最近、信州サーモンの稚魚の出荷を見た。県内産リンゴを用いた新作ワインの発表を聞いた。小学生のタマネギ収穫を見に行った。信州大の生体肝移植20年を記念する会見場で医師の医療に賭ける情熱に触れた。
こうした人々の日々の努力や学習の場面を見聞きしていると、これらの営為の積み重ねが県民の日々の暮らしを支えていることに改めて気づかされる。
参院選が近づいている。有権者の代表の仕事とは、人々の暮らしをより豊かにするための方途を探り実現するものであるべきだと思う。だから、参院選の争点は民主党が過半数を維持できるか否かだなどといわれると、その日々の現実とのあまりのかい離に戸惑わざるを得ない。
参院は良識の府であり、選挙区を離れ、広い視野で国政に関与すべきだとの題目はある。それでも長野の人々の暮らしを候補者はどう見ているのか、どうしたいのか、地に足のついた議論を望みたい。【高橋龍介】
毎日新聞 2010年7月3日 地方版