マツダ工場暴走事件で、広島県警の捜査本部に殺人未遂などの疑いで逮捕された同社の元期間社員引寺(ひきじ)利明容疑者(42)=広島市安佐南区上安2丁目=が、犯行の動機について「マツダで働いていた時、複数の社員からしつこく嫌がらせを受けた」と説明していることが30日、分かった。接見した久保豊年弁護士が同日、広島市中区で記者会見し、明らかにした。
久保弁護士によると、引寺容疑者は「社内でロッカーを荒らされたり、自宅アパートへ侵入されたりした」と説明。マツダの退職後も続いたとし「精神的に追いつめられた」と話しているという。
しかし、嫌がらせをした人物の名前は「分からない」と話しており、車ではねられた男性社員12人とは「面識はなかったと思われる」と指摘した。久保弁護士は「動機と事件が合理的に結びつかない」とし、精神鑑定を求める考えを示した。
殺意については、引寺容疑者は逮捕された6月22日の接見時から「殺すつもりはなかった」と一貫して否定。暴走行為も「なぜはねたのか説明できない」とし、包丁は取り囲まれた際に「けん制」する目的で所持していたという。
久保弁護士は今後、起訴された場合の裁判員裁判も視野に、弁護団を結成する意向も明らかにした。
捜査関係者によると、引寺容疑者はマツダに勤めていた4月上旬、自宅での嫌がらせについて警察に申告。警察官が訪れたが、被害は確認できなかったという。マツダも「職場でのトラブルはなかった」としている。
動画はこちら
|