外出、イベント自粛緩和 県、非常事態を一部解除

(2010年7月2日付)

 口蹄疫問題で県は1日、県内全域に出していた非常事態宣言を44日ぶりに一部解除した。

 これまで全県的にイベントや大会の延期を求めていたが、家畜の移動制限区域(発生農場から10キロ圏内)以外では開催を可能とすることが柱。宣言以降、県民生活などへの影響が深刻化し、県は夏休みが近づいている事情も考慮。6月30日に殺処分対象の家畜約27万6千頭がすべて処分されたことを区切りとして、今回の判断に至った。1日まで感染疑いは13日間確認されていないが、再発を懸念して畜産農家にはほぼ従来の対応を求めるなど限定的な解除となった。

 宣言を行ったのは感染が爆発的に拡大していた5月18日。県内全域の畜産農家と発生地域の一般県民には不要不急の外出を控えるよう要請。また、発生地域以外の一般県民は外出自粛は必要ないものの、車の消毒やイベント延期を求めていた。

 今回の一部解除は(1)移動制限区域外ではイベントの開催は可能だが、出入り口で消毒を徹底(2)移動・搬出制限区域外の畜産農家と関係者は外出自粛を解くが、同区域内への出入りは自粛―の2点に限った内容。移動制限区域内では外出自粛やイベント延期は継続。幹線道路の消毒ポイントは当面、現状を維持する。

 また、都城、日向市など今後、制限区域を解除する地域は、これに伴う形で宣言の一部解除を適用する。県内全域での制限区域解除(最短で16日)が完了した時点で、県はあらためて宣言の見直しを行う方針。

 宣言以降、地域経済や県民生活への影響が深刻化。図書館や体育館など公共施設が閉鎖となり、観光、飲食業も客足が遠のいている。未発生の県北、県南地域にも打撃が及び、経済界から早期解除を望む声が上がっていた。

 東国原知事は1日の会見で「気の緩みが一番心配。ただ、一般県民は普段の生活をしていただいて構わない。消毒は徹底を」と呼び掛けた。

 また、山田正彦農相は同日、農林水産省で記者団の取材に応じ、「観光客も少なくなっているということであり、何より早く口蹄疫を封じ込め、非常事態そのものがなくなる日が早く来ることを願う」と述べた。