政治

文字サイズ変更
はてなブックマークに登録
Yahoo!ブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷

国会:議員定数削減 存亡かかる少数政党、賛成派も温度差 意見集約、難航必至

 <分析>

 菅直人首相が、民主党がマニフェスト(政権公約)に盛り込んだ「参院定数40程度削減、衆院比例代表定数80削減」の早期実現に意欲をみせたことで、議員定数削減が参院選後の政治課題として急浮上した。仙谷由人官房長官は2日の記者会見で「議員立法になるだろう」と述べ、各党協議への期待感を示した。しかし、野党側は消費税増税と抱き合わせの定数削減論議を警戒。少数政党は自らの存亡にもかかわるだけに、選挙制度改革と絡めて安易に妥協しない構えだ。【中田卓二】

 首相は1日、テレビ朝日の報道番組で「厳しいことを(国民に)お願いするときには、議員定数削減を含めしっかり実現したい」と述べ、国会議員が身を削る姿勢を示すことで消費税増税への批判を緩和する意図を隠そうとしなかった。

 参院選の公約では主要9党のうち共産、国民新、社民を除く6党が議員定数の削減を掲げている。だが、賛成派の政党にも温度差があり、各論で意見の相違が表面化するのは必至だ。議会制民主主義のあり方にかかわる問題なのに各党の公約に削減根拠の説明はなく、世論を意識した「数値先行」の感は否めない。

 自民党は、衆参両院の国会議員を現在の722人から3年後に650人、6年後に500人に減らす方針を掲げ、削減幅は民主党より大きい。しかし、消費税問題に続いて民主党のペースに巻き込まれるのを嫌い、大島理森幹事長は「国会運営のあり方、1票の格差などを総合的に考慮し、与野党で合意を得なければならない」とけん制する。

 公明党は「衆院での新しい中選挙区制、参院でのより民意を反映する選挙制度改革」が定数削減の条件。山口那津男代表は2日、東京都内で記者団に「比例代表の削減は時代に逆行する」と批判した。たちあがれ日本も選挙制度との一体改革を主張する。

 みんなの党は「衆院議員300人(180減)、参院議員100人(142減)」とさらに急進的だ。定数削減は民主党による連携の誘い水との見方もあるが、江田憲司幹事長は「菅さんは選挙目当てで言っているだけ」と素っ気ない。

 共産党の小池晃政策委員長は2日、東京都内での街頭演説で「比例代表を削減すれば国会は95%が自民党と民主党だけになり、消費税増税はすいすい通ってしまう」と首相方針を批判し、年間320億円に上る政党助成金の廃止を訴えた。

 国会議員1人あたりの歳費(期末手当を含め2136万円)、文書通信交通滞在費(月100万円)、立法事務費(月65万円、会派に支給)の年間合計額は約4116万円。民主党案に沿って120人削減した場合、約49億円が「経費節減」できる。

毎日新聞 2010年7月3日 東京朝刊

PR情報

政治 アーカイブ一覧

 
2010参院選
えらぼーと

おすすめ情報

注目ブランド