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【疑惑の濁流】家を失い、自殺に追い込まれ…捜査網狭まるSFCG「大島王国」の光と影 (2/4ページ)
しかし、日本振興銀行など金融機関が同社へ届け出た債権はそれを大きく上回る計3兆600億円(同)。この天文学的な金額の中にはSFCGへの貸付金のほか、同社から債権を2重譲渡されたことで生じた違約金などが含まれるとされる。
一方、債務返済の財源として期待される同社の資産はわずか約38億円(同)。管財人の瀬戸英雄弁護士は「(金融機関からの)一つ一つの届け出の根拠を洗い出し、法的な効果を持ちうるものなのか精査しないといけない」と説明する一方、「法的な根拠があるとするならば、われわれは認めざるを得ない」とも指摘しており、債権者の不安が解消されることはない。
千葉県柏市に住む過払い債権者の男性は、「こっちは担保の家まで無くした。血のにじむ思いで金を返したのに(その後の対応は)あまりにも無責任。返済中は親兄弟も苦しめ、一言では言えない苦労があった」と怒りに身を震わせる。
“権力の象徴”である豪邸の主は…
住み家を失った債権者の事情など知る由もないように、その大豪邸は高級住宅街の中で際立った存在感を示していた。
政財界の実力者らが居を構える渋谷区松濤の一角。高い灰色の塀が広大な敷地を取り囲み、防犯カメラが“部外者”の行き来を絶え間なく監視している。
「すごい家だな」
12月上旬。茨城県から名高い高級住宅街の見学にやってきた男性(72)が、豪邸の前で驚嘆の声を上げていた。
しかし、豪邸から黒い制服のガードマンが飛び出してくるや、見学は中止を余儀なくされる。
「先ほど表札をのぞき込んでいましたね。何か御用ですか?」
ガードマンの強い口調に驚いた男性は、「誰が住んでいるのか知らないが、相当な『権力』だね」と言い残し去っていった。
男性の“分析”はあながち間違ってはいなかったかもしれない。この邸宅は大島氏の親族が経営していた会社の所有だが、大島氏の実質自宅として利用され、周囲から権力の象徴とみなされてきたからだ。