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健康被害延べ288件 作業の県職員心身疲労

(2010年6月30日付)

 口蹄疫問題で家畜の殺処分や埋却作業に従事する県職員に、消毒用の消石灰でやけどするなどの健康被害が出ている。県が今月上旬に実施した調査で明らかとなり、不眠症を訴える職員もいるなど、心身ともに疲労している実態が浮き彫りとなった。

 防疫作業に従事した職員を対象にアンケート調査を行い、14日に集計。5月31日現在で、延べ288件の被害報告があった。このうち消石灰、消毒液による被害が半分を占め、消石灰が原因のやけどが83件、目に入ったことによる異常が22件。消毒液による皮膚炎も50件確認された。

 県によると、消石灰は殺処分、埋却時に大規模農場で1袋25キロ入りを500〜600袋まく。消石灰は水に触れると化学反応を起こし高温を発生。やけど被害の多くは雨天時に起きている。防護服や長靴のすき間をガムテープでふさぐことで、皮膚のただれやあせもにも悩まされているという。

 このほか、腰痛35件、擦り傷12件、打撲7件、骨折1件、頭痛や発熱、熱中症が44件など。殺処分に立ち合った8人が不眠症を訴えている。

 殺処分、埋却作業は間もなく完了するが、消石灰や消毒薬を使った防疫作業は続く。一部職員のやけどを治療するフタバ皮膚科(宮崎市大塚)の成田博実院長は「防護服を二重に着て、長靴が肌に当たらないように履き、消石灰が入るすき間をなくすしかない。作業が忙しいと難しいだろうが、昼休みに服を着替えるなど、小まめに確認してほしい」と話す。

【写真】川南町の豚舎の前で消石灰をまく作業員ら。大量の消石灰で県職員がやけどするなどの被害が報告されている(県提供)