憂楽帳

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憂楽帳:神頼み

 日本初の小惑星探査機「はやぶさ」が7年にわたる60億キロの長旅を終えて13日、地球に帰還する。そのメーンエンジンの開発を担当したNECのエンジニア、堀内康男さん(45)に苦労話を聞きに行ったら、手帳に張ってあるお札を見せてくれた。

 東京都台東区の「飛不動(とびふどう)」は旅人の守り本尊として有名で、航空関係者も安全祈願によく訪れるという。堀内さんは「はやぶさの運用管制室にもべたべた張ってありますよ」と笑った。

 そういえば以前、種子島(鹿児島県)でロケットの打ち上げを取材した時も、宇宙航空研究開発機構やメーカーの幹部が島内の神社を回り、芋焼酎を供えて成功を祈願していた。最先端技術のロケットと神頼みの落差がおかしくて尋ねたら「何が起こるか分からないのが宇宙。人事を尽くして天命を待つ、ですよ」と言われた。

 はやぶさは機器の故障などで何度も危機に陥ったが、そのたびに技術陣が解決策をひねり出した。神頼みは「やるべきことは、すべてやった」という自負の裏返しなのだろう。【西川拓】

毎日新聞 2010年6月8日 東京夕刊

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