金髪の少年は冷静に考えて、状況を把握しようとしていた。
自分がいる場所は?
大地。
周りにあるものは?
見慣れない建物。
空中にいるものは?
三人の女性。一人は何かに縛られ、一人は宙に浮いていて、一人は指を宙に浮かぶ人物に向けていた。
【勇者は混乱している】
金髪の少年―ニケは、取り敢えず上を見て考え込む。とはいえ、彼の頭の周りには、さっぱり妖精がグルグル廻っていた。
三人の女性を見て、状況を聞こうとし飛び出した。
「じっとして、よく見ておきなさい」
女性の指から放たれるひか…
「カッコいいポーズ!」
光魔法が放たれる、周囲の誰もが光輝くニケを見ていた。
誰もが動けない、ついでに勇者も動けない。発動中は、何も出来ない事に気付いたニケ。
遠くで、鳥が鳴いていた…ような気がした。
一方、スカリエッテイアジト。
「何だ、この気が抜けるような声は!」
トーレ、猫の声で戦意喪失。
「な、何故だ。見つめられると動けない!?」
チンク、カーテンの向こうからこちらを見る謎の物体と見つめあう。動けない。
その他のナンバーズは、彼女が出した失敗作により身動きが出来なかった。
スカリエッテイは、何故かメリーゴーラウンドに乗っていた。
【どこからか、音楽が流れてくる!】
廻り始める木馬、スカリエッテイは浮かんだ周囲の風景に今までの人生を見続ける。
(あぁ、私の暗い人生が……)
瞳から涙が零れた、このまま廻り続ければスカリエッテイの体力は削られていく。
そんな惨状を引き起こした茶髪の少女―ククリは、パニックになって周囲を走り回る。
「勇者様ー!何処ー!!」
場面は機動六課へ。
乱入したニケにより、スターズの訓練は中止。ティアナは医務室へ運ばれた、ニケの事情を聞くのは隊長陣。高町なのは、フェイト・T・ハラオウン、ヴィータ、シグナム。
ニケは自分から正座している、雰囲気がそうさせた。
「ニケ君は、何処から来たのかな?」
「魔王ギリの城からです」
「はぁ?何言ってるんだよ」
ヴィータの睨みに、ニケは汗を出しながらも今までの事情を話した。
聞いた隊長陣達は、信じられない顔をする。黙っていたシグナムは、ニケの目を見て言った。
「嘘か真か、剣を交えば分かる。ニケといったな、剣を抜け」
レヴァンティンを取り出すシグナム、ニケは信じさせるために手っ取り早くあの剣を呼んだ。
地面に手を向け、飛び出す太鼓。目を丸くする彼女等に構わず……呪文を唱えた。
「オッポレ!オッポレ!!」
魂をこめて情熱的に、地の王に聞こえるように。だが、ここは異世界。さすがに……
【地の剣があらわれた!】
召喚できた、ケーブルもついている。
対峙する二人、緊迫感が包み―
何処かの森の中。
「ルールーに、変なもん見せるなー!!」
「私はただ、お嬢さんにキタキタ踊りを教えようと……」
炎の剣精に追い掛けられる、オヤジ。
続かない。
あとがき
みじかいと思いながらも書いてみた。