コラム
日本代表選手・監督 帰国会見 (3/3)
2010 FIFAワールドカップ・南アフリカ大会
■岡田監督「代表監督を4年間やっていくパワー、熱意はない」
――岡田監督はしばらく休養するという情報が日本にも伝わってきているが、その後にどのような形であれ日本のサッカーに携わっていくのか?
岡田 僕らの仕事というのは、どういうことをやるにしても、自分が「やる」と言っても向こうが「いらん」と言えば終わりなので。その先のことはまったく考えていません。
それよりなんか、今野が最後にしゃべりたいことがあるらしいです。(選手一同爆笑)
――今野さん、そういうことなので、お願いします
(選手たちから「闘莉王はいないぞ」の声)
今野 じゃあ、モノマネやります。闘莉王さんのモノマネで。「集まれぇ〜!」(さらに大きな爆笑と拍手)
――監督、こういったところでよろしいでしょうか?
岡田 何か、森本にもなんかやらせるみたい。(中村)俊輔が命令するみたい。南アフリカの歌を歌うらしいです。
森本 やぁ〜えぇ〜やゃ〜♪ (会場爆笑、拍手)
――大勢のファンが空港に集まった。空港から会見場に向かうバスで、笑顔で手を振っていたが、どんな思いで声援を受けていたのか?
岡田 正直、あれだけ多くの人が来てくれたことにびっくりしました。あそこ(空港)を出た瞬間に、「なんじゃ」と思ったんですけど。それくらい自分たちの感覚と差があったので。ただ、あれだけ多くの人たち、特に若い人たちが目を輝かせてくれている、生き生きとしている姿、それを見るのが僕は大好きなので。日本代表が(2002年日韓大会で)トルコに負けたときも残念でしたけど、(今回も負けたことで)彼らの生き生きした姿を見ることができなくなるのが非常に残念だと。そういう意味で、今日空港に来てくれた若い人たちが目を輝かせてくれている姿にじーんときました。彼らの応援があって、われわれも勝てたんだな。あらためてそういう気持ちです。
――次、また日本代表監督として、(W杯に行きたい)という思いはあるか?
岡田 先ほども言いましたけど、オファーをもらわないことには僕がやると言ってもやるわけにはいかないので。ただ、僕としてはこれを最後の仕事と思って全身全霊をかけてやってきました。そういう意味で今、ここから4年間やっていくというパワー、熱意は今の時点ではまったく、とてもじゃないけどないです。そういう意味で、おそらく代表を4年間やるということはないんじゃないかと思います。
■本田「岡田監督は僕の中では温かい人」
――ピッチの外では誰がムードメーカーで、どんな言葉を掛け合いながら励まし合ってきたのか?
長谷部 ムードメーカーは本当にたくさんいて、今ちゃん(今野)も森本も、岡崎もそうだし、若い選手だけじゃなく楢さん(楢崎)とか(中澤)佑二さんとか。みんな、面白い選手が多かったので。
――岡田監督をどう見ていたか。また、どんなメッセージを伝えたいか?
本田 試合前なんかに、点を取れという指示があったんですけど……。みなさんの岡田さんのイメージがどういうものか分かりませんけど、僕の中では温かい人というか。大阪出身というのも一緒で、そういうのもあるとは思うんですけど、普段は厳しいですけど器の大きな人だなと。
長谷部 非常にリアルプロフェッショナルな人。サッカーに関して妥協しない。でも普段は温かくて。素晴らしい監督だなと。監督と選手の間柄では、飲みにいったり食事に行ったりしない方なので、今度終わったら行きたいな、ゆっくり話したいな思います。
――応援してくれた子供たちにメッセージを
岡田 代表選手たちにも同じことを言ってますが、これからサッカー人生、それ以外でも、いいときばっかりじゃない。いいときもあれば悪いときもある。でも悪いときというのは必ず、それがその人に必要だから。何のためかといったら、次に成長するため。そういう意味でうまくいかなくなったり、風が吹いたときに、簡単にあきらめない。そして絶対にネガティブにならないで立ち向かっていく勇気、そういうものを今回この選手たちが示してくれた。子供たちにはぜひ、つらいこと苦しいことがあっても、簡単に逃げずに、この代表チームの選手たちのように見せてほしい。僕は座右の銘に「人間万事塞翁が馬(人生の幸福や不幸は転々として予測できないことのたとえ)」としています。そういう意味で、この言葉を子供たちに贈りたいと思います。
遠藤 僕自身、小さいときにW杯を見て、W杯に出場したいと思いました。今回、子供たちも期待してくれたと思うんで、またW杯というすごい大会なんだと思ってくれればいいですし、またこれからJリーグだけでなく、世界で活躍する選手にいっぱい活躍してほしいなと思います。
岡田 さっきの訂正、(「にんげん」ではなく)「じんかん」でした。
■遠藤「僕らはプレーで見せるしかない」
――せっかくだから今野選手に聞きたい。試合を見ていて、ほかのチームにこれはちょっと見習った方がいい、これくらいになりたいという選手はいたか?
今野 僕自身、気合いはすごい入っていたし、緊張もしていたし、あとはやっぱりスター選手が多かったので、そういう選手を倒したいなと思いました。サッカーは上を目指したらきりがないので、上を目指していきたいと思います(笑)。
――具体的な相手は? 君は98年のフランス代表のデシャンくらいにはなれると思ったけど
今野 オランダのファン・ボメル選手がテレビで見ていた時より、技術が高い、ボールへの寄せも早かったなとは感じました。
――ここまで盛り上がったサッカー熱を、今後どのようにJリーグにつなげて盛り上げていくのか?
遠藤 ここにいる選手はもちろんですが、ここに選ばれなかった選手も、高い意識を持ってやっていると思います。僕らはプレーで見せるしかないと思うので、努力して、楽しい、激しい試合をしていけば、ファンの方も喜んでくれると思うし、リーグも盛り上がると思います。
大久保 W杯で緊張感のある試合の中で、自分たちはいい経験ができたので、その経験をぜひ生かしていければ、すごい盛り上がるのかなと思います。
<了>
・日本 チーム情報 (2010/7/1)