日本の技術を学ぶための外国人研修制度で来日した中国人の男性が、実習先の茨城県内の金属加工会社で死亡したことについて、労働基準監督署は、長時間にわたる残業などが原因の「過労死」だったと判断し、労災と認定しました。厚生労働省などによりますと、外国人実習生の過労死が認められたのは、これまでに例がないということです。
過労死の労災認定を受けたのは、中国人の蒋暁東さん(当時31歳)です。蒋さんは、海外の若者に日本の高い技術を学んでもらう「外国人研修・技能実習制度」で平成17年に来日し、技能実習生として茨城県潮来市の金属加工会社で働いていましたが、おととし6月、会社の寮で心不全を起こして死亡しました。労働基準監督署は、亡くなる直前の1か月の残業が100時間を超えていたとみられることから「過労死」だったと判断し、労災と認定しました。厚生労働省などによりますと、外国人実習生の過労死が認められたのは、これまでに例がないということです。また、亡くなった蒋さんを含め、外国人実習生3人に対し、この金属加工会社が最低賃金を大きく下回る時給400円しか残業代を払っていなかったうえ、実際の勤務時間が記録されたタイムカードをシュレッダーで破棄していたことがわかりました。労働基準監督署は、こうしたことが労働基準法違反に当たるとして、この金属加工会社と66歳の社長の書類を2日、検察庁に送りました。NHKの取材に対し、金属加工会社の社長は「受注が多くなったときに残業時間が長くなってしまったことはあったが、健康診断で問題はなく、休憩時間も十分に設けていたので、過労死だったとは考えていない」と話しています。