ギリシャ:欧州市場続落 信用不安が拡大 

2010年5月6日 11時2分 更新:5月6日 17時3分

 【ロンドン会川晴之】ギリシャの財政危機問題は5日、ユーロ圏諸国や国際通貨基金(IMF)の多額の支援に伴う緊縮財政策に対する国民の反発を背景にした大規模なゼネストに発展。市場では「早期の財政再建は難しい」との懸念が広がり、財政悪化が指摘されるポルトガルやスペインに信用不安が拡大した。同日の欧州金融市場では、ユーロが3日続落し1年2カ月ぶりの安値となったほか、各国の株式・債券市場も続落した。

 レーン欧州委員(経済通貨担当)は「ブッシュファイア(野火)をギリシャに封じ込め、森林火災にさせてはならない」と、欧州金融システム維持に向けて決意を示したが、市場はギリシャ支援も含めた対応策が不十分と見ており、危機の連鎖に歯止めがかからない状態だ。

 ユーロを採用するユーロ圏諸国は2日、IMFとともに総額1100億ユーロ(約13兆2000億円)にのぼるギリシャ支援策を決定した。しかし、ユーロは、5日の外為市場でも売られ、1ユーロ=1.28ドル台と支援決定前に比べ約3%も下落。ギリシャ国債も売られ、10年物国債の利回りは10.56%と、終値ベースでは、支援決定前の4月29日につけた9.31%を上回り、01年のユーロ加盟後、最高水準となった。

 また、米格付け会社が近く格付けを1~2段階引き下げると発表したポルトガルの国債も急落、10年物国債の利回りは6.16%と99年のユーロ加盟後、最も高い水準を記録した。信用不安拡大で欧州株式市場は全面安の様相となり、ロンドン株式市場のFT100指数が3営業日続落、週明け2日間の取引で約4%下落。スペイン株式市場のIBEX35も週明け3日間で約9%も下落した。

 この事態に、メルケル独首相は「ギリシャ支援成功が欧州の将来のカギを握る。危機連鎖反応を必ず阻止しなければならない」と強調。フィンランドのバンハネン首相は「(支援策が)成功しない可能性があることを、大変憂慮している」と表明した。

 市場では「スペインが総額2800億ユーロの支援を申請する」「ギリシャの次はポルトガルが破綻(はたん)する」など憶測も飛び交う。欧州連合(EU)のファンロンパウ大統領は5日の会見で「市場は根拠の無いうわさで理性を失っている」と冷静な対応を求めたが、動揺は収まりそうにない。

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