福岡県の麻生渡知事は18日、口蹄疫(こうていえき)対策として家畜伝染病予防法に基づき、牛や豚などを飼う同県内のすべての畜産農家642戸に対し、強制的に畜舎周辺を消毒させる知事命令を出した。21日から約1カ月間実施する。県はこれまで農家に対し自主的な消毒徹底を指導していたが、宮崎県の非常事態宣言を受け、強制力のある防疫策が必要と判断した。
福岡県によると、同法に基づく知事命令は鹿児島、熊本、大分各県でも出されているという。違反した場合は、30万円以下の罰金が科される。
消毒は週に1回で、各農家が塩素系消毒薬や消石灰を畜舎の周囲などに散布する。消毒薬の購入費約2400万円は、県が全額負担する。
麻生知事は18日の記者会見で「何としても福岡県内に感染が広がることを抑えないといけない」と強調した。福岡県内の牛と豚の飼養頭数は約12万6千頭で、これまでに口蹄疫の感染や疑い例は確認されていない。
=2010/05/19付 西日本新聞朝刊=