井上ひさしさんの「お別れの会」で弔辞を読む大江健三郎さん=1日午後、東京・丸の内、伊藤進之介撮影
4月に亡くなった作家・劇作家の井上ひさしさんのお別れの会が1日午後5時半から、東京・丸の内の東京会館で開かれた。「遅筆堂」と書かれた愛用の原稿用紙を大きく引き伸ばした中に、笑顔の遺影が掲げられ、その下に全著作の単行本や文庫本など約400冊が並べられ、残した仕事の大きさを物語っていた。文学、演劇関係者ら1200人が参加した。
弔辞では作家の丸谷才一さんが「高い教養と知性の持ち主だったけれども、いつも大衆の一員であり、一人の庶民であった」と振り返り、大江健三郎さんは「井上ひさしさんの晩年をみたした演劇の仕事は質、量ともに驚くべきものであり、劇場に通う楽しみを再発見させてもらいました」としのんだ。
妻で喪主の井上ユリさんは「井上ひさしは天才ですと言うと、謙虚なひさしさんからそんなことを大きな声で言わないでくれと止められていました。もう止める人もいないので、大きな声で言います。井上ひさしは天才です。その仕事を未来に引き継いでまいります」と話した。
午後8時からは一般弔問客にも会場が開放され、約200人のファンらは記帳をしながら井上さんとの別れを惜しんだ。
ジョーンズとの出会い、そして「太平洋序曲」のころを振り返りながら、ウエストエンド公演への抱負と作品への思いを聞いた。