調査結果を公表し、提訴の意向を表明する伊波洋一宜野湾市長(右)と新垣勉弁護士=2日、宜野湾市役所
【宜野湾】米軍普天間飛行場を抱える宜野湾市の伊波洋一市長は2日、記者会見を開き、国が同飛行場の危険性を放置したまま米側に提供し続けているのは違憲だとして、国を提訴する意向を示した。伊波市長は「政府の普天間飛行場提供の在り方を司法に問いたい」としている。9月招集予定の市議会定例会に訴訟費用の一部を盛り込んだ2010年度補正予算案を提出する。
今後、識者や民間人で組織する「市基地対策協議会」への諮問・審議後に提訴の時期を決定。9月の市議会議員改選後に開かれる市議会定例会で予算審議される見通しとなる。
会見では宜野湾市が約120万円の予算を付けて、訴訟の可否に関して弁護士事務所に委託した「国の米軍普天間飛行場の危険性放置に関する訴訟の可能性」の調査報告書が示された。
調査を担当した新垣勉弁護士は「市の中心部に長期間基地が居座ることで、市が本来果たすべき住民への行政、福祉活動の増進を妨げられている」と指摘。「憲法で保障している地方自治権を飛行場が侵害しているという問題に突き詰めることができる」と述べた。
訴訟の意義について新垣弁護士は「国策について一地方自治体が憲法の視点から是非を問うことは前例がない。先例を開く大きな意味を持つ」と述べるとともに、「市民や議会の中で積極的に議論されることを期待する」と語った。
伊波市長は「提訴することに大きな意義があるとの報告だ。提訴する前提で諮問し、答申を受けながら議会にも図って早期に実現させたい」と述べた。
<解説>閉鎖へ道を模索/秋にも議会採決
普天間飛行場の違憲性を問い国を提訴する意向を明らかにした伊波洋一宜野湾市長は、同飛行場の県内移設を阻止し、国外移設や閉鎖への可能性を模索することを訴訟の主眼としている。訴訟となった場合、地方公共団体が基地提供の違法性を国に問う裁判としては全国初。
市が委託した訴訟可能性調査報告は、同飛行場の使用を無効とする「無効確認訴訟」と、騒音被害などの賠償を国に求める「国家賠償請求訴訟」によって同飛行場の違憲性を国に問うことは可能だと結論づけた。
「無効確認訴訟」は、飛行場の提供が自治権と平等権を侵害している点を追及。「国家賠償請求訴訟」は「損害賠償金を得るためのものではなく、米軍提供施設の違憲性や普天間飛行場を提供し続ける行為の違法性を問う」(新垣勉弁護士)ことを最大の目的とする。
訴訟の時期については「市基地対策協議会への諮問・審議などを経て決める」としているが、訴訟の予算化は議会議決が必要となるため、9月の市議会議員の改選後に開かれる定例会で採決される見通しだ。
市議会は反市長派が多数占めているが、4月25日の県民大会には市議会として参加を表明し、伊波市政と歩み寄る姿勢を示すなど、議決に向けて明るい判断材料はある。一方、市長が県知事選への出馬に前向きな姿勢も示していることから、出馬した場合の市長改選など、先行きには流動的要素も残る。(池田哲平)
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