。法政大学法学部在学時の79年、友人の誘いで受けた「仮面ライダー」のオーディションに合格し、スカイライダー役としてデビュー。85年のテレビ朝日系「必殺仕事人V・激闘編」で鍛冶屋の政役としてブレーク。端正なマスクと185センチの長身が人気を呼び、NHK大河ドラマ「炎立つ」や「秀吉」などをはじめ、数多くの時代劇や刑事ドラマ、映画、舞台で活躍中。今年はNHK朝の連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」などに出演。
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