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[19427] マブラヴ x ACfaの主人公が引き込まれてしまったようです「習作」修正6/27
Name: once&Forever◆80cffd6a ID:138fbb10
Date: 2010/06/27 15:07
厳重注意:マブラヴオルタの白銀が同じ時間軸を繰り返してしまうように、ACfaの主人公も同じ時間軸を繰り返していると過程した作品です。
 そして原作で、純夏は死にましたが、今作品では、純夏ではなく白銀が死んだことになっています。

備考:白銀 だいたい15週ほど
   首輪付き君 数え切れないほど ゲーム総プレイ時間に換算すると800時間

  首輪付き君は自分のガレージごと移動するようです。 


       Are you れでぃー?


硝煙の世界、終わりのない繰り返し、それが僕に相応しい罰

自分の意思もなく、他人に流された上、怒りまかせにクレイドルを落とした、その罰
それを否定するように来た師匠、霞を殺し、人形を壊し・・・
世界を壊した。

そして始まった繰り替えされる世界なにも変わらない世界。

‘答えを見つけていないからだよ‘

世界を壊した後、僕はこんな結末を望んじゃいなかった。もう最初に一度戻りたいと、願った

そして戻った世界で、信念の下、エーレンベルグを放出したあと、その後に起こった戦争で、圧倒的な暴力が現れ、同じ惨劇な喜劇の続き、こんなの認めたくなかった。

ORCA旅団を倒し、人々に笑顔を取り戻してもつかの間のこと、結局は変わらない、ただ、変わったとすれば空にあるクレイドルの住民は全員・・・死んだことだろう
そしてエーレンベルグが火を噴く。
こんなのは嫌だった。

そして数多くの可能性を試し、試しためしためしタメシタメシタメシタメシ・・・

結局


なにもかわらなかった



ウィンD、君が言ったことは間違ってないよ、狂っているよこの世界も、僕も。

今回の世界、イレギュラーとして企業連の全てを掌握して、権力をもった。
けれど、そのときには世界はもう終わっていた。

汚染がクレイドルに届いたのだ。

まだ成し遂げられていない、ハッピーエンドを目指したのだが・・・結果全て失敗

「この世界は袋小路、どうしようもないじゃないか。」

そうあきらめて銃のトリガーを引き、こめかみに当てる。

ドンッ!


意識が黒くなり、どうせ繰り返すのだろう?っと最後の瞬間考えていると頭の中にフラッシュバックのように映像が流れ込んでくる

『そ・・・んなたける・・ちゃん?』

泣き叫び、女性は誰かの名前を叫ぶ

『・・俺はたぶん4度目です・・全ての力を貸します。世界を救ってください夕呼先生・・!』

白衣を着た女性に土下座をしている青年

その後もいくつもの映像が流れる
・・・・

「タケルちゃん、白銀 武っていうんだよ?」

少したった後、声が頭の中に響いた。

周りを見渡そうとすると、真っ暗な空間に女性が一人浮かんでいるのが見える。

その姿は先ほどの青年の名前を叫び、泣いていた女性にそっくりだった。
正直生きていたのなら驚き、畏怖を覚えただろうが、一応死んだのだ、感情
も沸かない。

「そっくりじゃなくてあれは、わ・た・し!」

・・・?・・あの人と?

「そう!純粋の純に真夏の夏で純夏ね!」

見た何者かの記憶の中では、青年が救いたい女性らしい。
今、この空間で彼女は口を開いていない、ただひざを抱えてうずくまる彼女がいるだけ、そして僕も身動きをとれず、浮かんでいるだけ、なんなんだこれは。

「なんなんだろうね?」

目の前の少女にもわからないらしい。

『・・何度しんだって!袋小路だってかまわない!俺は純夏が笑って、みんなが笑える世界を・・!』

おそらくは最後瞬間の記憶、僕とは正反対の台詞をはいて死んだようだ。

入り組んだ洞窟のようなところに一人、とても大きいネクストのような機体に乗っており、読み取れる情報から、残弾表示が0000・・・弾が尽きている、そして奇妙な生物にむかって突進し、視界が白で塗りつぶされた。

「馬鹿みたいでしょ?あきらめたほうが楽なのにね。」

・・・

「・・・ねえ貴方も‘白銀 武‘なんでしょ?」

久しぶりにそう呼ばれたよ・・・けど君の知ってる武とは違う。

・・・状況から察するに、僕が彼女の世界の記憶をみて、彼女が僕の記憶をみた・・・のか?

「正確には、ちょっと違うかな? でもでも、大体あってる!流石タケルちゃんだ!」

ちょっとまて。だから僕は君が知ってる武じゃ・・・

「同じだよ」

・・・理由は?

「姿が違ったって、タケルちゃんは変わらないもの、私が言うんだから、貴方が見たタケルちゃんと、ここにいる貴方も同じタケルちゃん!まちがいないっ!」

・・・頭が痛くなってきた。

「ねえ、貴方はあの世界で何がしたかったの?」

・・・わからない

「ちょっとお!それでも貴方タケルちゃん!?」

・・だから・・彼とは違うんだ。
僕はなんなに強くはなれない。

「・・あんな世界にいたからこうなっちゃったのかなあ?」

はは・・ごめん、でも違うんだ、彼とは。

「目的もないなら」

・・・ん?

「彼と会ってみない?」

なんでいきなり。

「彼と会えば答えも見つかるかもしれないよ?だって彼も貴方だもの」

・・・

「どうどう?良いかんがえじゃない?」

彼があそこまで強くあれる理由、答えか。

「よし、そうと決まったらおいでよ、こっちに、知識は少しわけてあげるから。」

引き込まれる感覚を覚える。

ちょっとまて、まだ行くわけじゃ・・・

彼女の世界に近づき共有したとき、彼女の感情と記憶、知識が一部らしいが、自分の中に流れてきた。

彼女は彼が傷つくこんな世界、終わらせたい、だから、別世界の並列であり比較的に遠い世界に当たる、彼と同じでもあり、似て非なる存在である僕をあちらの世界に呼ぶことにより、彼が傷つく世界を変えたいのだ。

そして、僕の世界でコジマとよんでる物質、それはこの世界のG元素と呼ばれる物質とほぼ同じであり、空間を捻じ曲げる力まであるらしい、その影響により、僕は因果律量子論?で語られている因果導体らしい。

いきなりなにがなんだか・・・

「ごめん、でも因果導体である貴方にしか頼めないから・・」

視界に光が満ちはじめた。

彼と会えば答えは見つかるのだろうか?
まだそのことに確証はない、しかし、あの世界で闇雲に探すよりも、効率的に思えた。

自分に会うのか・・?

「うーん、存在定義は同じだけど、彼と貴方は同じで違う。」

だんだんと意識が覚醒してきた。

「がんばってね、タケルちゃん・・・」

彼もここにいるのだろうか、そんな考えが浮かんだ時、僕はこの死の世界に目覚めた





[19427] 一章:圧倒的な暴力 ---Links 修正版
Name: once&Forever◆80cffd6a ID:138fbb10
Date: 2010/06/27 15:30
自分の視界に光が満ちてくる、目の前に広がるのは、電源が落ち安全灯だけついた自分の愛機の中だった。

「うぅ・・首が・・」

愛機といえども寝るためには作られていない、さらに、これはLinksのもうひとつの体、ネクストと呼ばれるものだ。
Linksはこの機体に自分の神経をつなぎ、視界を共有し、自分の体のように扱う、故に彼はLinks、接続者と呼ばれている。

いきなり戦場に起きることはないとおもうが・・・本当に僕は違う世界に飛ばされたのならそんなこともありえてしまう。

まずはどこにいるのか、それを確認しなければならない。
ディスプレイにタッチしていき、機体の電源を立ち上げる、そして軽快な指使いでパスワードを打ちこみ、起動設定をしていく。

「OB・・不可 PA・・不可 QB・・許可 サポートシステム・・許可 対Gジェル・・排出 AMS・・2」

AMSとは機体と自分の体の神経をつなぐシステムだ、これの設定をあげていくと、機体と自分の区別がつかなくなってくる、精神汚染速度があがるので注意が必要なのだ。

戦闘があるとしても、これだけの設定ならば、ネクストが3機こなければ倒せる。

そして最後に起動ボタンにふれる。

---…設定確認…設定完了、ネクスト、ホワイト・グリント起動します。
無機質な声が機体に響いた。

一瞬視界にノイズが走る、

ノイズが終わると、機体の視界を自分が共有していた。

視界を左右に確認すると、何の変哲もない、見慣れたガレージだった。
この機体、ホワイトグリントは、あの世界で衛星掃射砲エーレンベルグを発射した後の未来の戦争でアブ=マーシュが自分のために作ってくれたワンオフ機体だ。
こいつはとんでもない暴れ馬で、扱いが難しい、PAを暴発させ、AA(アサルトアーマー)を使ったものならば、半径数キロは吹き飛ぶ。
なんせ、汚染に気にする必要がない世界なのだから。
企業連が作ったアンサラーの小型版人型兵器ともいえるが、速度、重火器等全てが常識離れしている強さを誇る。
そのため、汚染がとんでもないはずなのだが、内部のLinksへの汚染はまったくといってない、そして、この機体にはまだ自分もしらない、ブラックボックスが多数存在しているため、まだ完全に扱いきれてるとはいい難い。

周囲の確認をしなくては…
ガレージの扉を外部操作で開け、周囲を確認する。
そこは廃れた町並み、木もなにもない、壊れた家、壊れたノーマル…いや、彼女からもらった知識が、戦術機・撃震だということを語る。

撃震は形半分を残して崩壊しており、コクピット・・・いや92式戦術機管制ユニット?らしい物も、消えてなくなってしまっており、そこは空洞になっていた。

「なるほど。」

彼女からもらった知識は自分が見聞きしたものではなく、強制的ともいえるほど、頭の中に叩き込まれた知識だ。
それゆえなのか、その物を見、聞きしないかぎり、その情報が自分の知識として認識されることはないらしい、もともと目次がない辞書の索引を引くことができないように。

つまりいまの自分にはこの世界の知識はないに等しい。

「どうしたものか…」

正直なにをすればいいか、思い浮かぶことはない。
何もかんがえずに、撃震が倒れているところまで歩いていくと、なにかふとわからないものに導かれるように行くべき道がわかっていく。

この家は純夏の家、そしてこちらが白銀の家。
この道を行くと最前線基地・・・横浜基地?につくらしい。

ふむ、記憶の関連づけによっても、彼女からの知識は認識されるらしい。

家→だれの?→白銀 道→どこに?→横浜基地
のような関係で。

いまわかることは横浜基地に行くことが重要だろう。
それ以外にわかることはない。

自分の腕がふと軽いことに気がつく、手を見てみると、何ももっていなかった。
戦闘しに行く必要はないとはいえ、なにも持たないということは心もとない。

ガレージに戻り、両手にアブ・マーシュが設計した 突撃銃を2丁。
肩にあの全てを焼き尽くすと思われ、通称、圧倒的暴力と名称された、謎の機体から奪い取った炎の翼、ブラックボックスの多い物を装備する、これはさまざまな変形をし、熱を常に帯びており、鉄を一瞬で溶かすことも可能、これをコイルのようにまわして、馬鹿みたいな高火力の炎を飛ばすこともレーザーを放つことも可能、さらに移動時にはメインブースターの補助をしVOB(速度2000~3000KM/時)に近い速度すら出せる化け物じみた装備だ。

勝てたのは、奇跡だった。

しかし、今、思い出してる時間ではない。

一応ひと時といえどもガレージをを空けてしまうことになってしまう、そのため、ガレージの防衛システムを遠隔操作で起動させる。

第5世代自立ネクストをPAなしで起動させる、3機いれば十分であろう。

この防衛システムはガレージの物を触ろうとしたり、物を盗もうとすると作動し、ガレージ内の味方識別がないものをすべて破壊する。
また、ネクストの攻撃すら防ぎきってしまうガレージの扉も閉まってしまうため、中では逃げられない殺戮ショーが繰り広げられることとなる。


Linksはガレージの防衛システムの起動が終わると、ガレージを出て、炎の翼の補助を受けた速度で、横浜基地へと向かった。



---

今日も暇だ。
空を見上げ横浜基地の門兵は心の中でぼやく、こんな後方の基地にBETAがいきなり現れるはずもなく、とくに暇なのだ。
なので一日の仕事は門に立ち、桜を眺めるか、空を眺めるかになる。
今日はサイコロが奇数なので空を眺める。

「…いっ!前を見ろっていってるだろ!!!」

同僚の声に驚き、前方を向きなおすと炎を撒き散らしながら純白の戦術機がこちらに向かってきていた。

しまった・・・!

彼は心の中で自分の失態を知った、もう既にかなり接近されている、そして無線機は自分が持っていたのだ。

無線機を持ち、司令室に連絡をいれる。

『な、謎の戦術機が接近している!』

その通信にたいし、司令室のHQは失笑を漏らした。

『何を寝ぼけてる、レーダーには何も映っていないぞ。』

おい、外を確認してこい、私がですか?、お前意外にだれがいる…などの会話が無線機から漏れてきた。

上はなにをやっているんだ!!!!

純粋に自分の失態とを恥じ、上の対応に苛立ちを覚える。

そして謎の機体は既に基地の目と鼻の先で空に浮かんでおり、停滞飛行をしていた。
背中の何本も赤く光っている棒の群を前面に向けてぐるぐるとまわし始めながら・・・

そのとき無線からやっと声が返ってくる。

『て、敵襲ーーー!『敵襲ぅぅう!』警戒態勢発令!』

おいおい!敵はそこにいるのに警戒態勢だって?!
ここはどうなってるんだ・・・!

このとき門兵は苛立ちを覚えずにいられなかった…


----

「そうか、ここは平和ボケをしている…と」
彼女の記憶からそのことが関連づけられた。

もうすでに、基地についてから一分は経過している。

やろうと思えば基地を60回破壊できるな~
そう思いながら、炎の翼を回しながらがちょーんがちょーんと開いたり閉じたりして遊んでいた。
なにげにこの翼が回るおとがとても好きなのだ。ウィイイイイインなんて音が心地いいなんて病気だろうなー
などとかんがえているとやっとこさ、撃震が2機だけ飛び出してきた、さらに手には74式近接戦闘長刀だけしか持っていない。

「なんだこりゃ・・・」

なめている…と思ったが整備具合をみるに、現状で出来る精一杯の機体構成らしい。
ここまでくると笑えるね。

そしてLinksの無線はオープンで設定されてるため、その言葉は相手にも届くのだ…。





『なんだこりゃ・・・。』

整備途中の機体を緊急時なので引き出してきたため、装備など、とてもいいと言えたものではない。
その様子を眺めていた敵の戦術機がわざわざオープン回線でこちらを馬鹿にしてきた。

お前さえこなければこんなことにはならなかったんだ!

『ちきしょう!!やればいいんだろ!やれば!』


一機の撃震が74式近接戦闘長刀を振りかざしLinksに向かっていく、おそらく彼は新兵なのだろう。


あの馬鹿!

『やめろ!ブラック05!相手は重火器をもっている!できるだけ時間を稼ぐだけでいい!』

もう一機のほうは動じず74式近接戦闘長刀を構えている、そして彼の構えを見ると戦う気などなく、こちらが動き出したら障害物に逃げる気なのだろう、その体勢は戦闘慣れした古参の空気が漂っていた。

しかし、少し言葉が遅いのか、興奮状態なのか知らないがブラック05と呼ばれた新兵らしき撃震は愚かなことにブーストジャンプをし、上空から74式近接戦闘長刀をLinksに向かって振り下ろした、そして刀が迫ってきているのにも関わらず、その光景をLinksはゆっくりと観察する。

なんだ良い的じゃないか。

それが彼に対する精一杯の評価だった。
だがあの刀の威力は不明であり、情報がない分、PAもなしに受ける気はLinksには少しもない。
前面に出していた炎の翼の棒を一本だけ前面残し、残りは背中の方で翼のようにする。
そしてその棒を器用に74式近接戦闘長刀が振りおらされる軌道上に置く。

すると、74式近接戦闘長刀はその棒に触れる前に溶けてしまい、あたりには鉄のとけた嫌な臭いがした。

そして、ブーストから着地した、ブラック05は目の前の光景が信じられないのか、振り下ろした体制で2秒ほどとまっていた。

Linksは彼に対する評価をさらに下げる。

こいつはただの鉄くずだ。戦場にいるべき者ではない。

こちらはPAも起動せず、さらにはAMSも戦闘体制から3つしたの設定である。

いや、正確に言うとPA(プライマルアーマー)を戦闘でも起動する気は毛頭にない。
PAとは機体を中心に張られる球体状の半透明の膜の事を指す、これはあらゆる実弾攻撃、レーザー攻撃を弾く。

しかし、弾くレベルまでPAを強めてしまうと、コジマ汚染レベルがとんでもなく高まり、自機が通ったところは全て不毛の土地と化す。
Linksの世界を滅ぼしたのもこのコジマ汚染だ…
そんな代物をこの世界で使う気は毛頭としてない。

2秒とまっていたブラック05はふと我に帰ったように後方にブーストジャンプを始めた。

ほんとうにこの子隙だらけ、廃品にしてほしいのかしら。

そのような感情を抱きながら、Linksはもう少し様子を見ようと遊び心が目覚め、棒を全て後ろに戻し、翼状を保った。

それですこしこれじゃ格好がつかないことに気がつき、右手を前に突き出し、下からクイクイっと、すくいあげるように挑発をする。

そして腕を組み様子を眺めた。

---
司令室には、司令である、パウル・ラダビノッドを含め、仕官が全員そろっていた。

「香月博士、貴官はあの戦術機を存じているかね?…いやあれは戦術機なのか…?」

香月と呼ばれた白衣の女性は自分の記憶をたどるように、あごに手を当て、考えはじめる。

「いえ、私はあの機体を存じません、どこかの最新鋭の戦術機ではないでしょうか」

そう、いいつつ彼女は内心舌打ちをした。

--あんな戦術機この世界には絶対に存在しないわよ!、いえ、あれは戦術機ですらない、常に浮遊できるエネルギー、レーダーに映らない機体、あの翼状の熱を帯びた武器といい、この世界の技術では到底不可能・・・!

あれは、恐らく別世界から来たとしか考えられない。
そう過程するなら彼が攻撃してこない事を含め、彼の目的は何・・・?かんがえるのよ!、彼の目的は…


皆があの機体に注目を集めているうちに彼女は自分の副官、ピアティフに耳打ちで命令をする。
 
『A-01出動、あの機体に通信をつないでもらって頂戴。』

『通信を…ですか?了解しました。』
ピアティフは少し不可思議な表情をしたのち、A-01に連絡を入れる。

A-01---彼女・・、副指令の子飼いの特殊な任務を目的とした部隊である。

そして、彼女は皆が見ていぬ間に司令室を抜け出した。

----

戦う意思は僕にはない、しかし、向こうからの通信があるまでこの場で、またなければならない。

僕が会うべき人物は国連の仕官ではないのだ、しかし、ネクストはオープン回線しか所持しない、そのため、夕呼先生?・・からの連絡がはいるまでここで待機ということになってしまう。

しかし、先生?・・・ああ、副指令ね。

この知識、もっとパッパッっと頭に入ってこないものか、関連付けが遅く、疑問がわいてから答えが出る。

ん…?そうか、疑問が出ないと記憶が出てこないのか。

いままでの状況からそういえるであろう。
そんなことを考えてられるほど、彼には今、余裕があった。
 



『ブラック05!大丈夫か!?』

正直あの翼が前面に残ったときは肝を冷やしたが、なによりも、今は初陣である後輩が生きていたことに感謝した。


『は、はい、平気です、勝手に飛び出して申し訳ありません!』

『謝るのは後だ!今は目の前に集中しろ!!』




後ろに下がり戻って行った撃震をもう一機の撃震が自分の後ろに隠して庇う。
その意思に感服し、彼と同じ機体だったら、お相手したいものだと真剣に思った。

けれども今は戦いに来たのではない。

暇なのでエンジンの位置と型番を調べる、ホワイト・グリントには情報戦を制するための機能として近くの機体や、データーバンクのデーターをハッキングして、引き抜いてくる機能がついている。
しかし、その機能を無線接続で使うとするならば、あの戦術機のように比較的プロテクトが薄いものでなければならない、基地など、厳重なプロテクトだけならまだしも、プログラマーやエンジニアがいるところにハッキングをしかけて、情報を盗んでくるのは少し無謀だ。

そして、暇だから調べるといったが、実際撃破するさいにエンジンの位置を知っておけば、一撃で相手を粉砕できる。

『検査完了しました。機体名・撃震(TSF-TYPE77/F-4J)跳躍ユニットエンジン型番・・FE79-FHI-17A開発元、富嶽重工、能力250kM/h。位置、背中、ブースターの位置。駆動エンジン…燃料電池 位置、背中側、首接続部 燃料、マグネシウム 胸を狙うことをお勧めします。』

最後についてきたホワイトグリントからの言葉に戦闘する気はないっちゅうにっ!と心の中でつっこみをいれた。

エンジンがふたつ・・なるほど。調べて正解だったな。

まあ、しかし、跳躍ユニット?まったく違う呼称だな。



データーサーチが終わると6体もの撃震が基地から飛び出してくる。手には銃…87式突撃砲や87式支援突撃砲、
92式多目的追加装甲、はたまた、92式多目的自立誘導システムまで出てきた。
さすがにこれはまともに食らうのは不味いかもしれない。

戦闘はさけられないか・・・そう確信を得たとき通信がはいってきた。

『こちらA-01中隊に所属している、伊隅 みちる、階級は大尉だ、そちらの方に話がある。』

秘匿回線で通信が来た、内心喜ぶ、しかし、検索結果、目の前の戦術機たちから発せられたものではないようだ。

内心舌打ちをし、回線を解読、秘匿回線に回線をあわせる。

「時間がない、単刀直入にいう、目の前の部隊を止めてくれ。こちらに戦闘の意思はない。」

みちるは苦虫を噛んだ表情をした。

『それは、できない。』

・・・体面上味方と説明することもできないので、まあ、当たり前の話か。

『副指令が君に話がある。』

そういった後に画面の顔が切り替わり、白衣の女性が表示される。
目の前の様子を眺めていると、小隊がそろそろ攻撃してきそうだ、手に所持した、突撃型ライフルを握り締めて確認をする。

『単刀直入にいうわ、少し暴れなさい。話はそれからするわ。』

「つまり…目の前の撃震を倒せと?」

『・・そーいうこと。』

なぜか、相手からの返答にすこし間が空いたな
意味がわからない、目の前の撃震を倒して彼女に利益があるのだろうか。
これを倒したら結構な損害がでるはず、
その責任は…

なるほど、そういうことか。

「ならば遠慮なく…」

2段QBを連続して使い、距離をつめる。
突撃ライフルであるtype-25 white Glint を使えば一撃で胴体が吹き飛ぶだろうが、それでは相手を殺してしまう、それは依頼者が望む結果ではないだろう。
ならば、どうするか。
接近し、エンジンを壊すだけである。

『敵に動きあり!ブラック01よりHQ!発砲許可を!』

『HQ了解、発砲を許可する』

弾幕が前方に張られる、AMSを5まで引き上げ、反応速度を高めた、背中の翼を前方に、花のように開きそれをくるくる回して円にし、自機の盾にする、それに向かって120mm銃弾が放たれるが、無意味だ、5000℃を越す火力の前では触れる前に劣化ウランなどは溶けてしまう。

『くそ!奴は化け物か!?』

『は、はやい!!』

一瞬の内に彼らの小隊に近づく。

「こんにちわ、そしてさようなら」

近づいたなら彼らに勝算はまったくない、僕を捕らえることはできないだろう。

『散開!!散開!!!!』

--判断が遅かったな。

一瞬のうちに彼らの後ろに回りこみ、92式戦術機管制ユニットに届かない威力で炎の翼を前面展開、そして一機一機、背中全体を焼き尽くす。それが彼らとの勝負だった。

戦術機からは蒸気や煙がでてくるだけで動くことはない。

再び副指令からの秘匿回線が入ってくる。

『…流石、お見事ね、地図を送るわ、話はそこでしましょう。』

記憶どおり夕呼先生は話がはやいな、関心しながら地図を確認する。

去り行くLinksの後に残っているのは暴力の痕だった。




----
彼が去っていったのを確認すると魔女はすぐに仕度をはじめた。
彼との通信での会話や、戦闘を見、違和感を覚える部分がいくつかあった。

なぜ
彼は戦術機をしっているのか。
なぜ
彼はこちらの通信が来ることを知っていたような雰囲気なのか。
なぜ
彼は戦術機の構造を知っているのか。

これは慎重にならざるおえない。

「ああ、ピアティフ、A-01に出撃命令を出して頂戴、そうね、場所は、ここ」

そこは彼に送った地図の待ち合わせ場所周辺だった。

なにも彼がしてこないならよし…
どうしても後手に回るわね。
…仕方ないか。

魔女は燃え盛る撃震の映像を眺め細く微笑む。

いまはこの光景がみれたことでよしとしましょう。

「ざまーみろ。」









[19427] 一章: はじまり ---Sirogane
Name: once&Forever◆80cffd6a ID:138fbb10
Date: 2010/06/14 19:11
今回は何週目であろうか、5,4週目から曖昧になり、数えることをやめた。

いつもどおり、見慣れた天井がそこにはある。

重い体を起こし、部屋の中を見渡す。なんの変化もない、いつもどおりだ。

「当たり前・・・か。」
自分の努力など、死んでしまえば終り、次になんの変化ももたらすことなく、同じ歴史がはじまる。
ふう…、と彼は深いため息をついた。
今までの努力はこの世界においてなんの意味もなさない、しかし、この努力をやめることは彼にはできなかった。
彼女・・・純夏を愛しているが故に。
なぜ彼女がこのような仕打ちを受けなければならないのか、
なぜ彼女でなければならないのか、
そして、なぜ自分には彼女を救える力がないのか・・・

そんな考えが頭の中をぐるぐる回る。
けれども、まったくといって進歩をしていないわけではない。
いままでのことで様々なことを学んだ。
現状の方針のオルタネイティヴ4はただの延命処置にしかならず、人類を救う力はないこと。
今のままでは月面ハイヴを落とすことなどできないこと。
月面ハイヴには…現状で知られているBETAなど、一体も存在しないこと。

BETAはその環境に合わせて適応化され、作られるらしい、そのため、地球のBETAと月のBETAは別次元の生物であり、
別次元の強さを誇っている。

当たり前だ、人間は重力が強い地球で適応化され、作られた生物であり、無重力空間など、自分の庭ではないのだ。
そして、月のBETAはその月の環境に適応化されて作られている。
現状の自分達の庭である、地球ですら、BETAに苦戦を強いられ、負けているというのに、他人の庭で勝てる道理があるはずがない。
そして、月のハイヴの平均発展度は8・・・つまり、地球のどのハイヴより発展していて、さらにはBETAの数も多く、強さも地球のそれ
とは比べ物にならないのだ。

いままで信じてきた道を突き崩され、どうしていいか今の俺にはわからない、けれども、立ち止まることなど・・・ありえない。
夕呼先生に会いに行こう…。
そう決意をあらたにして、ベッドから立ち上がり、制服をきこむ、そして机の上に置かれたゲームガイをポケットに詰め込み、部屋を出た。

一階におり、ドアを開けるといつものように、廃墟がそこには広がっていた。

「純夏ぁ…、俺今回で絶対に終わらせるよ、約束する。」

彼女の家を眺めて、そうつぶやくと、異変に気がつく。
いつもならば、撃震の部品がここで落ちてくるはず、しかし、現状はどうだ?落ちてくる気配はまったくない。

気になり撃震を見上げるとそこには強化スーツに似て非なる服を着込んだ美しい、銀髪いや、どちらかと言うと色素が抜けた白のような髪の
青年が壊れた撃震の頭に座ってこちらをみていた。

彼が着ている服は強化スーツのように全身がつながっているが、デザインが違い、美しい装飾などが見てとれる。

いままでこんな人物とはあったことがなかった。
いや、こんな強化スーツすら見たことがない。

「来たね、白銀 武、待ちわびたよ。」

なぜ彼は自分の名前をしっているのだろう、それに待っていたとはどういうことだ…
いくつもの疑問が沸いてくる。

「はじめまして、聞きたい事がいくつもあるのはわかる、まず、僕がなぜここにいるか、それは知っていたからだ、そして君の最愛の女性の頼みで
君を助けに来た。いや、頼みというより依頼だな、なんせ…」

「ちょ、ちょっとまてくれ!純夏に頼まれてきた!?なぜ!?来たっていうのはどこから?!」

あー…とめんどくさそうな顔をして彼は頭をかいた。
気が動転している相手に説明はめんどくさいのだ。

「別世界、詳しい話は今度話そう。今は、僕は君に一つ質問しに来ただけだ、君はなんでそこまで頑張る?この世界が救われないことは
とうの昔に知っていたはず、何が君を駆り立てる?」

ひと時、自分の気持ちを落ち着かせる…
こいつが質問していることは自分でもわかっているそんなことは、けれど、俺の決意は唯一つ。
それを再び確認するための意味も含め彼に聞こえる声で言葉を紡いだ。

「最愛の幼馴染を、自分の恩師を、同じ部隊の仲間を、守りたい、そしてあいつらには笑顔が似合うから、笑っている世界を作りたいんだ。
これで十分か?」

彼はすこし考えたのちに再びこちらを向いた。
 
「ありがとう、少しだが理解できた気がする、自己紹介がまだったか、僕の名前は特にない、けれどもLinksと呼ばれている。」

そういうと彼は撃震の頭から背中側に飛び降り視界から消えてしまう。

ウヲオオオオオオオオオオーーーーーン

何かが起動するような、とんでもなく大きな音が当たり一面に響いた。

そして撃震の裏から出てきたのは見たこともない戦術機だった。

体を中心に周りを円状に盾のようなものが浮いており、純白な機体でその機体には右側にだけ、翼のような形ををとった熱を帯び、真っ赤になった
棒の群が、付けられていた。そして手には型番もわからない銃。

あきらかにこの世界では異端な物だった。

『それでは白銀、また会うだろう、その時にゆっくり話そう、今、僕は美しい博士を待たせてあるのでね。』

そういったLinksと呼ばれているらしい青年は横浜基地とは別の、町のどこかの方角にとんでもない速度で飛んでいった。

「彼はいったい、なんだったんだ…」

それにあの機体…しかし、なぜだろう、彼とは前に会ったことがあるような、そんな気が…いや、気のせいだろう。
一目みた感じでは確実に彼のあの戦術機はオーバーテクノロジーで作られている…

しかし、それに対する知識もなく、考えるだけ無意味だろう、という結論にいきついた。

「純夏…お前は一体…」

去り行くLinksの言った言葉が今も脳裏に焼きついて離れなかった。


そのあと白銀はいつもと同じように、横浜基地の坂道を登っていた。風に漂ってなぜか何かが溶けたような嫌なにおいが漂ってくる。

なんだこれ…

口を制服の袖で押さえつつ、坂道を登りきると、いつもどおりの門兵、いつもどおりの基地…
そしていつもとは違う壊れた撃震が基地にあった、その撃震に沢山人があつまっている。

「何があったんだ…」

呆然と立ちすくみその光景をながめていると、門兵がその言葉をきいたらしく、気軽に話しかけてきた。

「こんな一大事にお前は廃墟にいたのか?なにもないってのに。でもまあ、お前も見えただろ?あの真っ白な戦術機・・いやあの化け物を。」

黒人の方があきれた口調でそういってくる。

Links…彼がやったのだろうか。

「あいつったらよ!、あっと言う間に6機の撃震を落としちまったんだ。戦術機の74…なんたらって刀もあいつに触れる前に溶けてなくなっちまうし…」

白人が興奮気味に語っている、こんなことをして、彼は何がしたかったのか、それは今の自分にはわからない。

「…まあ、こんな状況だが、規則だからな、隊員証と所属部隊を頼む」

ここは何時もどおりなんだな。

「すまない基地に忘れたんだ。」

門兵達はいぶかしげな表情をし、銃を構える。

「名前は何だ!?」

「白銀 武、香月博士につないでもらえればわかると思う。」

黒人が無線機を取り出し、上に取り合い始めた。

「はい・・はい・・、おい、副司令は今いないらしい。・・やはり怪しいな。」

そして黒人もこちらに銃を構える。

先生がいないだって!?

白銀は内心で舌打ちをする、恐らく、Linksが現れた影響だろう。

なんてこった…。

「話はゆっくり取調室で聞こうか。」

万事休すか、と思ったその時、見慣れた女性が門に近づいてきた。

「まちなさい、その方は副司令のご友人だ。」

夕呼先生の秘書、ピアティフ中尉、その人であった。

門兵達は後ろから掛けられた声に驚き、後ろにむかって敬礼をする。そして門兵達はあたふたした雰囲気で言葉を取り次いだ。

「ち、中尉殿!そ、その、副司令のご友人としらず…申し訳ありません!」

まあいきなり上官に自分達の行動をとがめられ、その相手がこの基地の2番目の権力者の友人と聞かせられれば当然の反応だな。
しかし、なぜピアティフ中尉が?俺はまだこの世界でなんの行動もしていないはず…
これも彼の影響なのか?…それとも俺の知らない物語が始まっているの・・・か?

いままでの経験がここでは生かせるのだろうか、そんな不安が胸によぎる。

「し、しかし!これも規則です!破るわけには…」

仕事熱心な門兵だ、前線基地ならばなおさらか。

その返答を聞いたピアティフ中尉は二人に向かって美しい微笑みを返した。

「貴官達の熱心な働きは副司令にしっかり報告させていただく。」

「は、え?…あ、ありがとうございます。白銀さま、どうぞ門をお通りください。」

さきほどのピアティフ中尉の言葉をそのままの意味でとってはいけない、
もちろん賄賂のようなそのような意味が含まれてはいるが、
これ以上邪魔をするなら権力を使って消すぞ、という脅しの意味が強い。

流石に門兵もこれ以上食い下がることもできず、通すという形となる。
軍では見慣れた光景ともいえるだろう。

ピアティフ中尉は俺に向かって敬礼をする。

「失礼しました、どうぞこちらに」

そういってピアティフ中尉は基地へと白銀の案内を始めるのであった。

「さきほどは申し訳ありません、来客があると先ほど連絡をいただいたものですから・・・」

基地に入って少し入ったところでピアティフ中尉は白銀に頭を下げる。

夕呼先生は俺が来ることを知っていた?

ここで自分がここに向かうまでの事を整理し、高速で頭を回転させ状況を整理する。

俺がこの世界に来ることを知っていたと思われる唯一の人物があのLinks、そして彼はなんといっていた?

『それでは白銀、また会うだろう、その時にゆっくり話そう、今、僕は``美しい博士``を待たせてあるのでね。』

つまり、彼が夕呼先生に会って俺の来客を継げた、そう考えるのが有力か、そして俺の来客をつげ、このような待遇を夕呼先生にさせるとなると、
彼は相当切れるか、有力な人材ということになる。こうして、待遇させるということは、彼は少なくとも現状俺の敵ではないと
言うところだろう。

ならば現状当てはめられた役を演じるのが上策か。

「いえいえ、彼女はいつもそのような人ですから、気にしていませんよ。
むしろ、このような美しい女性を私の向かえに送っていただけるとはとても光栄です」

白銀はピアティフに向かい、爽やかな微笑みを返す。そして、豆鉄砲で撃たれたような顔をしたピアティフは再び歩きだす。

「美しいだなんて、そんな、ご冗談を。」

白銀は少しまずいことをいったかな…と自分を責めるが、そういう役を演じてしまった以上現状の役を通すことにした。

「いえいえ、私は冗談はいいませんよ、貴方はとても美しいです。こんどお食事でもどうですか?」

ノリでいっていたら、食事のお誘いまでしてしまった。

なにやってんだおれえええええええええええええええええええええええええええ。
そうこうしているうちに、夕呼先生の部屋についた。

「…ここが副司令の部屋です、ここで待たせろといわれておりますので・・・」

部屋っていうより、研究室だよね。
しかし、何者かわからない人物をここまで通してしまっていいのか?と我ながらそう思った。

「ありがとう」

また爽やかな微笑みを返しつつ、彼女にお礼をいった。

「あ、あの、・・」
彼女は熱でもあるのだろうか、少し、顔が赤い。夕呼先生の秘書なのだ、仕事が大変で体調管理が行き届いていないのでは?という的外れな心配を白銀はする。

彼女はまだ何か伝えわすれているのだろうか?

「こ、今度、お邪魔でなかったら、お食事にお誘いください。」

な、なんだって。
白銀はその中尉の反応に内心とても動揺していたが、爽やかな微笑みを崩さないように踏ん張る。

「いいのかい?こちらこそ、機会があったらお誘いさせてもらうよ。」

そう返すと彼女はありがとうございます、っといって早足気味に帰っていってしまった。

「あらら、調子に乗りすぎたか・・・」

彼女のあの反応は恐らく、副司令の友人に対しての返答だろう。
それをまじめに受け取ってしまった自分が少し恥ずかしかった。

そして部屋を開けようとしたとき、大事な事に気がついた。

「・・・・・そうだ、俺認証ID持ってないや・・・・」

ピアティフ中尉も既にどこかに消えてしまっており、上に戻ることも、そして彼女を追いかけることも、部屋に入ることさえできない白銀は途方にくれた。

ここで先生を待つしかないか…

そう思って天井を見上げ隣の部屋のあの姿になった純夏を考える。
なんでお前だけ辛い目にあわなきゃいけないんだろうな。

しかし、彼女の役を変わることもできなければ、助けることもあまりできない、彼女しか、出来ないことなのだった。

己の無力感に拳を強く握り締める。

なんで俺は助けてやれない!何で俺がかわってやれない!なんでなんでという疑問がひとたびでてしまうとあふれ返ってしまった。
このごろ、このことが自分の中で大きな疑問なのだった。
しかし、なんど考えてもこのことに対し納得がいく答えが出るはずもない。

視界がぼやけ、そして、涙が一筋だが流れてしまう。

いけない、こんなところ誰かにみられたら…

「・・・・辛いときは・・・泣くと、・・楽になりますよ。」

いついたかわからないが、銀髪の少女、霞が隣に立っていた。
その顔はいつも無表情に近いが、彼女の顔にも微妙に感情が現れるのだ。

そして、彼女は今心配そうな顔をして自分を見ていた。いけない・・・

白銀は感情を押し殺し、霞の頭を撫でる

「大丈夫だよ、はじめまして、霞。」

そういうと、霞は首を横にふるふるとふった。

「初めてじゃ・・・ないです。」

その口調では、俺と同じくループしてしまっているということになる。
しかしそんなわけは・・・・

「ループ?・・はしていませんが、記憶が、流れ込んで・・・くるんです。」

どういうことだ・・・。

「私にもわかりません。」

そういって彼女は認証IDを夕呼先生の研究室に認証させる。

「・・・・どうぞ。」

部屋に入るときに白銀の中にはさまざまな疑問が渦巻いていた。

一体この今回は一体何がおこっているんだ。




        -----純夏・・・お前は一体何をしたんだ・・・。












[19427] 第二章 首輪というもの ----Links 修正6/26、27
Name: once&Forever◆80cffd6a ID:138fbb10
Date: 2010/06/27 14:54
「人を待たせるなんて・・・いい趣味してるじゃない?」

Linksが待ち合わせであるビルの廃墟の前にネクストから降りたとたん、夕呼からの罵声が飛んだ。

もちろんこれも交渉術の一つである、相手を待たせてイライラさせるこも一種の手だ、しかし、この手は相手の下手に出るときはあまりつかってはならない
手段でもある、相手をいらだたせ、正常な判断ができなくするのが目的である。
今回は戦力的にも平等、いや、圧倒的こちらが有利か。
あの程度の兵器ならば、前世代のACでも破壊できるだろう、ネクストの敵ではない、なによりも彼らの
武器には見た限りではレーザーもない、SMG(サブマシンガン)程度の主兵装でネクストを倒せると思ってもらっては困る。
いくつか、威力が不明な武器があったのだが、あんなものくらうはずもない。

そう、ここ周囲で待ち伏せしている12機の戦術機など戦力にもはいらないということだ。

「すまないな、今後の英雄に挨拶をしていた。」

英雄?と夕呼が首を傾げる。

「あなたが詰まってる問題の答えを持った青年さ、貴方に会いに彼は今横浜基地に向かっている。まあ、貴方もここにきてしまっていることは彼は知らないからなあ・・・
身元不明、不審な青年が副司令をたずねてきた・・・銃殺されてもおかしくないパターンじゃなか?」

こちらの意図を汲み取ったのか、彼女は舌打ちをした後、なにやら無線のようなものを使って連絡をいれている。

「名前はなに!?」

いらだっている・・、作戦どうりか?

「白銀 武、あー・・・言い忘れていたが、彼は私の友人だ、死んだ場合や不誠意な対応を受けた場合、私達にも考えがある。」

そういって遠隔操作で座っていたネクストを立たせ、銃をこちらに構えさせる。

--ふむ首尾は上々か・・・

あの機体達の群はここを取り囲むように配置されており、マーカーで表示されているので少しでも動いたとたんわかるのだが、その様子はなかった。

すでに周りの部隊は無力化されているのだろう。
彼女らは戦力として考えていないものの、目の前の夕呼博士は彼女らに信頼を置いていることだろう、
相手のよりどころを無くすのもいいだろう。

このようなところに一人で来る場合、自分ひとりだと思わせないことがこのような交渉の基本だ、戦力を把握させないこと、そうしなければ、相手が調子に乗ってしまうのだ。
そして今回の場合、戦力を把握されると、いきなり攻撃されるということもありえるが、そちらの方をされてしまうと彼女らを殺さず、鎮圧というのは難しい。
だからこそ戦力を把握させず、相手には十分と思われる戦力を周囲に配置させた。
でなければこのような殺さずの手段も使えなかったであろうからな・・・

連絡を終えた彼女が私に向かってガンを飛ばしてきた。

「こちらは貴方の用件を飲んだわよ・・・さて、今度はこちらから話をさせてもらいましょうか。」

不安分子を基地内にいれることよりも、私の方が大切らしい。

「まずは確認よ・・貴方・・貴方達は別世界から来たのね?」

「その通りだ。」

夕呼は手を顎に置き、考えはじめた。
そして考えをまとめたのか、こちらの目を再び射るように見た。

その彼女の目にはなんの感情も読み取ることが出来ない。

ーーなるほど、強い相手だ。


読めない相手、これほど交渉がしにくい者はいないだろう。

「我々は他世界からある一つの目的からきた。」

夕呼はなにもいわず、無言の催促をしてきた。

「…この地球上からBETAを追い出すことだ。」

本当の僕の目的は別にあるのだが、こういっておいたほうが、利害関係が一致しているので交渉は進むはずだ。

「なぜ?貴方達に利益はないでしょう?」

難しい質問ではあるが、予想していた質問でもある、実益はたしかにない、僕は答えを見つけるために彼を見にきた、目的はそれ以下でも
以上でもなく、途中の課程は関係ない。

そして彼に協力し、見定めることによって、彼自身の答え、理解しようかと思っただけである。

適当にごまかすのが上策か?

「たしかに、我々に利益はない、しかし、この世界の涙、しいては貴方のような美人の涙を見過ごせるほど非道ではないのでね。」

ロイ、すまんお前の言葉を借りるよ。

ロイザーランド、彼は僕の世界では傭兵として戦場をかけ、個人にして、最強であった。
扱いが難しいレーザーや、ライフルなどの高火力武器をまるでピストルを使うようにこ綺麗に使うのだ。
共闘した数こそすくないものの、彼から学んだ知識などは数知れない。

そして彼がこよなく愛するのは美人や女性である、その笑顔を守るためにかれは動く。
過去になにかあったのかは知らないが、その決意は自分の組織の決定、そして世界の意思さえも逆らい、従うものらしい。

夕呼博士はこちらが答える気がないととったのか、それ以上質問を続けることはなかった。

されてもこまるけどね。



---この交渉でこちらが先に協力をしめすことはできない。

立場的な問題だ、向こうがこちらを雇うと決め雇うならいいが、こちらが持ち出した場合、奴隷関係にもなりかねないのだ。

それがまずい理由は機体にもある。

オーバーテクノロジー、戦術機の概念すら覆しかねない技術。
欲しくない科学者などいるわけがない。

ましては相手は夕呼博士、人類のためならマッドサイエンティストと呼ばれようと気にしない方だ。
・・・そんな奴にこの技術を渡すわけにはいかないのだ。

あの世界の二の舞にしないために。

二人の沈黙の時間が長く続いた。

もちろん、相手方もこちらからの言葉をまっているのだろう、相手の話に応じ、最初から接触が目的ということはばれている。
しかし、両方とも優位に立ちたいがために、切り出すことはできないのだ。

このままでは埒が明かないこともたしかだな。

「ん?そちらからはなにもないのかね?我々は貴方に挨拶しに来ただけだ。なにもないのなら今度は米軍にでもあいさつをしにいくとしよう。」

これで向こうは動かざる終えないはずだ。

聞こえるか聞こえないかの小ささで歯軋りの音が聞こえてきた。

「・・・私に協力しない?もちろん、待遇は良くするわよ。」

僕は思わずにやりと笑った。

「よろしい、非常によろしいよ、夕呼博士。こちらからの条件は技術等にたいし、一切言及をしないことだ。
それ以外なら貴方の好きなように使ってもらって構わない。」

こういう高圧的な態度は自分でも好きではないのだが、こちらにはそちらをどうにかできるという感じを出していないと何事もうまくはいかない。

「…そう」

おそらく次にとる彼女の行動は、ネクストの鹵獲だろう。彼女は技術がほしいが、それが適わなくなった今、鹵獲をするしか手がない。

わかっていれば対処はしやすい。

「おっと、囲んでいる貴方の部隊を動かせば…只じゃすまないとおもうが?」

そのとき彼女は歯軋りして虚空を見ていた。恐らく網膜には其の光景が写っていたのだろう・・・
  
…-----


時は十数分前、A-01…通称ヴァルキリーズは一機の戦術機のまわりを囲んで待機していた。

そしてその戦術機が立ち上がり、ビルにその銃を向けたのだ。

その光景をみた、新参である、茜は耐えかね機体を動かそうとしたときだった。

『全機動くな!!』

伊隅大尉からの激しい叱責がとんだ。

「どうしてです!?」

『そうよ!相手は銃を構えているのよ!?01!』

私と、速瀬中尉が耐え切れず、文句をたらすと、伊隅大尉・・・01は歯軋りをしながら、告げた。

『上空を見るんだ!・・・我々の負けだ。』


そういわれ、機体のカメラを上空に向けるとそこには真っ黒な機体が浮かんで、横4列にならんだ、無数の砲身のガトリングを右肩から
こちら向けていた。

あれがあたれば即大破、子供でもわかる。

彼女達に彼の世界の知識があればあれはPTNX(プロトタイプネクスト)の形だとわかったはずである、実際にはそれの改造機なのだが。

そのとき耳をつんざくような…それであって人間らしく、女声のような、機械のような不思議な声が全機に響いた。

『全機ウゴカナイデクダサイ、銃器ヲスコシデモ動カセバ撃チマス』

そしてその機体のガトリングが火を噴き、02・・・速瀬中尉の機体を92式戦術機管制ユニットだけを残して粉々にしてしまった。

それは一瞬の出来事であった・・・・。

『大丈夫か!??速瀬!?!』

伊隅大尉が動揺しているのか、コードネームではなく、名前を叫んでいた。

『大丈夫よ・・・ごめん・・・無理だった。』

彼女は感づかれないように動こうとしたようだが、気づかれてしまったようである。
その光景を見てから、動こうとするものはおらず、事実的にA-01はなすすべもなく鎮圧されたのである。

無理もない、あの機体はレーダーに映ることもなく、熱源反応、そして、光学映像すら誤魔化して、上空についたのだから・・・


そうして、彼の望む形、元の世界と同じ、信頼関係もなしの、傭兵と雇い主という形で奇妙な主従関係は始まったのだった。



後書き。

なんというか・・・とても短いです、旅行にテスト、いろいろ重なってぜんぜんすすめられそうになかったので、書いたぶんだけ投稿しました。

本当に申し訳ないです・・・



[19427] 断章// …彼女の記憶、懐かしき暖かさ、既に聞こえない声。短編
Name: once&Forever◆80cffd6a ID:138fbb10
Date: 2010/06/26 15:51


LinksはPTNXとともに自分達のハンガーについた、これから自分でこの機体の整備をしなければならない、しかし、そんなに激しい動きは
していないため、整備は比較的に楽になるはずだ。

ネクストの扉を開け、鉄網でできた足場に下りる、そして、となりのハンガーにはいったPTNXの方を懐かしむ顔で眺める。


こいつは旅団のPTNXになるはずだったものをスミカの提案で鹵獲したものだ。
このPTNXは僕の最愛の機体でもある。


これを話すためには僕がLinksになった理由を話さないとならないだろう。

少し幼少の頃の話をさせてくれ。

僕はむかし、保育園のような施設で育てられていたんだ、そこでは昼ごはんの時に薬の投与こそあったものの、そのほかのことに
対しては、最初は普通だったと思う、あとからスミカに聞かされたのだが、アスピナの研究施設だったそうだ。

そこで僕はある一人の少女と、恋をした。

彼女の名前は、Type-27-Mirror ・・・僕は彼女を鑑 ニーナと呼んでいた。
あとから知った話だが、彼女はタイプ27が死亡したときに作られたクローンであることからミラーらしい。
話を戻そう、彼女も僕と同じ白い髪だった、いや、この施設にいるほとんどが白い髪だったな、先生・・・研究員を除いてね。


『シロガネちゃんは少し自分に自信をもっていいとおもうんだよぉぉ~~~』

思えばあの頃が幸せだった。

あ、そうそう、僕がシロガネと呼ばれてたのには理由がある、僕はTypePT-White-57-Takeru

・・僕は新型プロトタイプの武シリーズの白57番だ。

シロゴナと呼ばれるのが普通だったが、彼女はどう聞こえたのか知らないが、シロガネとしかいえなかった、そちらのほうが私的にも気に入っていたし、
僕も言及することはなく、シロガネ タケル と呼ばれるようになったわけだ。

そしてニーナと数年過ごしているうちに僕達は10歳になった。

5歳ごろから仲間が少しずつ消えていったが、先生達は養子にいったんだよとしか教えてくれなかった。

そのころは小さかったせいかそれで納得したのだが、10歳にもなるとある程度の知恵もつく。

普通の場合そのころは薬の効果で私的感情などがなくなっているはずらしいのだが、彼女と僕はなんの変化もなく普通にそだっていた。
そして、もう一人、自己表現などはあまり上手ではなかったものの、感情が残っているものがいた。

フラジールシリーズのType-50である。

フラジールシリーズは試験的実験のため50で打ち切られるのだが、その最後で成功例が出たと先生達は喜んでいた。

そしてフラジールはいなくなった。

そんな中、彼女と僕はうすうすおかしいと気が付いていたものの、一緒にいるためにほかの者と同じく感情がないフリをしながら過ごしていた。

そしてある事件があったのだ。

ある日寝室にいきなり、銃器を持った兵士が入ってきたのだ。
兵士は「すまない・・・すまない・・・」と泣きながら武達を撃っていた。
そして撃たれている仲間たちはなんら抵抗もせず殺されていく、僕は死ぬわけにはいかず、兵士を襲った、兵士はその事に対しなんら抵抗もせず、銃器をこちらに渡してきた。
そして彼は言った、俺を殺してくれと、僕は殺すという概念はそのころ理解しておらず、望んだとおりに彼を綺麗に殺した。

そしてニーナが心配になりニーナのシリーズがいる宿舎に走っていくと、ニーナは足こそ怪我しているものの、元気な姿で部屋の前に体育座りでひざをかかえて頭を埋めていた。

「ニーナ!?」

彼女は顔をあげると泣きじゃくっていた。

「みんな・・・えぐっ、しんじゃったよう・・・えぐっ、…殺しちゃったんだよおおお」

ニーナのシリーズは主にオペレーターとして作られたシリーズで死ぬということの概念、そして殺すというそれを理解していたらしい。
それに対して、僕の武シリーズは殺す最強のLinksを作るために作られたシリーズで殺しが日常だったために、平然としていた。

そのころの僕はなぜ彼女が泣いているのか理解こそしていなかったものの、彼女が泣くということは悲しいことと考え慰めていた。

そして僕達は施設を逃げ出そうとする。

まあ気づかれるんだけどね、当たり前か。

外に出たところでノーマル機が何機も追いかけてきた。
僕一人だったら楽に逃げ切れたけども、怪我をした彼女を背負っていたため、思う以上に速度がでず、じりじりと追い詰められていく。

『そこの被検体!とまりなさい!!』

聞きなれた先生の声。
しかし知ってしまった以上とまることはできなかった。

「くそっ!」

ため息が出るなんで自分はもっと早く走れないのかと、武の中じゃ最高の性能を誇っていてもこんなときに逃げ切れないようじゃ意味がない。

彼女も僕のあせりから状況に気がついたのか、あせった表情をしていた。

そして・・

「私を下ろして!すこしなら時間は稼げるから・・!」

ふざけるな!といって僕は無視をして走っていったが、状況が変わるかけでもなく、どんどん追いつかれていく。
そして、一発の銃弾が肩にあたった。

その時彼女を落としてしまう。

「きゃあ!」

倒れながらこちらを見つめる彼女は優しい微笑みを浮かべて言った、いきてね、と。
そのころの僕には彼女の言葉は理解できていなかったが、あの時なぜ僕は彼女を救えなかったのだろう、今でも何度も夢がせめる。

そして研究者の群に彼女は走りながらむかっていった。

銃声がいくつも聞える、その光景を数秒見つめたあとに僕は彼女を置いて逃げたのだ。

彼女の分まで、なんて、考えていなかった。

痛い痛い痛い痛い、右肩が痛い痛い痛い痛いもうやだ、逃げたい。

それがその時の僕の感情。
自分で自分がいやになる。


そしてどう逃げたか定かではないが逃げた先にネクストから下りて空を眺めてる女性がいた。
彼女はいった。
そうか君も逃げてきたのか・・・と。

そこで安心からか、意識が途切れてしまってそれから彼女に育てられた。
そうそう・・・彼女がスミカだ

少し長かったか?すまないな、もうすでに気がついている人もいるかと思うが、あと少しだ、できれば聞いてくれ。

18歳でLinksとしてデビューした僕は、首輪付きとして仕事をしながらもニーナを探していた。

スミカに聞いたのだがその状況でつかまったのなら、成功例として生かされているだろう、とのことだった。

ホワイト・グリントとの死闘の時に彼から聞いた言葉が引き金となるとは思わなかった。

『ふふ、君にも守るものがあるのか。いや?まだ探している迷い猫か・・まあ敗者として、そして、先輩としてアドバイスだ、視点を変えるんだ。・・・』

彼、アナトリアの傭兵はあの戦いに勝つ気はなかったのだと思う、でなければ勝てるはずがない。
後から聞いた話なのだが、彼と、オペレーターはスミカが後々ラインアークから死んだことにしてひっそりと脱出させたそうだ。彼女は本当になにがしたいのかわからない。

視点を変える、その時に入ってきた依頼が、あのテルミドール・・・あの太古の革命暦の名前を借りた彼から依頼が来た、探すチャンスかもしれないと、企業から脱退を決め旅団についた。

そして彼は仲間内にこう語っていた、この脆弱な企業連たちをつぶす、・・テルミドールの9日の再来だと。

今思えば、テルミドールの9日の再来をするならば、彼は最初から自分が倒されることは知っていたのかもしれない・・・

ナポレオンによって。

・・・話をもどそう、ORCAに入った僕は彼らが所持する様々な情報をひっそりと抜き出していた、メルツェルはそれに気がついていたものの、言及することなどなく、逆に僕をかばっていた。
彼は僕の目的を知っていたからなのだろう。

そこであるとき彼がORCA全体に見せた資料PTNXについての資料を見たときの記述がきっかけだった。

Type-27 の被検体が搭乗

ニーナ

・・・・


そのことを確かめるために、僕は自分のハンガーにもどり、機体、ストレイドの整備したあと、スミカに状況を話した。

そして、スミカの発案で鹵獲しに向かう。

この裏切りものが!と様々な面子からいわれたが、しったことはない、BIGBOXの防衛を無力化し、PTNXのハンガーについた。

そして、その機体のコクピットを開けようとしたとき、彼、メルツェルが来た。

「君にはすまないと思っている、どんな姿だろうと会わせるのが普通だったな・・・」

彼の言っていることを聞いていても、体が、ココロが理解を拒んだ。
そして彼がコクピットを空けたときに移ったのはシリンダーだった、脳と脊髄が浮かんだ…
そしてシリンダーには番号が彫られていた。

Type-27 Mirror








ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアAAAAAA





理解してしまったが故に僕は彼を許すことができなかった、ネクストで彼をつかみ、握り潰した。
そして鹵獲したPTNXには様々な記憶がされていた。

彼からの遺言も。

『私は君に殺されたのだろうな、でなければ自分でこれは消す、ここに記すことは真実だ。』

ニーナはメルツェルが発見したときには既に廃人になっていたらしい。
彼女は捕まったあと、お仕置きとして、さまざまな研究員に媚薬を投与され強姦された、そして、ネクストの適正があるとしると、
殺すことの訓練をさせ、日常はある循環で回っていたらしい、

訓練、強姦、訓練、強姦、訓練、キモチイイジカン…

メルツェルが情報をつかみ駆けつけた時には彼女は感情は少ししか残っておらず、壊れていた、復讐を・・・復讐とつぶやいていた彼女の
意思を汲み取り、動かぬ汚された体から脳と脊髄だけを取り出し、PTNXに乗せたそうだ。

そのような情報をそこで手に入れた僕は研究者を許すことができず、強いて言えば企業、そしてその融資者、アスピナを壊すことしか頭になかった。

そこに来たのが古王からの依頼でクレイドル・・・上空の貴族どもを襲わないか?という内容だった。

理性もなかった僕は怒り狂いそして、1億人を殺した。
まあそれからは貴方も聞いただろう?


そして、そう、このハンガーにいるのが彼女だ。


「ありがとう、ニーナ、今日も助かった。」

丁寧に彼女の体を整備していく、いつかは彼女の懐かしい笑顔が・・・そして声が聞えるかもしれないから。


あとがき。
ACfaの主人公君の過去です、アナトリアの傭兵が生きているっていうのは、まあ、僕の願望で・・・といいたいところですが、主人公君がホワイト・グリントを作ってもらえた理由に関係があるという設定です。

すごく短いですね、長くするのもよかったのですが、それだとACfaの小説になってしまうのでこんな形になりました、すいません。





[19427] 第二章 彼女の意思、思い。---Main,sirogane Sab,Links 6/28修正
Name: once&Forever◆80cffd6a ID:138fbb10
Date: 2010/06/30 18:45
部屋にいるときあまりにも暇だったため、彼女・・・霞と一緒にあやとりをして遊んでいた。

霞も遊びたがっていたし、綾取りをしながら、彼女に詳しい事情を聞いていたのだ。

「私が思い出したのはついさっきです・・、急に、鑑さんの様子が変になって・・・、彼女と対話していたら、不思議な覚えのない記憶が何個も・・」

「へぇ・・ほら箒(ほうき)」

俺の手にできた箒の形を彼女は必死に真似ようとがんばっているが、なかなかうまくはいかない。

「ほら、ここをこうして・・・はい、できた。」

自分の手に出来た箒の形をみながら霞は目を輝かせた、そして何度も彼女は箒の形を崩したり、ふたたび作ったりを繰り替えす。

「覚えました・・」

うさ耳?がぴょこぴょこ動いてることから、相当うれしいのだろう。

「・・その後、白銀さんの意思が私にとどいて、記憶が鮮明に帰ってきたんです・・・」

たしか、記憶の定義とかってやつだ、普通の人は流れ込んできても、夢でみた記憶程度にしか思わないらしいが、霞の場合、能力者からか、
記憶が鮮明に焼きついたらしい。

ということは、恐らく、純夏を通して前の記憶が流れ込んでる?のか?

「・・・でも、その中にはこことは違う世界の記憶もあったんです。」

「・・・」

そういうわけでも・・・ないのか?

「すいません・・・混乱しましたよね」

「いや、正直わからなかったけど聞かせてくれてありがとう。」

まだ、情報が足りないらしい、夕呼先生に聞けば、いろいろわかるかもしれないな。
謙遜するわけでもなく、俺は頭がいいほうではないのだ、どの世界でも考えることはほとんど先生に任せてきたといってもいい。

俺はただ、先生の言うことをこなし、そして、自分の経験を生かしてきた。

・・・おそらく、いままでの経験から、それがそもそも間違いなのだろうか、結果、オルタネイティヴ4の後はどの道成功しないことが経験でわかっている。
俺も考えて、動くべきなのかもしれない。天才も完璧ということはないのだから。

先生任せということもよくないだろうしね。

目の前をみると、霞は少し耳がしょんぼりしていた。

「・・まあ、そんなことより、ほら、タワー」

そういって霞に見せるように、目の前にだす、
するとぴくっと耳が動き、食い入るように作る手を見ていった。
そうして完成したタワーをみると、目を輝かせ、覚えているとおりに、再現しようと、健気にがんばりはじめる・・・

霞はもっと感情を普通に表現したほうが可愛いと俺は思う、彼女の変化に気が付くようになれば、彼女の笑い顔
が可愛くてたまらない、その笑顔がいつもあれるように俺は頑張ろうと決意した昔を思い出す、いまだ実現してはいないが。
けれど、彼女にはこんな血生くさい世界ではなく、平和な世界で生きてほしい。


「・・ガネさん?」

「あ、ごめんごめん」

いつの間にか彼女の顔を微笑みながらまじまじとみていたらしい。
こうした平和な時間は前の世界でも少なかったから思うところがあったのかもしれないな、と自分でそう結論づけた。

「・・・あんまり、見ないでください、その、はずかしいです。」

そういって霞が目を流すと可愛くて思わず頭を撫でてしまった。

「ふにゅう・・・」

ウィイイン

「あら、霞、なにいちゃついてるのよ?」

音と声に気が付き、後ろを向くと、待っていた相手である、夕呼博士、その人がいた。
あきらかにいらだっている、それだけはわかった。

「あ、失礼してます、始めまして白銀 武といいます。」

「知ってるわよ、そんなこと。」

知っているのによそよそしい態度を取る、取られる寂しさは、何回経験しても慣れることはないな。


・・霞が懐いているなんて、予想外ね、もしかしたら、アイツと違って使い易いかもしれないわ。

白銀が寂しさを感じている中、夕呼はそんなことをふと考えていた。

夕呼はすたすたと歩いていくと定位置である、自分のPCの前に座る、その言葉だけでは駄目な引き篭もりに聞えるかもしれないが、
彼女のPCに入っているのは自分の研究内容とそして様々な実験データーなど、根っからの科学者なのだ。

「で、貴方は何を協力してくれるのかしら?」

夕呼先生がそんな刺々しい態度をしていると、なぜか彼女の隣にいる霞が夕呼先生を睨み付ている。

夕呼はその視線に気が付きながらも、これは子供の関係ない話、と割り切り、視線を無視していた。

「・・俺は未来のことを全て知っています、そして、先生の研究の00ユニットの電子頭脳の式の根本の間違いについても・・」

「まって!、私の考えが根本から間違っている、ですって!?」

こいついきなり何を言い出すんだという表情で夕呼は白銀を見つめている、白銀はそれを慣れた冷静な表情で見つめていた。

「そうです、まず、落ち着いてください。」

夕呼はそういうとしまった。という表情を一瞬したのち、いつもどうりの女狐の余裕の表情にもどった。
それでこそ彼女らしい態度だ、と白銀は内心で安心をする。

「まず、俺は因果導体です、そして、この世界をかれこれ10回以上は繰り返しています」

「その証拠は?」

「・・・霞に聞けばわかるでしょう。」

すると霞をピンッと耳を伸ばし、夕呼先生をジーとみつめていた、恐らくプロジェクションをしているのだ、イメージを投影するほどの
能力は彼女にはないはずだが、記憶や言葉ならばその限りではないことを経験で覚えている。
そして伝え終わったのか、霞の耳がいつものように少し垂れた。

「なるほど・・・ね。で、何でその記憶を霞が持っているわけ?」

再び彼女がピンッと耳を伸ばす。

いつも思うのだがあれは一体何なのだろう、彼女の意思を反映して動く耳・・・恐らくは能力を高めるための装置なのでは・・・と俺は思う。

「・・・」

夕呼先生がすごい険しい表情をしている。
恐らく彼女でも難しい問題なのか、それか思い当たるふしがあるのか、どちらかだと思う。

「わかったわ、まず白銀、あんたが知ってる情報全部わたしなさい」

「嫌です」

いつもなら、直ぐ渡してしまうが、今回はそうはいかない。
そんな態度に、夕呼はイラついたようなそんな表情をする。

「あんたに拒否権があるとおもってるの?」

「先生も、俺の情報がなくてオルタネイティヴ4が完遂すると、本気でそう思ってるんですか?」

ここで全ての情報を話してしまうと、また、昔と同じように彼女に任せる形になってしまう、それだけは避けなければいけない。

夕呼は霞に見せられた記憶から、オルタネイティヴ4は白銀の情報なしに成功しないことをしっている、そして、その彼との会話は霞をはずして
おこなわれていたため、彼女の記憶では判断することができなかった。

「俺からは情報は時期が来たら次第に教えていきます、それ以外に協力できる面では、出来る限り手伝いたいとおもいます。」

「・・・貴方ほかになにができるの?」

「戦術機の操作と戦略は誰にもまけない自信があります。」

白銀はとても真剣な表情をしていた。
夕呼は冗談をいっているのかとおもい、思わず、笑いが漏れた

「あはは、・・・あんたみたいな青二才が?」

そう馬鹿にしても、白銀は表情をくずすことなく、夕呼を見つめていた。
その言葉が真剣だとわかると夕呼は笑いをやめた。

「・・いいわ、着替え室にある、予備の強化装備をきていいから、シミュレーターにきなさい。」

そういって彼女は立ち上がり、スタスタと部屋を出て行く。

白銀も立ち上がり、向かおうとすると、ぐいっと制服の袖を引っ張られた。

振り向いてみると霞が心配そうな表情でこちらをみている。

「大丈夫だって、ただのシミュレーターだろ?」

そういって彼女をなだめるものの、不安そうな表情は消えない。

「・・・俺が信頼できないか?」

そういうと彼女はフルフルと首を横にふり、袖から手を放した。

ありがとう、そういって、彼女の頭を撫でて、部屋から出ようとするととても小さな声であったが、頑張ってください・・と彼女
から激励を頂いた。

これは頑張るしかないな、と再び決意をあらたに白銀はシミュレーター室に向かっていった。


----Links

夕呼博士からは軍服と階級章と何かカードのようなものを渡され、一回基地にくるようにいわれている。
門を通るときは、質問こそされたものの、階級をみせただけで普通に通してもらえた。

そして今基地に入ったのだが・・・・

「さて・・どうしたものかな・・」

自分自身には記憶がないため、曲がり角でいちいちとまりながら、確認して進んでいく、本来はスタスタ歩かないと怪しまれるのだろうが、
階級のおかげか、いぶかしげな表情をするものはいたものの、とがめられることはなかった。

ある程度いくと、人気がなくなり気にせずゆっくりといくことができた、そして記憶の中では副司令の部屋らしいところにつく。
扉をもらったIDで空けようとすると、なぜか、ふと、となりの部屋が目についた。

呼ばれている、そんな気がする。

ふと気になって、副司令の部屋に通しかけた認証IDを戻し、導かれるように、隣の部屋の前についた。
そして認証IDを通そうとするとき、副司令の部屋の扉が開く。

「何を・・・しているのですか?」

銀の髪の少女、霞だ、彼は彼女を知らない。しかし、Linksは彼女を見て驚いたように、目をひらいた。

その姿は・・・自分が殺した、最愛の友人と同じだったからだ。
「何で君がここに・・・リリウム・ウォルコット・・・」

「リリウム?・・・」

霞はいぶかしげな表情をした後、急に頭を抱えはじめる。

「くぅ!・・・」

そして痛みに耐え切れないのかしゃがみこんでしまった。
Linksは不思議に思い、自分も座り込んでなだめる。

「大丈夫か・・・?」

差し出された手を彼女は振り払い、もだえながら床に頭をつけてイタイイタイと呟く。

「ああああああああああああああああああああああああああ!」

そして叫んだあと、彼女の痛がっている様子がとまり、先ほどのことがウソのようにスッと立ち上がる。

「・・人の心配するなんて、めずらしいですね?シロ?私を殺した男の台詞じゃありませんよ。」

「そう呼ぶのは君だけだ・・リリウム・・・いったいどういうことなんだ?君がなんでここにいる?」

そう霞のことを呼ぶと、Linksも、すっと立ち上がる。

するとふたたび霞が頭を軽くかかえた。

「どう・・やら、私の人格が半分この娘にうつってしまったようですね・・。私もいきなりでおどろいています。」

「君もこの世界に呼ばれてきたのか?」

「そ、・・ウ言うわけで・・は・・、うっ・・」

頭を抱えていた手の力が再び緩んだ。

「・・・」

そしてふたたび無表情でLinksを霞は見つめ始める。

「・・・・?」

「シロ、さんですね。」

「あ、ああ。」

この状況をLinksはまったく飲み込めていなかった。
当たり前だろう、自分の知人に似ている者が、別の世界にいて、さらに自分が知っている反応をした後、ふたたび知らない人という人にもどる。
対応できる人などいるだろうか。

「そう・・・ですか、私はリリウムさんと同存在なのですね。」

「どういうことだ・・・?」

「・・シロさんは副司令に呼ばれている・・・はずですね。」

急に思い出したようにLinksは苦虫をかんだ表情をする。
Linksは質問を続けようとするが、彼女がこれ以上話す気がないと悟り、あきらめる。

「あーそうだ、そこの部屋でいいんだな?」

「いいえ・・副司令はシミュレーター室です。」

「シミュレーター室?・・・ああ、なるほどね。」

彼は少し考えたのち、歩き始めた、そして、遠くになった頃にこちらに再び振り向く。

「この世界で君がなんなのか僕はしらない。名前を教えてくれないか?」

霞はLinksをジーと見つめたのち、口を開いた。

「社 霞 です。」

Linksは少し肩を落としたのち、すぐにもとにもどる。

「そう、か・・社、これから良く会うとおもう、よろしくたのむ。」

そういってLinksはその場をさっていった。



sirogane---

絶対にこれは手を抜けないシュミレーターになるだろう、俺の評価はこれで全部決まる。

強化装備を着込んだ後、シミュレーターに付くと既に先生がそこには待っていた。

「きたわね、貴方に挑戦してもらうのはヴォールグデーターよ、管制はピアティフがしてくれるわ。」

「よろしくお願いしますね。」

ピアティフ中尉がぺこりと挨拶をしてくる、手回しがいいようでここはすでに貸切のようだった。

さっそく白銀はシミュレーターに乗り、主機設定をしていく。

『ポジションはどういたしましょうか?』

機体装備は強襲前衛で十分だろう、そう判断してピアティフに伝える。

『強襲前衛ですね、わかりました。』

シミュレーターが起動する音が鳴り始めた。
目を閉じ、空けた次の瞬間、視界にはハイヴが写る。

「さて、がんばりますか。」




--

男・・・、シロはさっていきました。

彼が私と接触したことによって私と同存在だったリリウムさんの記憶が私に入ってきた・・・。

彼女の記憶が私の中で眠っているのを感じる。

そして彼女が彼に恋をしていたことも、わかる。

とても悲しみにあふれた彼女の記憶・・・


リリウムさんの記憶・・・
---

なにもない屋敷、貴族でも三女であり、権力もない私
Linksになったら変わるかもしれないかと思ったら、家の看板と逆に束縛される毎日。
自分が外出できるのは、王大人が訓練をしにきてくれる時と、カラードの集会だけ。

王大人だけが私の自由だった。

カラードの集会、自尊心が高い、傲慢な人たちの集会。

けど、その中でウィンDさんは私の話をちゃんと聞いてくれたいいお姉さん。
その集会で最近トップランカーと肩をならべた青年の歓迎会があるらしいことから私はドレスを着て出かけることになった。

そして、彼にあったのだ。

「か、会場はここでいいのか?」

「え、ええ」

場所に迷ったらしく、1時間ほどさがしていたらしい、しかたないので集会場所に案内をする

「ありがとう」

そういって彼は私の頭を撫でてくれた。

「みんな知らないやつばっかで心配だったけど、君みたいな子がいてくれて助かったよ。優しいんだね。」

思えばこんな風にだれかに撫でられ、褒められたのは初めてだった、そして撫でられる心地良い感じがとても好きになった。

「ふにゅー・・」

集会が終わったあと、彼は私を食事にさそってくれた
たまにはいいかな、と思って、家の規則を破って参加したけれど、行ってよかったと思えた、
彼は外のことをいろいろと話してくれて、帰道にあった花屋で私に百合を送ってくれたのだ、とてもうれしかった。

彼はリリウムという名前が百合ってことはしらなかったようだけど運命を感じる偶然だった。

それからというもの彼はひっそりと屋敷に忍び込んできたり、集会の後、どこかにつれてってくれたりしてくれた。
そんな彼に段々惹かれていったのが自分でもわかる。

けれど・・

『引いてはくれないか、リリウム・・・』

神は残酷だ、彼はORCAという反逆組織に所属して、私たちの敵に回ってしまった。

彼はクレイドル落とすのが目的であろう、衛星軌道掃射砲の護衛する立場として、そして私はその砲台の破壊する立場として戦場で相対した。
彼はとても悲しそうな雰囲気ではなしかけてくる。

「すいません、引くわけにはいかないのです。」

彼に罪を重ねさせたくない、思いはそれだけだった。

しかし、その戦闘は悲しいものだ。
彼もわざと銃弾をはずし、私も当てられるところではずす。
そして王大人が逃げたあとに追い詰められた私は逃げることもできただろうが、彼を、彼のぬくもりを忘れられず逃げることができない。

「なんで!なんで貴方という人は!?」

自然と涙がでてきた。
彼は銃を撃つ手をとめ、物静かに私を見つめる。

『・・・首輪つき、気持ちはわかるが、さっさと決着をつけろ。できないなら私がやるぞ。』

そういわれた彼は一瞬下を向いた後、こちらに視線を戻し、上空に向かって一発銃弾を撃った。
『・・・信念の元、僕は目的を達成する、それしか道がないから。』

あなたの信念はなんですか?・・・私にも教えてほしかった、貴方の信念。
話すことができないほど、私は信頼なかったのかな。

彼が本気になれば私は勝つことなどできないだろう、・・・15秒以内に私は負ける。

逃げなければならない、けれどそれはできない。
ならば、彼を止めなければならない、けれど私に撃つ事など・・・できなかった。

「すいません、王大人・・・リリウムはご信頼に背きました。」

自分の師匠に懺悔した後、私は彼に向かって威嚇射撃する。

彼の隣にいた、ネクストが反応して撃とうとしたが、彼はそれを視線で止める。
OBで私との距離をつめ、距離が縮まり、近距離になると両手の武器をパージ、収納されていたブレードが姿を現す。

それを見ても、私は動くことをしなかった。

『・・・ごめん、もっと別な形で会いたかった。』

それが最後に聞いた彼、シロからの言葉。
彼の言葉はすこし、涙混じりだった、それが彼の捨てきれない優しさなんだとおもう。


別の形で会えたら私は友達・・・恋人になれたかな?



---
霞は部屋にもどりながらずっとかんがえつづける。
「私は彼女にしてあげられることはないでしょうか・・・」


あとがき
意外と検索してみるとPVが伸びていたことに驚きました・・・ほかの人たちには及びませんが、5000PVがいいところだろうとおもっていたので・・・。

読んでくださってる方、ありがとうございます、感想は必ず返させていただきますので、感想を書いていただけるとうれしいです、それが私の動力源なのです。











[19427] 第三章 Misson シュミレーター ----Main,sirogane Links 修正
Name: once&Forever◆80cffd6a ID:138fbb10
Date: 2010/06/30 18:37
Linksがシミュレーターにつくと一つだけ稼動しているようで、白銀もシミュレーターにいるそうなので、恐らく彼だろう。
副司令は管制室にでもいるのだろうか。

そう思い、Linksは管制室に入っていく。


『悪いが正面から行かせてもらう、それしか能がないものでね。』

Linksが、管制室に入ったときに稼動中の衛士から聞えてきた第一声がそれだった。

社長!?・・・いや、白銀・・・!お前なんの電波を受信しているんだ!ノーマルでそれ死亡フラグでしょ!!

と、画面を彼が操る戦術機の映像をみながらつっこみを入れる。

・・・・この世界でその言葉が聞けるとはおもわなかった・・・さらにまさか白銀の口から・・・。
ある程度心が落ち着いたあと、画面をみつめ、とても困惑の表情を浮かべる夕呼に近寄る、金髪の女性・・・ピアティフか、
彼女は座りながら白銀のオペレーターをしているようだ。でかいヘッドセットをつけているから、こちらの声は聞えないだろう。

真横にたっても副司令が気が付かないのでなにがそんなに気になるのかと、視線を追って、彼女が見ている画面を見つめる。

うじゃうじゃと、戦車級、兵士級が張り付いている壁や床を、あるときは戦車級をナイフで串刺しながら足場にし、あるときはそのまま踏み潰してふたたび飛躍し、
この敵の多さではありえないほどのスピードで戦術機が進んでいく。

ときどきとんでもなくでかい芋虫・・・要塞級が姿をあらわすが、彼は気にせず、一気に近づく。
要塞級からは触手の応戦があるが、その要塞級が放った触手が彼を避けていると感じるように、その戦術機はぎりぎりで避けて進み、あたることなどなかった。

そして要塞級の頭の上についたとおもうとブーストでその機体を一回転させ、その遠心力を利用し、要塞級の頭を真っ二つにする。
そしてまだ要塞級が残っている場合はそのあと長刀をしまって120mm砲弾、APCBCHE弾で一撃で頭に当てしとめる。

しとめ終り、着地する直前に、微弱に地面に向かってブーストし、落下の衝撃を弱めつつ、36mmチェーンガンを一発も無駄にせず、一撃一殺で足場の小型級をしとめる。

・・・コレ本当に戦術機?

機体を見てみると、機体は不知火のようだ、速度も400kmとあまり旧世代のネクストと変わらない、しかし、QB、PAなし、そして紙装甲。
さらには、扱いにくそうに決まった動きしかできないようだが、それをこいつは自分の手足のようにあつかっている。

武装はやはりどうみてもSMGで火力は薄そうだが、そこらへんは彼も承知しているようで、的確に弱点を突いて殺している。
技術もまさることながら、武器の切り替えの早さが異常である、74式近接戦闘長刀はマウントしてから手元に落とされるようだが、お世辞にも戦場では早いといえるほどの切り替えは通常できないようだ。
そこを、彼は、マウントが一段階あがったところで、長刀をパージ、跳ね上がった慣性の法則で長刀が前面に飛んできたところを手で掴み武器を切り替える。

でもあんな乱暴なことして、サポートシステムが拒否しないのか?と思い、設定をみてみると、システムを切っており、レーザー放射回避行動などすべて自分で行わなければならないようだ。

ここはレイヴン、アナトリアの傭兵が教えてくれた、あの台詞をいえるんじゃないか?

「なるほど、よい戦士だ。」

まあ、ノーマル乗りレイブンの基準から言えばいい戦士なんだろうけど、システムのせいか、彼の本来の動きが死んでるようにみえるんだよね、
そして技術もまだ発展途上、間違ってはいないが、武器選択時や、進行進路、攻撃目標にベストといえる選択をしないときがある、そして動きにもまだ少し無駄があるかな。

けど、もしかしすると、こいつ、僕以上に化けるかもな。
Linksの世界で自分の技術を磨いていた僕は、自慢じゃないけど、あの世界に敵などいなかった。
あのレイヴンには本気だされたら、最後まで勝てるかどうか微妙だったけどね。


「!、あんたいつからそこにいるのよ!」

いまごろ副司令は気がついたようだ。
驚いている彼女を、まぁまぁ御気になさらず、と手でなだめる。

彼女もふぅ・・と深いため息を付いた後、雰囲気が変わったように真剣な表情でこちらをみてくる。

「あんた、こいつどう思う?」

さっき私的にはこの流れを読んですごいユーモアあふれた名言を言ったつもりなのに・・聞いてなかったか・・・。ならば・・・。

「なるほど、衛士だ。」

・・・ほんとうは銀翁のLinksだ、ってやつをそのままいいたかったんだけど、それだとこの副司令、Linksがわからないからなあ・・。

ユーモアを含めていったつもりのLinksだが、そんなこと、夕呼に伝わるはずもなく、夕呼は彼が認めるほどの衛士か・・と真剣に白銀を評価していた。

「・・・気になってたんだけど、あんた、別世界から来たのに、なんでこっちの世界の言葉しってるの?」

「記憶をもらったんだ。」

夕呼はいぶかしげな表情をする。

「・・それ、どういうこと?」

「・・・何というか、」

Linksはあまり自分も原因はわかっていないため、ネクストの技術等にさしあたりがない程度にごまかし、夕呼に説明をする。

「・・・・」

夕呼は深く考えて、ある程度結論に行き着いたような雰囲気を出し始めたが、まだ確信はないのか、それ以上口を開くことはなかった。

副司令も再び、白銀のシュミレーターの画面に視線を戻したので、Linksも追うようにして、戻す。
そしてあることに気が付いた。

「白銀は・・・・技術は高いようだが、恐らく、小隊など、他人とエレメントを組むと実力の半分も出せないはずだ。彼の動きは個人で完成しかけている。
仲間を求める動きじゃあ・・・ない。」

そう、最初にみたときにLinksが気が付かなかったのは理由がある、その個人での戦い方が自分の世界で当たり前の戦い方だったからだ。

しかし、この世界の知識と戦い方を彼の動きをみつつ、関連付けていくと、彼の動きはこの世界では異端だということがわかったのだ。

「おそらく、彼は仲間に合わせて動けるが、それだと仲間が彼の足手まといにしかならないだろう。私も経験があるが、
実力がない僚機はとても邪魔だ、その僚機を守るために自分が無茶なうごきをして被弾しなければならない場面も出てきてしまう。」

「なるほど・・・ね。」

口を挟まず、真剣に話を聞いていたことから、副司令は恐らく、俺自身のことなど微塵も信頼に置いていないが、戦闘能力や、その分野では全幅の信用をしているのではないだろうか。

彼は今中層、そろそろ弾が尽きそうだな、このシュミレーターの状況設定を見てみる。

ヴォールグデーターLv 10 最大難易度。


知識の関連付けが終り、再び、この世界の通常の衛士と彼のLvの違いが明らかになった。
最大難易度といえば、でてくるBETAや、戦略、そして、要塞級の多さなどなど、はオリジナルハイヴよりは程遠く難易度が低いものの、
一般的に小隊で一層突破すら不可能な難易度だったはずである。


そして彼は銃がつきたあとも、長刀やナイフで応戦し、そして全武装が駄目になったとしても、機体が動く限り進み続けた。
中層からすこし降りたところで、彼の機体の跳躍エンジンに異常が発生、出力が半分程度しか出なくなった、彼の無理な機動での使用が原因だろう。

そしてそれでも進もうとする彼が着地したとき、機体膝関節部が真っ赤になり、身動きがあまりとれなくなったところで要塞級の触手に捕らえられてKIA(Killed in action)
と表示された。

それを見ていたピアティフはこんなことあるの?という表情でリプレイ映像をみていたが、夕呼副司令はさっそうと管制室から出て行く。

僕もようがあるのは副司令なので呆然としているピアティフ中尉を放置し、管制室を後にした。

外に出るとちょうど白銀もシミュレーターから出てくるところのようで、いつもなら反応炉に行けるのに・・・腕なまったかなあ・・・
などとつぶやいていた。

「白銀・・、あんたって本当に人間なの?」

それを聞いていた夕呼副司令はあきれた口調で自然と口にそうでてしまっていたようだが、顔は希望をみたように嬉々としていることが見て取れる。

そんなに彼がすごいのか?とLinks自身はそうおもってしまう、彼自身、ネクストを大破させてしまい、前世代のACでスミカに出撃させられたものの、今の彼以上にはそのころでも扱えた。
しかし、頭の中に関連づけられる彼女からの記憶によると彼の強さはこの世界では人外魔境の領域らしい。

「いえ、それくらできないとみんなを守ることなんて夢のまた夢でしたから。まあ・・これでも足りないんですけどね・・・って・・・貴方は!?」

そうして、副司令に視線を移した白銀は、隣にLinksがいることにきがついた。

「まあ、なんだ、見せてもらったぞ。」

「・・・Linksさんには聞きたいことが沢山あるのですがよろしいでしょうか?」

「断る。」

説明ほどめんどくさいことはない、それに彼に質問を許すと一時間以上説明についやしそうなので絶対にいやである。

「あら・・・あんた達・・・知り合いってわけでもないのね?」

夕呼副司令が意外そうな顔でこちらを見てくる。

これはどうしても説明しなければならない雰囲気のようだ・・・
夕呼博士は飲み込みが人並み以上にはやいため、説明が苦にはならないのだが、白銀は・・会ったときの様子からすると説明だけで疲れそうだ・・・。
しかし、前の約束もある。
そして、夕呼博士に説明をするということは白銀にも詳しく事情を話さなければ成らないだろう。
仕方ない・・・


「私は彼とは違う世界からきました、世界に来た経緯については白銀にも説明しなければならないので再び説明させていただきます。」

そしてめんどくさい説明を10分ほどする。
想像したとおり、白銀は疑問が浮かぶと直ぐ質問をするため、説明に疲れた。

夕呼先生は先ほど聞いた話が多かったため、ふ~んと軽い感じで聞いていたが、白銀はよほど疑問なのか険しい表情をしていた。

もちろん、純夏が何を思い、ここの世界に僕を引き込んだかなどはしっているが話してはいない、それは僕から語るべきことではなく、
彼女の胸のうちにひっそりとあるべき感情なのだ。

「へえ・・・白銀を観察しにあんた来たのね~。」

「まあ、目的はそれですが、あとは少し力を貸しに来たという感じですかね。」

白銀の表情を見てみると、こちらの実力を疑うような表情がみえる。
彼のその傲慢さ、まあ、こんな平均的に操作のLvが低いところでは仕方ないのだろけども、自分が一番強いなどという、気持ちはここで捨ててもらおうか。

「白銀・・・僕の実力を疑っているようだね、よし、シュミレーターでエレメントを組んで再びさっきのヴォールグデーターとやらに挑戦しようか?」

白銀は疑うような表情をしたが、自分は構わないというふうにうなずいた、僕は副司令の方を向いて許可を求める。

「副司令、よろしいでしょうか?」

「まあ、あんた達の待遇の説明はこの後でもいいから私は構わないけど、・・・あんた戦術機乗れるの?」

「記憶にあるので大丈夫だと思います。」

関連付けられてくる記憶には戦術機の扱い方もある、おそらく、大丈夫だろう。
まあ、もしわからなかったとしても、旧世代ノーマルACに乗った時はいきなりスミカに操作も教わらず、戦場にほっておかれた経験がある。
その時とおなじく、操作方法を扱って覚えればいいのだ。

「そう・・・じゃあ、私はまた管制室にいくから準備できたら乗って頂戴ね?・・あ、そうそう、服は強化装備に着替えないと乗れないわよ?」

そう小言をいったのち、なぜかスキップしてるような軽い足取りで管制室にはいっていく。

「僕が進路を開こう。後ろからの支援を頼むよ?」

エレメントでふたりならぶのではなく、ついてこいということは相手を下に見ている言い方だ、僕はわざとそういって彼の自尊心を駆り立てた。
これで少しは付いてきてくれるとおもうな。

強化装備は何処にあるのだろう・・・・ああ、そこね。


僕はまだ記憶の関連付けが現在進行形で終わってはいない。
不便ではあるが、そのうち終わるだろう。

僕が着替えてもどると既に準備は出来ているという顔で白銀はシミュレーターの前に立っていた。

「じゃあ、よろしく頼むよ」

白銀に一言挨拶し、彼が立っていた隣のシミュレーターに入る。

「こちらこそ、よろしく」

白銀も無愛想な声で返してくるとシミュレーターに入った。
中に入ったところで、猛スピードで扱い方などの記憶の関連付けが進んでいく。
そしてシミュレーターを機動すると、夕呼先生の顔が網膜に映った。

『どっちが部隊長するの?』

「僕でお願いします。」

夕呼副司令は疑った表情をした後、まあ、妥当かという感じに納得をした。

『ふーん、でポジションは?』

ポジション・・・

「両方強襲前衛で。」

夕呼副司令は少し驚いた表情をしたのち、わかったわ、と相槌をうった。

『じゃあ管制はピアティフに任せるわ、せいぜい頑張りなさいよ、Links。』

起動音が聞える、Linksは目を閉じ、心を落ち着かせて神経を研ぎ澄ませた。
これは自分への依頼だ、このハイヴは落とさなければ成らない。

そう自分の依頼を確認し、戦場での自分を呼び覚ます。

依頼を達成できないものはLinksでは・・・ない。

野生が目覚めたのを感じ、Linksは静かに目を開ける。
その時、暗いシミュレーターの中には、不気味に赤く目がひかる、一匹の野獣の姿があった。


-----

「なにこれ・・・ふざけてるの?・・・」

ピアティフからそうぼそっと声が漏れた、落胆の声ではない、驚きすぎて言葉が見つからないのだ。

目の前には自分が管制している2機の機体の姿があった。
前を走る一機は長刀を片手に、滑らかにすべるようにして小型級を踏みながらすすんでいく、彼に群がろうとする戦車級や兵士級などの手と
手の間をするすると避け、かすることすらない、そして中層に付こうとする現在、かれは弾を120mm弾一発しか消費していなかった。
Linksにとって、下の小型級は衝撃を緩めるための絨毯にしかすぎないようだった。むやみに殺すことをしない。

それを手を伸ばしてくるBETAをナイフなどの武器で串刺し、足場を確保しながら白銀が必死に距離をたもっていた。
白銀の残り燃料が60%ほど、そしてLinKsはなんと80%、機体の扱い方でここまで違うのか、とピアティフはただただ唖然とするだけだった。

Linksはどうしても避けきれないものは引くようにして対象を切り落としていく。
普通の戦術機の刀の扱い方がたたき切るだとしたら、彼の場合、スーと引きながら切り、豆腐をきるように簡単に切るのだ。
そのため、彼の刀は何百匹もBETAを切り裂いたものの破損はイエローにとどまっている。

焼ききるタイプではないブレードはACではなかなかといってないが、このように切れるタイプの刀は幼少の時、スミカに嫌というほど扱わされた、自分の体で出来ない動きが、機体でできるはずはない!と・・・。

だからってあの頃は刀はないだろ・・っておもっていたけれど、意外と今回はその知識がとても役に立っている。


『どうした!?白銀、もうついてこれないのか?』

時々彼がそうやって白銀を挑発すると答えたように白銀は距離を縮めてくる。
そうしなければ後ろのBETAの波に飲まれてしまうだろう。


Linksはまったくといっていいほど、BETAを相手にせず、進んできたため、後ろからはまるで赤い津波が押し寄せてくるような何万のBETAがおってきている。
もう少しで中層の広間というところでLinksは速度を急激に上げた。
噴射跳躍システムを全開にして、BETAたちをのすれすれをとおり、最高速度で進んでいく。

『白銀!!ついてこい!死にたいのか!?』

そしてLinksは手の長刀をマウントに戻し、S-11を手に所持する。

「・・・彼は何をする気?」

夕呼は不思議そうにその光景を眺める。

Linksがさきに円状にできたとても大きいドーム状の広場につきいったん180度ぐるっと回転をし、進路とは逆側にブーストを吹かして、機体を浮かせたままにする。
白銀が噴射跳躍システムを全開でいそいで広場にはいってくるかはいってこないかのところで、S-11を広間の入り口に投げた、そして、87式突撃砲
を手にもつと、S-11を36mmチェーンガンで撃ったのである。

ドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン

『白銀!とまるな!そのままの速度でここを抜けるぞ!』

そういいながら彼は追いついてきた白銀とともに、噴射跳躍システムを全開にして広間を抜けていく。
そして通路にあった横道にはいると2機とも速度を少しずつ落とす、そして先ほどの速度とかわらない速度にもどる。

広間のBETAも、そして、さきほどの通路にいたBETAもS-11の爆発により、あるものは焼き殺され、あるものは瓦礫につぶれた。

『無茶をするんだな・・・01』

『こちらのS-11はなくなった、白銀、お前のが頼りだぞ。』

白銀はLinksのことをコードネームで呼ぶが、Linksはそういうことに基本なれていないため、名前で呼ぶ形になっている。
その後Linksはデーターリンクで白銀機の状態を確認すると、舌打ちをしてすこし速度をはやめる。

『・・・燃料の使いすぎだ、速度を上げるぞ』

Linksは後ろの白銀をおもってか、突撃砲や、長刀をくしし、後ろの機体足場を作ったり、無視していた、要塞級などを、通り過ぎざまに、
首を落として倒していったりと、神業のようなことをし始める。

そのおかげもあって、白銀は楽に、Linksについていくことができた。

そして下層にはいり、この下が反応炉というところで、広間にはいり、目の前には数万というBETAがところせましとならぶ。

後ろからも同量以上のBETAが押し寄せていた。


Linksはすでに長刀を一本折っており、短刀はもうない、そして120mmの弾倉がのこり1、36mmが2と結構な数がのこっている。

一方白銀は長刀が二本 短剣なし 120mmなし の 36mmが1だ 前衛をいくLinksよりも弾の消費がはげしい。

『白銀ぇ!突破するぞ!付いて来い!!』

そういって120mmのCANISTER弾を前方に二発撒いたのち、噴射跳躍ユニットを全開にする。
彼は撒かなくても避けられる自信があったが、白銀のためだ。
そして横を要塞級のぎりぎりあたるかあたらないかの隙間をとおり、できるだけ、来やすいように要塞級を切り倒していく。

これで十分だろう、と目の前の通路にぬけて、後ろのカメラを確認すると、白銀が一匹の触手に当たりそうになっているところだった。

---彼がいなければ任務は達成できない。

『ウオォオオオオオオオ』

無理にLinksは機体を回転させ白銀の元に向かっていく、そして触手を長刀を投げつけて切り落とす.

『Links?!!』

しかしそれだけでは白銀は逃げられそうにない。
そのままLinksはつっこんでいき、白銀機の上から降り注いであたろうとしていた兵士級を36mmでミンチにする、そして彼に迫り来る触手を床に刺さった長刀を通り過ぎざまに抜き、
切り落とす。そこで広間に後ろからせまっていたBETAたちの群がついた。

Linksは判断した、自分はすでに詰んだと。

『白銀!かまうな!反応炉を破壊するんだ!』

そう白銀にいうと、白銀はとまらず、反応炉に向かっていった。

だーから自分と腕の下のやつとエレメント組むと余計なことになるのよね、と内心つぶやきつつ刀が折れ、銃が尽きようともLinksは踏ん張り、白銀が楽に仕事をできるように時間稼ぎをするが、
さきほどの無理な起動でブースターがイかれ、要撃級の前足で胸を突かれKIAとなった。

しかし、白銀が反応炉を破壊し、Linksの目的は達成された。


シュミレーターが終り、Linksと白銀がそとに出ると白銀はとても罰の悪そうな顔をしていた。

「今後の英雄がそんな顔してたら、先がおもいやられるぞ?」

そういって白銀の肩をたたく、まあ、僕はこうやって肩をならべて戦うって言うのも・・・嫌いじゃない。

「俺が足手まといになって・・・本当にすまない!」

そういって白銀は頭を深くさげてきた。
その頭をLinksはわしゃわしゃと撫でる。

「上出来上出来!まあ、すこし、つめが甘かったかもしれないけどにゃ!」

Linksは顔をあげた白銀にそう、おどけた表情をした。

依頼、彼の目標を達成できなかったなら、彼は白銀を許すことはなかっただろう。
しかしながら彼の目標自体は達成されていたので、Linksの顔は晴れ渡っていた。

彼にとって自分の命よりも目標を倒すことが先決なのである、それがLinksであり、首輪付きであれる理由だから。

「・・・・あんたたちにはあきれたわ。」

そういいつつも目の前では笑顔を見せる、副司令の姿があった。

Linksは彼女の下に歩み寄り、報告をした。

「目標は達成した。」

2機のエレメントのみでヴォールグデーターをクリアしてしまうなど、前代未聞のことであり、それが最高難易度であったならなおさらだ。

夕呼はこのふたりに希望が見えてきた気がした。

「よろしい、話は私の部屋で行うわ、着替えた後、きなさい。」

「「了解」」

二人そろって答えた。
戦場・・シミュレーターとはいえ不思議である、ともに肩を一度でも並べたものには深い友情ができてしまうのだから。

副司令は早々とさっていってしまったが、Linksと白銀はふざけあいながらシミュレーターを後にした。


「正面から行かせてもらう(キリッ」

「ちょ!Links!なんでそれを!」

「シミュレーターみてたっていっただろ?」

「外部にはもらさないでくれええええ」

「これ(金)による」

「うがあああ!きたねえ!戦友だろ!」

「シュミレーターだろ?」

「くそぉ!」

・・・・・


-----

彼らは一体なんなのだろうか。

人気がさったあともピアティフは映像をみていた。
そしてLinksが白銀を助けた部分が再び再生されている。

こんなにも強いのに・・・仲間を大切にする・・優しい人なのね。

ここにひとり、Linksに少しながら恋心を抱いてしまう、女性がいたのだった。


あとがき。

感想聞いてすこししょんぼりしたヨ・・ジョニー・・・(誰や

しかしまだ私のVOBが尽きることはないのです、超高速で描いていきます。
そのため、誤字、脱字、おかしい表現等があるかも知れません・・、自分でも何度も見直しますが、ご指摘をいただけますとうれしゅうございます。



[19427] 第四章 Colored ---Main,Links sirogane修正ー6/30
Name: once&Forever◆80cffd6a ID:138fbb10
Date: 2010/06/30 20:22
Linksとともに白銀は副司令の部屋に再び向かっていく、俺にこの人をいつか超えることはできるのだろうか?
という畏敬の念と、先ほどのあきらかに足手まといになってしまったシミュレーターでの自分への苛立ちが白銀の心に渦巻いていた。

自分の実力に満足してしまっていたことが恥ずかしい。


着替え終り通路を歩いてからおふざけはやめ、スタスタという早い足取りで歩いていく。

Linksは既に慣れた足取りで部屋にむかっていた。

白銀は部屋から、シミュレーターに来るまで、夕呼先生のIDでとおってきたため、問題はなかったが、まだIDをもらってはいないため、Linksについていかなければならない。

そして部屋の前につくと認証のところにIDをかざしながら、Linksは後ろの白銀に振り向き不気味に笑う。

「これで、貸し2ね?」

そういった後、彼はIDを通し、中にはいっていく。

「うがー・・」

彼には先ほどからずっとからかわれている気がする。こちらが頭が上がらないのもあるかもしれないが。
彼は疑っていたことを恥じている俺を慰めるように、空気を壊してくれ、そして、気取ることなく、友人感覚で接してくれる。

とてもありがたかった。

「・・ありがとう。」

Linksはその言葉がしっかりと聞えていたようで、恥ずかしいのか振り向くことはなかったが、問題ないという風に、軽くこちらに向かって手を横に振って返してきた。

そんなLinksの背中がかっこよく、その時畏敬が尊敬に変わったのである。


「Links、白銀、ただいま参りました!」

彼がそう告げたあっとに敬礼をする、それにあわせて白銀も敬礼をした。

「・・・あんたもなんでそんなにかたッ苦しいのよ・・・、まあいいわ、座って頂戴。」

そういわれた、Linksと白銀は彼女の前にあった椅子に腰をおろした。

「まず、あんた達の階級からね。」

「白銀、あんたは少佐よ。」

「はい、って・・はいぃ?」

白銀はそうきいて目をまんまるくしてしまう、少佐・・!?中尉とかじゃなく!?という具合で。
佐官になるためには、たしか、少佐が副司令か、司令が認めるべき成果があるとき、中佐が両司令官の同意、大佐の場合、もっと上の同意が必要なはずである。

そのほかにも特例は様々あるのだが・・・・、ああそうか、目の前の先生一応副司令だったよなあ・・などと現実が受け止められず考えていた。
自分が少佐なら彼も少佐だろう。

「これは、この基地内のほかの権力者に引き抜かれたりしないための処置よ、あんたも情報を生かして動いてもらわないと困るしね。
それに、情報を私に教えに来るとき、階級が低くてこれませんでした、じゃすまないでしょう?」

Linksはなるほど・・・ね、といった納得をした顔する。

「Links、あんたは大尉として動いてもらうわ。」

「中尉でなくていいのか?」

「ばかね、それじゃ私の部下に指示ができなくなっちゃうじゃない」

ちょ、ちょっとまて、彼が大尉?

「なぜ彼が大尉で俺が少佐なんです!?」

Linksと彼女はそれについては理解をしており、二人の世界で話していた。
夕呼は深いため息をつき、子供に説明するようにわかりやすく説明をはじめる。

「いい?佐官にもなれば私の手足のように動かすことができないの、けど彼は戦闘を主にしてもらわなければならない。
佐官にしてしまえば、戦闘があれば前線に、というわけにはいかないのよ。司令室に顔を出して、しかる手続きをして、中隊規模以上、連隊以下を指示しなきゃいけないの。大尉と少佐じゃ、軍曹と大尉以上に差があると思いなさい。
けれど彼には色々な前線に出てもらわなきゃいけない。なのに佐官じゃ意味がないでしょう?」

Linksも苦笑して同意する。

「わかったか?」

「はい、・・わざわざ説明ありがとうございます。」

白銀は深く頭をさげた。

夕呼は気にしないわ、と態度でしめす。

「白銀、あんたは資料などこちらで手回ししないといけないから、とりあえず、これ以上は保留ね、聞きたいことがあるから少し残って頂戴。」

聞きたい事とはなんだろう、と考えつつ、はい、と返事をする。

「Linksあんたには早速飛んでもらうわ。」

「・・・いまから、か?」

そんなわけないでしょ・・・と彼女は苦笑をする。

「あんたがこの世界で最強っていうなら、あんたが率いる部隊も最強の部隊を作ってもらわなきゃ、困るじゃない?
 じゃないとあんたも足手まといが増えるとかっていいそうだからね。」

言いたいことがだいたいわかってしまった、だからこそ、Linksは体中に冷や汗をかく。
その彼の様子をみて、夕呼は子供のように嬉々とした表情で満足気にかれを勢い良く指差す。

「あんたに作ってもらおうじゃない!最強の部隊を!」

「・・・一応、任務ですよねー?」

夕呼はそうよぉー♪と楽しそうにうなずく。

そう聞いたLinksはふぅ・・と深いためいきをついたのち、雰囲気を一変させ、立ち上がり敬礼をする。

「了解しました、任務は果たさせてもらいます。」

報酬は高くつくけどな・・・と小声で細くをいれる、それが聞えた様子の夕呼は胸をはってたたいた。

「どーんときなさい!、最強の部隊が手に入るなら、なんだってOKよ~♪あ、そうそう、私の部下からも引き抜いてもいいわよ。」

そういって彼女は資料を渡してくる、これは・・・いままでの中で一番大変な依頼かもしれない。

「了解しました。」

その資料を受け取りつつ、もうすでに彼の心で最強といわれて一人目のメンバーは決まっている。

「「まあ、まず一人目は白銀  ですよね」 だわよね」

すでに夕呼もそれは決定事項なのか、Linksの言葉と重なる。
彼女もそう思っているなら、この提案もしやすいかもな・・・

「副司令も同じ考えなら、彼を部隊長でよろしいでしょうか?」

夕呼はどういうこと?と眉をひそめる。

「・・・理由は?」

「そちらのほうが面倒ごとは全て彼に回せるのと、私は``副司令直属の少佐の部隊``ということで人選も楽になります。」

夕呼はそれを聞いて不適に笑う。

「やっぱりあんたに任せて正解だわ・・、部隊人選、管制・・・全てあんたに任せるわ、そのかわり・・」

そこでいったん言葉を切り、夕呼はいつもみせないような真剣な表情をする、それは、犬にいう、主人の顔とも似ていた。

「人選が変わったり、追加したり、引き抜こうとしたときなど、全て私に報告しなさい、訓練、シュミレーター、全部よ。」

さすがに馬鹿みたいに全部まかせるわけじゃないんだな、とLinksは彼女の評価を再び高くし、また味方についている以上安心もした。

「了解です、ほれ、白銀、部隊長なんだから名前を決めてくれ、じゃないと俺も動けない!」

二人の高レベルな会話に白銀はすでに自動的に思慮を停止しており、名前をよばれたかれは、え・・!俺!?と素っ頓狂なことを言ってのけた。

そして、彼に事の次第をふたたび夕呼副司令が説明をする。

なんていうか、子守をしている保母を見ている気分というやつが一番しっくり来ると思う。

「んー・・・思い浮かばない、Links、なんか良い案ないか?」

Linksは深く考えはじめる。
最強の部隊なのだ、最強とわかる名前にしたい。
まずでたのが、ウロボロス、しかしそれでは確実に世界を救おうという名前じゃあ・・・ない。

フェニックス・・・私はなんどでも蘇るさ!!、・・・却下。

七夜(セブンナイト)・・・斬刑に処す(笑 ・・・なんかいろいろとスマン。

SOSだ・・・・言わせねえよ!?

そうだな、夕呼の首輪をされて、動くというなら僕には一つしか本当は浮かんでいない。
まあ、上のは心のおふざけという奴だ・・・って誰に説明してるんだろう。


「Collared(首輪)、が僕にはしっくりとくるな。」

白銀はその名前を聞き、自分の無い脳みそを絞って知識を出す。

Colorカラー・・確か色ってことだよな?様々な人種、正確、性別が混ざって・・色ってことか?

とあながち、間違いでもなくしかし、とんでもなく答えからかけ離れたことを自分の頭で納得させた。

「Colored(カラー、色)・・・俺もそれでいいとおもう。」

決まったところでパンッと夕呼は手をたたく。

「決まったようね、じゃ、報告はここに・・・まずはアンタの部屋に案内させるわ。」

Linksは紙切れを渡される。どうやら、PCのメールアドレスのようだった。
後でネクストに登録しておくか・・・。
そう、アブマーシュたんのお遊び心であの機体にはメール機能なんていうのもついている。この世界に対応しているかなんてしらないが。


そして、夕呼が無線でどこかに連絡をいれはじめる、無線を置いた時、Linksは思い出したような顔をする。

「あの町に僕のガレージがあるんです、寝泊りはそこでしたいのですが・・・」

「・・・それは無理ね、けれど、そのガレージの場所さえ教えてくれれば立ち入り禁止区域にしておくわ。」

ガレージの場所は教えずとも、近場なのでそのうちばれてしまうため別段と構わなかったが、ひとつ忠告をいれておく。

「・・・ここになりますね、もしやとは思いますが、ガレージの物に触ったり、取ろうとしてしまったときは自立防衛システムが起動するので気をつけてください。」

「・・・忠告ありがとう。」

夕呼は彼にたいし、先ほどのシミュレーターなどから評価を変え、少々はLinks自身を信用したのだが、Linksからの信頼は全く無いとわかると、
魔女とはいえ、少し落ち込んだが、まあ、当たり前か、と気持ちを切り替える。

「失礼いたします、ピアティフ、ただいま参りました。」

そこに、とてもちょうど良いタイミングで迎えであるピアティフ中尉が部屋にはいってきた。

「ピアティフ、Links・・・彼を案内して頂戴。」

ピアティフは了解しました、と敬礼をすると、その場でLinksを待つ。

Linksはピアティフ中尉の下まで歩いていくと、どうぞこちらです、と彼女が案内をはじめる。

そして、部屋には白銀と夕呼の二人だけとなった。

「さて、白銀、ここ、一週間以内に起こる異常については・・・おしえてくれるわよね?」

さすがにそうでないと困るといった様子で夕呼が白銀に圧力をかける。

「・・・はい。」

白銀も了承をし、説明をはじめる・・・

BETA上陸、新潟防衛線のことを。


11.11:BETA新潟上陸。



「・・・なるほど・・・ね。その情報の信用度はあるのかしら?」

「初めての情報で信頼度は無いと思います・・ですからー」

間をおくと彼は自信に充ちた表情でつげる。

「ですから-・・俺とLinksで出撃、というのはどうです?」

魔女はその提案を不敵に笑いながら了承をした。




Linksは部屋にはいって、読めと書かれていた書類に目を全て通したあと、自分のハンガーにいったいんもどっていた。

「ニーナ、すこし、ここを空けることになる。大丈夫、毎日来るから・・・」

どの戦場でも彼女と一緒に戦えたらどんなに心が安らぐだろう、しかし、彼女に助けを借りるときは、自分の力じゃどうしようも成らないときと
自分できめている。
彼女は・・・動かせば動かすほど、中の物が人ではなくなってしまうからだ・・・

どうたとえればいいだろうか、そう、たとえるならこの鉄巨人、PTNXの脳は心臓にあり、いうなればこのPTNX自体が生命体なのだ。
しかし、人間の脳は、人間の体にしか基本対応しない、異物に入れられたところで、機能せず、生体が崩壊してしまう。

しかし・・・どんなむごいことをされたらこうなってしまうのだろうか、彼女は、この鉄巨人の体で脳が適応化されはじめている。
起動しすぎると、彼女はしゃべらない、自立ネクストと同じになってしまうのだ。

本当は戦闘以外の目的でも起動してしゃべりたい。けど、それが適うことはないだろう。

起動するたび、僕は涙がとまらず、彼女に頭をさげてしまう。
そんな僕を毎回彼女は慰めてくれる。

機体の胸、脳がある場所にキスをして、整備用の足場、鉄網から、はしごをつたって下に下りる。

手にはハンガーからもっていく、日用品が入ったバッグがぶら下がっている。

『いってらっしゃい。』

ハンガーの扉からそとにでる時、たしかに、そう聞えた気がした。
幻聴だろうが、Linksは振り返り、大声で叫ぶ。

「いってきます!!」


外に出ると、ここまで付いてきてくれたピアティフ中尉がいた。

「もう、よろしいので?」

彼女は色々聞いていたはずだが、流石副司令の秘書というところだろう、なにも言及してくることはなかった。

「ああ。」

そういって助手席に座ると、彼女はハンカチを取り出してLinksの顔を拭き始めた。

「泣いてらっしゃいますよ、綺麗な顔なんですから。」

「・・・すまない。」

はたから見れば、機械にキスをしたりしているような変態にしかみえないだろうLinksを彼女は優しく慰めた。
一通り拭き終わると彼女は微笑んで車を横浜基地に向かわせた・・。

車を走らせながら横目で、Linksを見るピアティフは先ほどのことを思い出す。
彼が挨拶をしていたあの機体、きっとあれは誰か大切な人の機体なのだろう、おそらくもう会えない誰かの。

すこし彼の過去を知れたのがうれしく、そして、彼が悲しい表情をするのが嫌なピアティフであった。









その日の夜の事。




Linksがある程度あしたの予定を決め、さあ寝るか、とPCで報告書をうった後に背伸びをしたときのことだった。

コンコン コンコン

すでに軍の通常の就寝時間は過ぎている、こんな夜分に誰だ?

「どうぞー?」

そういうとドアがシューと開いた。
そこにいたのはリリウム・・いや、彼女に似た少女、霞だった。

「霞じゃないか、どうしたんだ?こんな時間に。」

LinksがPC前の椅子にすわりつつ、くるっと椅子を回転させ、入り口の方を向く。
霞はなにもいわず中に入ると、後ろの扉がシューとスライドして閉まる。

・・・?

「馬鹿ね、私よ、シロ」

二人きりの時にシロと呼ぶ人物、そして、この口調。

「リリウム・・・?」

そうLinksが呼ぶとリリウム?は駆け寄ってきて、Linksを抱きしめる。
そして、胸板にほほを摺り寄せながら、彼女は安堵のため息をついた。

「・・・夢じゃ・・・無いのよね。また会えたんだよね。」

彼女に会えたことがLinksは素直にうれしいが、疑問がどうしても残る。

「・・・霞はどうしたんだ?」

リリウムは顔を上に向け、胸板にうずくまっている彼女を見ている僕ととても近い距離で向かい合うことになる。

「眠っているわ。・・・私の中で、主に昼間、彼女が意識があるときは私はでてこれないみたい。私が彼女のからだに居候してる感じかな。」

リリウムの顔はとても満たされた表情をして、目がうっとりとしていた。
Linksは正直、男としてはドキッとしてしまうものの、それは性欲とかではなく、とにかく、彼女が愛しい、・・・たとえるなら最愛の妹に会った気分だろうか。

普段にはないとても優しい表情でLinksは彼女の髪を右手ですいていく。
そして左手は、彼女の頭を優しく撫でた。

「ん・・・んぅん」

とても幸せそうに彼女はそれを受けている。

「おかえり、リリウム」

LinksはORCAで彼女を殺した後の世界でリリウムとは全く関わらなかった、それは彼女であって彼女ではないことが頭の中でわかっていたためである。
そして、いまさら殺した自分が彼女に会うべきでもないという感情もあった。

「ただいまぁあ・・・」

挨拶したあと、リリウムはLinksの唇にキスをした、深くはなく、浅いフレンドキスだが。
それでも、お嬢様であったリリウムにはとても勇気のいることだった。

そしてLinksも微笑みながらおでこにキスをしてくる。

リリウムはとても恥ずかしくなってしまい、彼の隣にあったベットにダイブした後、ジタバタと暴れはじめる。

それにしても、彼女の格好は下着であり、来るときに困らなかったのだろうか、とLinksは心配をする。
恐らく、霞が寝たときの格好で来たためこうなってしまったのだろう。

髪も、霞と違い、いつものロングになっているため、とても、リリウムらしかった。
ある程度おちついたのか、ジタバタするのをやめ、寝転がったまま、方向を180度回転、こちらに頭を向ける。

「そういえば、シロにいくつも文句があるんだよ!」

「うん」

Linksはとても穏やかな表情で答える、前の世界で戦いになってしまった文句、なにも相談してくれなった文句、・・・なぜ誘ってくれたという文句。

それをLinksは全て答え、ごめん、ごめんと一つ一つ謝りながら彼女の頭を撫でる。

「・・・寂しかったんだからね!」

「・・・・ごめん。」

最後の文句には特に気持ちがこもっており、Linksは深く頭をさげる。

「だーめ!だから今日は一緒に寝ましょ?」

リリウムは自分でそういいつつも、うわあああ、言っちゃったよ!きゃー!と内心とても恥ずかしがっていた、しかし、それを表情に出さず、
必死に抑える。

Linksもしぶしぶ了解という形で二人で同じベットに寝転がる、そして、昔話を二人でしてるうちにLinksは疲れ切っていたようで寝てしまった。

リリウムは彼に抱きしめられる形で寝ていたが正面から彼の顔を見てしまうとあまりの恥ずかしさで寝られそうになかった。
なので、枕下にあったバッグを気を紛らわせるためにいじり始める。

ガサゴソガサゴソ

すると変な感触があり、抜くと、バッグから興という漢字に似た頭を持ち、なぜか体がふんどしのみ、さらにマッチョという、目覚まし時計を発見する。

「コレ・・・彼の愛用かしら・・・」

リリウムはどう扱うのかさまざまな場所をいじる。
時計の部分はなぜかお尻についており、とても変なユーモア感があった。

実はこれは、Linksがレイヴンに誕生日プレゼントとしてもらった昔の人気物の普通の時計だったものだ、なぜ過去形かというと、
持ち帰るとスミカが、こんなものこれがお似合いじゃないか、とつぶやきつつ、その時計を改造し、ボディーヒルダーと掛け合わせたあと、
音声を自分の持ち前の技術で改造して出来た魔改造時計だ。

本当は
『朝だ、遅いじゃないか?レイブン』
という時計も彼女にかかってしまうと・・・



「朝だ「いわせるかよおおおおおおおおおおおおおお」ちをしているのだろ!?ゲイブ・・」



リリウムがやっとのことで音声を流すと、持ち主であるLinksは1秒もたたない内に起き、リリウムのその手から目覚まし時計を没収、電池を抜く。

「朝だち?」

リリウムが無邪気な顔でそう聞き返すと、聞かないでくれ・・・と心底疲れた表情をLinksはする。

なんでこんなものを?とリリウムが聞くと、彼はジャック・Oを本や読み物で好きになって、時計をもらったそうなのだが、改造された・・・らしい。
しかし、捨てるわけにもいかず、そして、これでもジャック・Oとあきらめ、持っているそうだ。

実は改造したあと、スミカが朝、弱王ーーーー!と泣いている彼を発見して本気で土下座したことはしるよしもない。

そうそう、先ほどのスミカの改造により、ゲイブンとなった、弱王の目覚まし音声だが・・・
おい何をする!!Links!
止め・・・!アッーーーー!


はい、・・・すいません。



Linksは目覚まし時計をかばんにしまうと、再び、彼女を抱きしめながら寝る、そのぬくもりを感じるように。

リリウムは小声で起こしてごめんね、と謝ったあと、彼の手に身をゆだねて目を閉じる、今度は緊張することなく、彼の甘い臭いに包まれながら、眠りに落ちた。













あとがき、

最後のゲイブンネタですが、今回の話にはユーモアセンスがかけていたために投入したネタです、不自然とは思いますがご了承ください。




[19427] 第五章 平和な基地での1日 前編 ---Main Links Sab sirogane 修正
Name: once&Forever◆80cffd6a ID:138fbb10
Date: 2010/07/03 12:22
朝起きると、胸には暖かい感触があった。
そっと、視線を下に向けてみる、そこには抱き枕を抱きしめるように、Linksが抱いていたリリウムがいた。

・・・そうか、昨日このまま寝たんだっけ。

だんだんと頭が覚醒してくるが、Linksは体を動かそうとしなかった、そうすると彼女を起こしてしまうためだ。
その寝顔はとても安らかで、あの世界では見たことも無い顔だった。

いや、一緒に寝たことはなかったので、寝顔がどんなのだったのか、それはわからないが、おきてるときは彼女は思いつめた顔をしていることが多かった。
また、彼女に会えた、それだけでもこの世界に来た価値はあるのかもしれない。

彼女の寝顔を見ていたいが、Linksには起床のラッパが鳴る前にしなければならないことがある、起きなければならない。
彼女を起こしてしまうかもしれない・・・その時は謝ろう。

そう決めてLinksはゆっくりと彼女が枕にしている、自身の腕を抜き、代わりに枕を置いておく、起きると思ったが、存外眠りが深かったようだ。

これから副司令の部屋にこの基地にいるパイロットのデータを貰ってこなければならない。
こんな朝早くたずねるのは失礼だろうが、まあ、副司令は起きているだろうな、というか副司令は仕事まみれで昨日は寝られてないんじゃないか?

そう思いながらLinksは軍服を着込んでいく。
この軍服は意外と重い、さらに着込むのに時間がかかってしまうため、お飾りとしての機能しかないのだろうが、そのお飾り、統一性をだすことが、
軍で大切なことと、昔、スミカに教わった気がする。
自主性を殺し、集団で動ける兵士を作るために。


昔を思い出すとは、僕もずいぶん年を取ったもんだな。
そう自分に苦笑しているうちに、軍服の着用が済んだ。

PCの前においてある、ヴァルキリーズの資料を手に、部屋を出る。

なんか忘れてる気が・・・おっとと・・・

部屋の外に出ると振り返り、しまり始めたドアに向かって、いってきます、とリリウムに言う。

「よし。」

そして、Linksは軽快な足取りで副指令室を目指した。


意外と自分の部屋と近いもので5分もせず、副司令、夕呼の部屋・・研究室にたどり着いた。
ドアをノックすると、いるわよーと中から返事が返ってくる。

いちいち返事を返さなくてもいいと思うが、それが彼女の性分なのだろう。
Linksは認証IDをドアに通すと、シューっとドアが開く。

「Linksです、昨日の報告書に書いてあったとおり、この基地の部隊資料が貰いたいのですが、よろしいでしょうか?」

やっぱりアンタね、と夕呼は小言をいったのち、自分のコーヒーの隣にタワーになっている資料から、最上段からすこしつまんでこちらに投げてきた。

「ほら、アンタがほしかった資料、・・・あと、敬語使わないで頂戴、もっと気軽でいいわよ。」

「了解。・・・副司令はちゃんと寝たのか?」

夕呼はその言葉に、飲んでいたコーヒーを吐き出し、咳き込んでしまう。

「ごほっごほ!、あんた、変なもんでも食べたの!?」

その言葉にLinksは片手で困ったように後頭部を掻いた。

「いや、昨日自分達のせいで眠れなかったなら、この資料のせいで負担をかけたかとな・・・、ありがとう、助かる。」

一回頭を下げたあと、Linksは恥ずかしいのか、さっそうと部屋の外に消えてしまった。


彼が出て行った先を見つめながら夕呼は優雅にコーヒーをすする。

「良いことでもあったのかしらね?、ずいぶん丸いわね、今日は。」



Linksは廊下を歩きながら後頭部を掻く。

「やっぱり、人の心配するとか、そういうの僕のキャラじゃないよなー・・」

気を取り直して、資料を見てみるとコードネームから所属部隊まで、A~Zの順番でならんでいる。

「うわあ・・・さらに、帝国軍の資料まで・・・どこからこんなのを・・・」

多くて困ることはないだろうが、コレ全員を見に行くとなると相当時間がかかるかもしれない、帝国軍はどうしようもないため、まず今日はA~G辺りまで当たることにする。

アルファ部隊がAのコードネームの中じゃ有名らしいな。

「・・・よしよし、がんばりますか。」


しかし、まだ、起床時刻になるところ、まずは腹ごしらえといこうか。

プオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーー

五月蝿いくらいの今日の始まりを告げるラッパがなる、PXに向かうとするか。

歩いている途中で資料で昨日目を通したヴァルキリーズの伊隅大尉が目にはいる、彼女は腕はそこまでといってないが、人望が厚く、人に好かれるらしい。
まあ無いといっても僕基準だからあてにしないでねっ☆キラ

とりあえず挨拶をしておくか、彼女は僕をしらないはず、通信の時もネクストにカメラなんてないため、Sound Only 表示だっただろうし、
声でばれないように少し、声と口調を変えるか。

副司令の命令で僕はあの機体の搭乗者ということは極秘となっている、直接いわれたのだが、ヴァルキリーズにもさとられるな、と釘は刺されてある。
どこから米軍に漏れるかそれが恐ろしいらしいが。

「初見になる、Linksだ、本日付けで着任となる、よろしく頼む。」

限りなくテルミドールに近い声マネをしつつ、伊隅に話しかける。
伊隅は一瞬、怪訝な顔をし、こちらの階級を見る、同じ大尉ということで納得したように、軽い敬礼をしてくる。

「よろしく頼みます、Linksさん。よろしければPXまでご一緒にどうですか?」

こちらも軽く敬礼をして返す。こんなように、気軽に食事にさそうのは、軍では女と男という意識が一般より薄れる、そう、訓練されるからだ。寝具をともにする場合もあるし、この世界では強化装備という手段でなれさせているらしい。

「よろしいので?、お邪魔ではないのなら宜しくお願いします。」

ヴァルキリーズの部隊長と話せるのはラッキーだな、彼女なら、さまざまな部隊で強そうな奴を知っていそうだし、それに、彼女ならcollaredの事を話してしまってもかまないだろう?
伊隅とLinksは隣を歩きつつ、PXに向かっていく。


「私、伊隅さんと同じ副司令の直属です、A-01には入らないですけどね。」

伊隅大尉は驚いた顔をし、こちらを見返してきた。

「それで話しかけてきたんですね、A-01に入らないとなると、どこかの部隊に?」

Linksは苦笑した表情をし、顔の前で手を横に振る。

「いいえ、新しく部隊をつくるそうなんですよ、collaredという部隊をね、夕呼先生はそこに最強の衛士を集めると躍起になっていますよ。」

Linksは手元の資料から、夕呼の署名が入った紙を抜く、これも昨日頼んでいたものだ、あったと思い紙を取り出すと、部隊名が想像と違う、いや発音は同じなのだが、Coloredと書かれている。
それを見てLinksは色・・・か、と考える、悪くはないな。

こちらが紙を見つめたままとまっているので、伊隅は不思議そうにこちらを伺った。

「どうかいたしましたか?」

「あ、いえ、これがColored計画の書類になりますね、どちらかと言うと許可証となりますが。」

書類を渡すと、伊隅は真剣な表情で書類をにらみつける。


・・・この署名確かに、副司令の署名だ、しかし、最強と部隊の計画・・・、これによるとこの計画は隊長である白銀少佐と、発案者の副司令に
全権を任されているのが、この目の前のLinksらしい、最強の隊長の力にも興味があるが、相手は少佐、どうしようもない、しかし、その最強の部隊の全権を任され、さらに
副隊長とされているLinksならば・・・・


「Linksさん、お食事の後、ヴァルキリーズの訓練を見に来ませんか?きっと御目に適う子がいると思うのですが。」

Linksは予定が狂ったな、と思った。しかし、資料からはいい衛士がそろっているらしい部隊なので時間の無駄ではないかと結論付ける。

「構いませんよ、A-01のお噂は副司令から聞いていますから。」

そうLinksはにっこりと微笑んで返す、伊隅はその返答に、ありがとうございます、とこちらも、微笑みで返す。

微笑みの裏に、最強の衛士、レベルがどんなものか、見せてほしいわね。と、心で思いながら。

そうこうしているうちに、二人はPXについた、そこには既に結構な数の人たちが席に座って食事をしている。

「もうこんなにいるんですか。」

Linksは驚かざるおえなかった、さきほど起床のラッパが鳴ったばかりだというのに・・・。
その唖然とした顔に伊隅は微笑みをもらした。

「ええ、腹が減っては戦はできぬ、といいますから、朝食を食べてから、訓練に励むものが多いのです。・・・あ、食事はあちらでもらえますよ。」

伊隅が指差したところには、すこしふくよかなおばちゃん、京塚 志津江軍曹がすごい速さで料理を渡したり、持ってきたりとさばいてる。

Linksは伊隅についていきながら、京塚軍曹のところに歩いていく。

そして、おばちゃんの前につくと、彼女は見た相手がとても安心できる蔓延の笑みで出迎えてくれた。


「いよう!伊隅ちゃん!、・・・おっと、そこのいい男は誰だい?」

皆、おばちゃんのところだと、軍人なんかではなく、近所の知人に見えるような軽い対応だった、階級が上のはずの伊隅も例外ではなく、とても愛らしい笑いを浮かべている。

「こちらの方は本日付けで移られたLinksさんですよ、あ、Linksさん、こちらの方はここの食堂を切り盛りしている、京塚 志津江軍曹です。」

Linksも微笑みを浮かべると挨拶をする。

「以後、よろしくおねがいしますね。京塚さん。」

それを見たおばちゃんは、アイドルをみたようにテンションがあがったようで、伊隅にたいして、着任そうそう手を出すとはやるね、このこの!などとからかっていた。


「そんなんじゃありませんよ!、・・・と、京塚さん、合成さばみそ定食を2つお願いします。」

さすがにこれ以上じゃれているのは、後ろの人たちに迷惑だろう、と伊隅は思い、話を切り出した。
おばちゃんもそのことに気が付いたのか、あいよ、と言った後奥に消えたかと、思うと、2つの配膳をもって戻ってくる。

Linksと伊隅はそれを受け取り、開いている席がないか探すと、ちょうど真ん中のところに、白銀と、リリウム・・・いや今は霞が、座って食事を取っていた。
そこの周辺は開いているようだ。

Linksはそこを指を刺す、

「あそこに座りませんか?」

「ええ、・・・誰か座っているようですが知り合いですか?」

歩きながら、微笑みを浮かべ彼女の方をみる。

「まあ、そんなところです。」


白銀たちの近くにいくとLinksは配膳を白銀の目の前におきつつ、挨拶をする。
「ここ座るよ、おはよう、白銀。」

そう声をかけると白銀もこちらに気が付いたようで僕を見たあと、僕の隣に座った伊隅をみて驚きの表情を浮かべる。
しかし、計画についてだ、とLinksが言うと、白銀は納得をしたように、ああ、とうなずいた。

「伊隅 みちるといいます、階級は大尉です、以後お見知りおきを、白銀少佐。」

食事の場では敬礼など無粋とわかっているのか、伊隅は簡易な挨拶で済ませた。
白銀もそんなことで気にした様子もなく、自身も挨拶をして済ませる。


しかし・・・さきほどから、霞がこちらをずっと見ているが・・・なんなのだろうか。

「どうしたんだ?霞?」

気になり、Linksが話を切り出す、霞とLinksのこの後の会話はとんでもない爆弾をこの中に落とすことになると知るよしもなく。

「Linksさん、夜私に何かしましたか・・?」

ああ、記憶がないのか、とLinksは思い、説明が面倒な性格なので、簡単に話した・・・しかし、今回はその性格があだとなる。

「ああ、覚えてないのかい?、君が部屋に来て・・・霞のことを抱いて寝た(一緒に寝たと本人はいっているつもり)だけだよ。」

「「ぶっ、ごほっ!ごほ!」」

その言葉を聴いた白銀と、伊隅は盛大に食べてるものを噴出してむせてしまう。
そして、胸を落ち着かせようと2人とも水を飲んだ。

Linksはその反応をされても、何がなんだかわかっていない様子で、二人に対し、何してるんだ?と質問を投げかけていた。

「「お前がなにしてるんだ!!」」

「へ?・・・」

真っ赤になっている二人と対照的に、Linksはまだ気が付いていないようで鳩が豆鉄砲をくらったような顔をしている。

「私・・・もう乙女じゃないんですね・・・。」

霞はというと顔を手で多い、陰鬱な雰囲気を放っていた。

その手詰まり状態になってようやくLinksは思考を高速回転させる、

乙女じゃない、

男と女が一緒に寝る・・・

抱いて寝ただけ・・・


「・・・ご、誤解だ!、まず説明を聞いてくれ。」

そうLinksが言ったときには、伊隅などはもうすでに後ろに巨大な棍棒、エスカルボ○グを隠し持ってさあ、どうぞ、と言い、白銀はD.Eagleのマガジンを交換しながら、話だけは聞こうなどと言っている。

「僕が言った意味はだな・・・!」







「最初からそういえばよろしいのに。」
伊隅は胸を撫で下ろす。
「驚かせないでくれ・・・」
それと対照的に、白銀は疲れきった様子だった。
リリウムの事は伏せてあるが、寝ぼけて、霞が部屋にはいってきて、一緒に寝たとことを説明した。

伊隅は後ろにあったエス○ルボルグをいつの間にかどこかにしまってしまい、白銀はD.Eagleを軽快な指先で解体して懐にしまっていた。

伊隅のあれは謎の塊だが、気にしてはいけない気がする、Need to know スミカに良く言われたことだ・・・。

いや、言及すれば、なぜか自分はここで全ての人生を終わらせられてしまいそうな、そんな雰囲気が伊隅にはただよっている。

白銀も白銀だ、D.Eagleをいちいち解体しちゃ意味ないだろ・・・

Linksは頭が痛くなり、鯖の味噌煮を食べることに全神経を集中させる。

あれ・・・これ意外に上手いぞ・・・。


そう、機嫌を直したLinksは霞のほうを見ると、こちらの鯖をジーと眺めていた。そして、その彼女の皿には人参が残っている。


『シロ・・・私これ苦手です。』

昔の記憶、リリウムは漬物や人参、とくにブロッコリーが苦手だった。

『食べてあげよか?』

そのLinksの発言に
リリウムは目を輝かせてこちらを見てくる。

『いいの?』

『もちろんその後はリリウムの体と言う名の報酬を・・・ごふっ』

これもいつものこと、軽い冗談を言うと彼女の左手で殴られる。
まあ、もちろん人造人間に近い僕にそんなの効かないし、痛覚機能が僕にはあまりない。

結局その時は僕が食べてあげたなぁ・・・


「霞、鯖食べるかい?一口食べちゃったけどね。」

霞は耳をピョコピョコと動かしてうれしそうに笑った。

そして、僕は彼女のさらに残った人参を貰う。

「その代わり、これは貰っていくからね。」

そして、人参を食べているとなぜか、霞がジーとまだこちらを見つめてくる。

「ん?、どうしたの?」

いったん食べる手を止め、微笑みながら彼女を見つめる。

「・・・ありがとうございます。」

それが僕に伝えたかったらしい、その挙動がとても愛らしく、いつの間にか彼女の頭を撫でていた。
彼女はそれを気持ちよさそうに受け入れる。

「んん・・・」

「無理をしなくていいんだよ、食べられないものは、少しでも慣れていけばいいんだから。」

そうLinksがいうと白銀は、Linksにしか聞えない声でささやいてくる。

「甘やかしすぎじゃないか?」

白銀は嫌いなものも食べることが大切と教えたかったらしい。

「すまないな、しかし、少しずつ慣らせていけばいいと僕は思うが?」

これは、リリウムで獲た結論である、無理やり食べさせようとしても、それは無理やりであり、嫌な記憶でしかない、少しでも自主的に
食べられるようにすることが大切なのだ。

Linksは撫でてる手を止め、残りの漬物や人参を食べる作業に戻る。

霞もLinksがあげた鯖の味噌煮を大事そうにつついて食べ始めた。

「おやさしいんですね」
隣から、優しい声でこちらに話しかけてきた。
伊隅はすでに先ほどの僕の失言を気にしている様子はなく、慈愛に満ちた母親のようなまなざしで霞を見ている。
その彼女は既に食事が終わっているようで、必然的に僕を待っている形となる。
これは早く食べなければと思い、急いで箸を進めつつ、彼女の質問に答える。

「むぐ・・・おひゃさしくないひぇすよ、あたりまへてす。」(やさしくないですよ、当たり前です。)

口の中に一気に詰め込んだ料理を噛んで飲み込みつつ、手を合わせて、ごちそうさま、と発言をし、Linksは食事を終えた。
少しの間噛んだのち、それを飲み込み配膳を手に立ち上がる。

「さあ、いきましょうか。」

伊隅はその光景を口に手を当てて微笑む、そして、自身も配膳を手に立ち上がる。

「もう、体に悪いですよ、・・・はい、そうしましょうか。」

白銀に手を振りながら、おばちゃんの所に配膳をかたしにいくLinks、それに気が付いた霞も手を振って答えた。

「これありがとー!シロー!」

そう言った時の霞はいつもとは違い、無表情に近い状態ではなく、蔓延の笑みを浮かべていた。
本人もそれに気が付いた様子はなく、ただその状態に気が付いたのは白銀とLinksだった。

しかし、手を振り終わり、食事に戻ると、もとの霞にもどっており、白銀は後で先生に話す必要があると、判断をした。



あとがき。

更新遅くなりました、テストなんです現在進行形で!
月曜から一週間テストですよ・・・めんどくさい。

そのため更新は恐らく長引いてしまうかと思いますが、宜しくお願いします。

いつかはチラ裏ではなく本版に出せるクオリティにしたいです~


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