【SPA!今週の1本】市場には毒菜、食堂では雑草がニラ代わり 野菜高騰で庶民の食卓レッドゾーン突入!

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2010.06.28


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 ■「中華人民(毒)報」SPA!獨家報導 野菜高騰で人民激怒編

 中国のある農村で、新車の販売台数が急増しているという。ニンニクの一大生産地として知られる山東省済寧市金郷県だ。買い手となっているのはニンニクの仲買人や卸売業者など。干ばつや水害などの異常気象で農作物が不作となるなか、買い占めによってニンニク価格をつり上げて大儲けしているのだ。なかには、13億円を荒稼ぎした人もいるという(『第一財経日報』5月21日付)。

 こうした“サクセスストーリー”は、全国の農村を拝金主義に駆り立てている。『楚天都市報』(6月4日付)によると、買い占めの対象はトウモロコシや豆類などにも広がり、農作物の小売価格は毎月2〜3割のペースで上昇中。さらに生産者の売り惜しみも起きており、江蘇省のある農村では、収穫した野菜をヘドロだらけのドブ川に3時間浸し、重量を増やして出荷していたことが発覚した(『揚子晩報』5月2日付)。

 こうした騒動で、影響を受けるのは末端の消費者だ。広州市内の日系運送会社に勤める山下卓也さん(仮名・34歳)は、農作物高騰の影響をひしひしと実感している。

 「最近、近所の大衆食堂に行くと、よくもそこだけを選りすぐったな、と思うほど。キャベツは芯ばかりで大根は皮ばかり。高級レストランで廃棄になった部分を下取りしているんです。別の大衆食堂はさらにヒドくて、ニラレバ炒めを頼んだら、スジがやたら硬く、味も変だった。よく見るとニラに似た雑草だった。そういえば、店主が近頃、よく裏庭で草むしりをしてました…」

 しかし、ただの雑草ならまだマシかもしれない。最近、中国の八百屋では毒草を平然と販売することが横行しているからだ。『重慶晩報』(5月22日付)によると、重慶市内の市場で購入した野菜を食べた夫婦が吐血し、病院に運び込まれるという事件が起きた。夫婦が食べたのは、毒性のある、硝酸カリを含んだアメリカヤマゴボウの葉だった。さらに5月31日には、江蘇省でも市場で買った毒草を食べた一家3人が中毒症状になり、入院する事態が起きている。

 深セン市在住の留学生・岡本宏大さん(仮名・25歳)も、怪しい野菜が売られているのを目撃した。

 「露店の野菜売りが、見たこともないサイケデリックなキノコを売っていた。ヤバそうなので店主に聞いたら、『よく知らねぇけど、味はしめじにそっくり。朝採ってきたから新鮮』と。家に帰ってネットで調べたら、案の定『激しい下痢を起こし、肝・腎臓障害を起こす』と出てきました(笑)」

 中国在住のライター・吉井透氏は、昨今の野菜価格の高騰の一因について解説してくれた。

 「これまで農民は、低廉な労働力で、安価な農作物を都市生活者に供給してきた。ところが、都市部は発展を謳歌する一方、農村は一向に豊かになれない。このところの農作物の買い占めや売り惜しみは、そんな不公平感に不満を抱く農業従事者による“不売運動”という側面もある。このまま野菜価格の高騰が続けば、中国の食のインフラが崩壊し、内戦状態になる可能性もある。大げさな話ではなく、中国人にとって、“食”はそれほど大事だということです」

 中国の内部分裂は、政治や外交要因ではなく、意外なことから起こるかもしれない!?

■宇宙開発の熱意の源は「食欲」!

 中国で食料問題解決のため、開発が進められているのが「宇宙野菜」と呼ばれる巨大野菜だ。これは、中国産のスペースシャトル「神舟」に乗せて宇宙を飛行した野菜の種子を、地球に持ち帰って発芽させて育てたもの。無重力で種子が突然変異し、通常のものより2〜3倍の大きさに育つのが特徴。現在、すでに茄子や南瓜、キュウリなどの宇宙野菜の収穫に成功しており、市場でも流通している。さらに今後、牛や豚などの「宇宙動物」の開発計画もあるという。不気味な気もするが、宇宙開発を真っ先に食に利用するとは、いかにも中国人らしい!?

取材・文/奥窪優木 題字・イラスト/マミヤ狂四郎

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