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都城の牛、豚出荷再開 日向も制限区域解除

(2010年7月3日付)

 国内有数の畜産基地・都城市の口蹄疫発生に伴う家畜の移動・搬出制限区域(発生農家から半径10、10〜20キロ)が約3週間ぶりに解除された2日、同市などで牛や豚の出荷が再開された。移動制限区域にあった県内の中核的な食肉処理施設「ミヤチク」高崎工場(同市高崎町)では農家らが牛と豚を次々と運び込んでいた。また、県は3日午前0時、清浄性が確認された日向市の移動・搬出制限区域を解除した。同市の南日本ハムも操業を再開する予定で、半減していた本県の食肉処理能力は8〜9割まで回復する。

 「ミヤチク」高崎工場は午前7時半に再開し、県西地域を中心に豚約800頭、牛約70頭を受け入れ。入り口で車両が入念に消毒され、牛や豚は「県高崎食肉衛生検査所」の獣医師による検査を受けた。15頭を出荷した同市高崎町縄瀬の養豚農家志戸春雄さん(61)は「今日を待ち望んでいた。口蹄疫がまん延せず、いち早く食肉処理が再開できてよかった」と顔をほころばせていた。

 都農町の同社都農工場が本格稼働するまでは土曜日も操業し、通常を上回る1日当たり牛70頭、豚1050頭を処理する。

 また、日向市は感染疑いが確認された6月10日以降、新たな発生はなく、清浄性確認検査でも異常は認められなかった。清浄性確認はえびの、都城市に続いて3例目。

 移動制限区域にあり操業を停止していた南日本ハム(同市財光寺)は4日午後に受け入れを再開予定。これで、県内で稼働する食肉処理施設は「ミヤチク」都農工場を除く計6カ所となり、処理能力は豚で約86%、牛で79%まで回復する。

 同市は休館していた市立図書館や公民館など47公共施設を3日から開放する。ただ、隣接する都農町の発生農場を中心とした制限区域が、市南部にかかっており警戒を要する状況。美々津運動広場と落鹿農村公園については引き続き使用を制限する。

 黒木健二市長は「手放しでは喜べないが、第1段階クリアということでほっとしている。今後も防疫を徹底し、県全体の終息へ向け努力したい」と述べた。

 また、県が西都市の発生農場から半径3〜10キロ圏で実施した獣医師による目視の臨床検査が2日終了し、牛や豚の異常は確認されなかった。同3キロ圏内の農場を中心とした抗体検査の陰性が確認されれば、6日午前0時に移動・搬出制限区域が解除される。

 また、宮崎市、国富町では抗体検査のための採血が同日終了した。

【写真】牛と豚の受け入れを再開した「ミヤチク」高崎工場前=2日午前、都城市高崎町