菅直人首相は30日、消費税増税に伴う低所得者対策で還付対象とする世帯の所得水準に言及した。菅首相が例示したうち最も高い「年収400万円」は、世帯別では半数近くが対象になる計算。現行税制では、年収325万円(サラリーマンで4人家族のモデル世帯)が所得税を支払う最低額となっており、やや高めの水準になる。
年収による線引きに加え、還付する額の水準次第では多額の財源が必要となるだけに、制度設計の段階では議論を呼びそうだ。
厚生労働省の2009年の国民生活基礎調査によると、年収400万円未満世帯の割合は46.6%。夫婦子2人の4人世帯では18.0%だが、65歳以上だけの高齢者世帯に絞ると80.6%。母子世帯では91.2%に達し、一定の負担緩和効果が期待できる。
高校無償化の一環で4月から始まった私立高校生への支援金でも、年収350万円未満の世帯に給付額を加算しており、理解の得やすい一定の目安になるとみられる。
菅首相は、低所得者対策として、食料品など生活必需品への税率を低くする軽減税率の検討にも言及した。民主党内や税制の専門家では、対象品目の決定などが煩雑となる軽減税率よりも、税金の還付や相当額を減税する「給付付き税額控除」の方が現実的との意見が多い。
毎日新聞 2010年6月30日 22時13分