肺移植の技術を応用して肺がんの患者から肺を取り出し、がんを切り取ったうえで元に戻す世界で初めての手術に、岡山大学病院が成功しました。
手術を受けたのは、広島県の60代の男性患者です。岡山大学病院によりますと、男性は、右の肺に出来たがんが進み、通常の手術でがんだけを切り取ることはできない状態でした。このため医療チームは、いったん右の肺全体を取り出し、特殊な保存液に入れて肺の機能が落ちるのを防ぎ、がんを切り取ったうえで元に戻す手術を行いました。この方法だと、肺全体を摘出するよりも肺活量の低下を抑えられるということで、男性はジョギングやゴルフなど軽い運動ができるまでに回復しているということです。肺をいったん体の外に取り出すと、再び戻しても正常に機能しないおそれがありますが、岡山大学では実績のある肺移植の技術を世界で初めて応用することで、手術の成功につながったとしています。手術を担当した岡山大学病院呼吸器外科の大藤剛宏講師は「肺の機能が低下している患者では、患部ごと肺を大きく切り取る手術はできなかった。手術をあきらめていた患者にとって、有効な治療法になるのではないか」と話しています。