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[19978] 音無さんが世界を救うようです。
Name: ササニシキ◆428ad467 ID:44cd4d86
Date: 2010/07/02 22:55
mission1

気がつくと俺はどこぞのベッドに横たわっていた。

「ここは・・・どこだ・・・? っ!?奏っ!?」
あの世界で起こった最後の記憶。そう、奏が消えるのを見送った記憶。
「ははっ・・・いるわけないよな・・・。確かに消えたんだからさ・・・。」
消えた後も諦めきれずに何とか掴もうとする動作、何度も泣いて奏と叫んだこと。
すべて鮮明に覚えている。つい先ほどのことのように。
「まてよ・・・?ここは死んだ後の世界じゃないな?ここはどこだ?」
記憶を受け継いでまた同じ姿のまま生まれ変わる。そんなことがありえるんだろうか?
「ここでまたゆりとか来てくれたら楽なんだけどな・・・。」
あちらの世界での同胞、最後まで一緒にいた仲間の姿を反芻してみるが、やっぱり状況は変わらなかった。
「とりあえず行動してみるか。」
部屋を見回してみる。ごくごく普通の男の部屋のようだ。
「こいつは・・・たしかゲームギアだっけか?へえ・・・。」
音無が生きていたころに流行っていた携帯ゲーム機である。
もっとも、音無は受験勉強に専念していたため、こういった類の娯楽には全くの無知であったのだが。
「ちょっと借りてみるか。面白そうだし。・・・っ!?」
その時、音無はいやな予感がした。あの世界での戦闘の経験がなければ気がつかなかったであろう、戦いの気配というものだ。
『なんだ・・・?人の気配がするぞ・・・?』
音無は上着の内側を探り拳銃を出す。あちらの世界でも使用していたグロック17である。
『またこいつを使うことになるなんてな・・・。そもそも何でまだこいつが入っていたんだ?』
そう疑問に思ったが今はこの冷たい鉄の塊がとても心強く感じる。こいつが仲間たちと一緒に戦った記憶を思い出させてくれるのがありがたかった。



[19978] 音無さんが世界を救うようです。2
Name: ササニシキ◆428ad467 ID:44cd4d86
Date: 2010/07/02 23:35
mission2

つまり戦争バカですね!?

部屋の扉が開き、何かが投入された!
『くそっ!?手榴弾か!?』
音無は急いで窓を空け外に飛び出そうとした、が。
「なんだよ・・・こりゃあ・・・。」
視界いっぱいに何か巨大な鉄クズが広がった。
そして少し視線を上げるとその先には辺り一面廃墟廃墟廃墟。そして荒地。
ビルは倒壊し、アスファルトは隆起し、無事な家屋はほとんどない。
「っ!ガスか!?」
あわてて状況を思い出し外に飛び出す。幸い、音無がいた部屋は二階だったので以前飛び降りたところよりもだいぶ楽であったが。
そしてガレキの影に隠れ辺りを伺う。
『弾は銃に入ってるのとマガジンが二つ。後はゆりのナイフか・・・。俺、ナイフは使ったことないんだよな・・・。敵の数はわからないが、おそらく向こうは俺を殺さずに捕まえるつもりか。殺すつもりなら最初の手榴弾で殺している。』
次の瞬間、腰に硬い物を当てられ口を塞がれた。
「っ!?」
「きさまの負けだ、声を出すな。まず手を挙げろ。」
右手から銃を奪われ、一瞬の内に地面に組み伏せられた。
その声はまだ少年の様だった。おそらく自分とあまり変わらぬ年齢の。
右手を極められながらボディチェックをされる。
「ナイフ、マガジンは取らせてもらう。」
そして両手を縄で縛られ、ようやく前を向けられる。
「貴様の所属、名前、あの廃屋に忍び込んだ理由を話せ。」
『こいつ・・・。軍人・・・?だけどこいつは・・・。』
たしかに軍服を着こなし、頬に小さな十字傷があるが、まだその顔つきは幼い。
だが、顔は厳しく引き締まり、微塵のあどけなさも、少年特有の頼りなさも残していなかった。
「どうした?答えろ。」
「っ!俺は死んだ世界戦線所属の音無結弦。目が覚めたらあそこに居ただけで別に忍び込んだわけじゃない。」
「そんな冗談が通じるとでも?この携帯端末はなんだ?」
先ほど拝借したゲームギアが彼の手の中に握られていた。
「それはさっきの部屋で見つけたものだ。ちょっとゲームがやりたくてな。」
「・・・来い。」
いきなり立たされ、先ほどの廃屋へと二人で向かった。



[19978] 音無さんが世界を救うようです。3
Name: ササニシキ◆428ad467 ID:44cd4d86
Date: 2010/07/03 00:13
mission3

バカと美少女と戦闘メカ

「なんだよ・・・こりゃあ・・・?」
ここ30分たらずで何度感じたか分からない感情を一層大きく感じ、口にする。
「こんな部屋にこのような携帯端末が綺麗な状態で保管されてるとでも?」
そう、先ほど音無がいたはずの部屋はただの廃墟となっていた。
ベッドはマットレスがない。たくさんマンガがあったはずの本棚にはただの紙屑しか残っていない。小奇麗に整理された机はもはやただの板切れ同然。
「なんだよ・・・?隣の部屋とかじゃないのか?ここは?」
「お前も外からこの廃屋の様子を見たろう。それに、ここの窓をのぞいて見えろ。」
そこには確かに、飛び降りる前に見た光景があった。
「そんな・・・嘘だろ・・・?」
「嘘ではない。俺が入ったときはこの状況だった。」
「じゃあ俺が居た場所はどこに行ったっていうんだ!?」
「・・・お前はどこから来た?」
「だからさっきも行ったろ!?目が覚めたらここにいたんだ!」
「そうか。また少し眠ってくれ。」
「は?」
音無は少年に何かを注射され再び眠った












『お疲れ様です相良さん。あちらの状況はどうでした?』
女の声・・・?こいつもまだ若い・・・。
『ひどいものです。G弾の被害を受けた地域は草の根一本残っていませんでした。』
あいつ・・・さっきの声の奴だ・・・。
『軍曹、その少年についての報告はないのかね?』
軍曹?さっきの奴か・・・。
『はい、恐らく記憶が混乱している状況でしたのでまともな話ができませんでした。』
あんな状況・・・だれでも混乱するわ・・・
『まぁ、それは彼が起きてから詳しい話を訊きましょう。カリーニンさん。ほかの偵察班の報告は?』
もう起きてるよ・・・。
『いまのところ相良軍曹の報告とほぼ一緒です。国連軍と称している基地の発見、及び、ASに似た武装の確認程度のものです。』
AS?国連軍?
『しかし、ASの約二倍の大きさですからな。もしあちらが我々を敵性勢力とみなしたら数では敵いませんぞ。』
なんか危なっかしい話をしてんな・・・
『そうですね・・・。あら?彼が目を覚ましたみたいですよ?』

音無の意識が覚醒し、周りの景色を見る。
「ここはどこだ!?俺をどうするつもりだ!?」
「落ち着きたまえ。我々は君に危害を加えるつもりはない。」
髭を生やし、いかにも百戦錬磨の軍人が目の前で音無を諭す。
「音無さん。我々の話を聞いてください。」
「あんたは・・・。」
銀色の髪を三つ編みで結び、おおよそ軍人などとはこの世で一番無縁そうな美少女を見る。
「まず多少強引な手でこちらにお連れしたことについて謝罪します。」
「あんた・・・名前は・・・?」
「貴様!?大佐に向かってその口の訊き方はなんだ!?」
「マデューカスさん!!」
「・・・失礼しました・・・。」
この中で一番口うるさそうな人物が彼より年下の小娘の一喝されているのを見てここは普通じゃないと自然に悟った。
「私の名前はテレサ・テスタロッサ。ミスリルの作戦部西太平洋戦隊トゥアハー・デ・ダナンの艦長です。」


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